「Rabbit Turn」アステロイド・シティ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Rabbit Turn
ウェス・アンダーソン監督最新作ということで、激混みの週末明けに鑑賞。平日の昼間は流石に余裕がありました。
世界観や音楽、背景とかはめっちゃ好きだったんですが、前作の「フレンチ・ディスパッチ」程物語にのめり込むことができず、前作以上に感情表現が無くて集中力がゴリゴリに削がれてしまいました。
舞台の説明っぽい始まりから設定が説明されて、登場人物たちが動き出し、たまに補足や別の場面が映ったりと、不思議な構造で作られていました。アメリカの舞台の知識や、1950年代のアメリカの情勢や時代背景に詳しくないので、その辺りで置いてけぼりにされた感じがありました。もちろんアメリカで制作されている作品なので、日本に分かりやすく作ってほしいなんていう贅沢は言いませんが、そこが大きくハマれなかった要因だと思います。
宇宙からUFOと共にコミカルな真っ黒宇宙人が隕石を取りに来たシーンはとても印象的で、Eテレで登場してそうな目がギョロッとした作り物感が好みでしたし、挙動不審で人間たちとの会話が全くないシュールな時間がとても良かったです。
作りかけの高速道路も何か意味ありげだったのですが、意味ありげなまま終わってしまったのが残念でした。
コメディの部分も苦笑いで終わってしまったところが多く、日本のシュールと本家のシュールの違いがあるんだなと再確認することができました。
役者陣は豪華も豪華なんですが、その人の魅力がビジュアル以外で発揮されていたかと言われると難しいです。喜怒哀楽が削がれまくっているので、この人のここが凄い!なんて場面はほとんど無かった気がします。こんなところにいるのか!という驚きはちょくちょくありました。マーゴット・ロビーは中々に驚かされました。スカジョはやはり美しかったです。
オープニングとエンディング、劇中で流れる音楽はとても聞き心地の良いものばかりでした。砂漠やモノクロの背景にピッタリの緩やかな音楽に身を委ねる時間はとても贅沢でした。サントラも配信されていてとても良いラインナップでした。
予告編からの期待値が高すぎたのもあり、小難しい内容と無感情なキャラクターたちにあまり乗れませんでした。でも世界観はとても好きなので、この路線をずっと続けていって欲しいです。次は主題がもう少しはっきりしてくれたらなと思います。
鑑賞日 9/4
鑑賞時間 11:45〜13:40
座席 J-19