「シン・エヴァンゲリオン以来の玉砕」アステロイド・シティ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
シン・エヴァンゲリオン以来の玉砕
難解な映画という前評判はありましたが、ここまで難しいとは思いませんでした。個人的には「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」以来の完全な玉砕でした。
劇中劇という構造はたまにあるけれども、本作を難しくしているのはその構造だけではなく、とにかく主題が何なのか掴めないこと。一応宇宙人が出て来るので、SFかと思えばそうでもないし、親子の絆の話かと思えばそうでもない。恋愛話かなと思ったけどそうでもなく、また原爆(水爆?)実験の様子が出て来るので「オッペンハイマー」的な要素があるのかと思えばそうでもない。兎に角話を掴めたかなと思った次の瞬間には逃げられている感じの連続でした。また、セリフ回しがとても早口で、当然翻訳に頼る当方としては、膨大な文字量を追うのに必死で映像に集中できないという問題もありました。
一方で、セットかと思うような青い空の下(実際はスペインで撮影されたそうですが)、徹底的に明るい映像は印象的だったし、それとは対照的に、映画の中の現実世界を描いた部分は白黒かつ暗い映像にしていたのも1950年代の時代感がよく出ていたと思います。また音楽も時代を反映したメロディ満載で、映像と音楽は非常に良かったと思いました。
ただ内容の理解が進まず、総合的には冒頭にも言ったように玉砕でした。そんな訳で評価は大変微妙な★3とします。
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トミーさんのコメント
2023年9月12日
主題が掴めない・・その通りですよね。ウェス監督作品を何本か観てますが、結局面白おかしい群像劇とキッチュな美術しか残りません。今作は演劇愛が爆発し過ぎで、他の要素も薄くなってしまった感が有ります。でもそんな映画があってもイイ!