若き仕立屋の恋 Long versionのレビュー・感想・評価
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エロスの暗喩に満ちた56分
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直立した長いうなじと暗く奥深い廊下。花様年華にも多用された印象的なこのモチーフが、性的な世界を表現していたことに今回気づいた。
全編これエロス。まさか粽にまでエロを感じるとは思わなかった。ホアが手作りした粽を食べるチャンのシーンは濃厚なラブシーンに等しい。
でも、この映画はエロだけではないのだ。
まだ幼さが残るチャンが粽を貪るのは、母や故郷を恋うているからだ。
同様に、ベッド下から見上げるホアの脚の動きが投げやりなのは、娼婦としてしか生きられない悲しみに蝕まれているからなのだ。
そしてクライマックス。チャンの唇を遮るホアの手が切ない。こんな愛情もあるのか。
原題は、愛神、手。
ルコントの続編ではありません。
2000年に公開された「花様年華」の翌年に公開されたオムニバス「愛の神、エロス」。その中のWKWの作品が「若き仕立て屋の恋」。なんだけど、このロングバージョンのタイトルは「愛神 手」。愛神はエロスなんだろうけど、ポイントは「手」なのよ。ルコントの続編みたいなタイトルは辞めてほしかった。
男女の恋バナ、舞台設定、衣装、クリストファードイルの撮影などなど、おそらく対になる作品なのだろうと、思いたい!前者は互いに惹かれ合うも手も触れない。後者は「手」の感触のみ。切ないラストと、大ラスのチャン・チェンの間が何とも言えない。
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