劇場公開日 2023年9月1日

「期待した分、落胆も大きい」アステロイド・シティ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0期待した分、落胆も大きい

2023年9月1日
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1955年という時代設定、ネバダ州の砂漠の中の人口87人の小さな町、遠くに見える核実験のキノコ雲、軍事科学賞を受賞した5人の天才少年・少女とその親たち、銃撃戦を繰り広げながら走り抜ける車とパトカー、授賞式に現れるUFOと宇宙人、その事実を隠蔽しようとする政府と軍隊。
これだけの素材が集まれば、絶対に面白くなりそうなのに、こんなにも退屈で盛り上がらないのは、いったい、どうしたことだろう?
かろうじて楽しめるのは、カラフルな美術や横移動で場面転換するカメラワークと、豪華な出演俳優ぐらいで、テレビ番組で舞台制作の裏側を覗くという二重構造も、全くと言って良いほど効果を上げていない。
それでも、いつものウェス・アンダーソンなら、ストーリー展開の軽妙さや、ユニークなキャラクターの掛け合いだけでも楽しませてくれそうなものだが、そうした要素が一切感じられないのも、物足りないとしか言いようがない。
これは、ひょっとして、天才監督が、何かを狙って、高度な仕掛けを施しているのではないかと勘ぐってもみたが、残念ながら、最後まで、その意図を理解することができなかった。
この時代の色々な事情に詳しいアメリカ人、あるいはアメリカ通の人なら、楽しめるのだろうか?

tomato