「最後まで人生(犬生)の大事な1ピースを諦めなかった犬の話」石岡タロー パリジャンヌさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで人生(犬生)の大事な1ピースを諦めなかった犬の話
ネタバレが酷いので、最初に一言で言うと、心がフヤフヤになる映画です。
ハンカチかティッシュを持って映画館へ行って下さい。派手なシーンや凝った脚本ではありません。「ひたむき」とはこういうこと、ということを感じられる映画です。
この話は以前テレビ番組で見て知っていたので、わざわざ見に行く必要ないかと思ったけど、やっぱり行ってよかったです。かなり実話に忠実な作品になっていると思います。そこが5点を付けた理由の1つでもあります。監督がこの実話に感動して作品にしたいと思ったという真意が伝わってきます。そして、犬の演技がすごく良い。いずれもタレント犬ではないのに、飼い主をみつめる時の表情なんか、天才子役並みです。冒頭のこの部分で既に目がウルウルでした。小学校の教室のシーンが何度か繰り返され、それが長いと思った人もいたかもしれませんが、そういう毎日変わらない日々を17年間繰り返したということを表すためのシーンだったのかと思っています。あるいは、地元のボランティアで参加してくれた子供たちや先生なのか?それならそのシーンはカットできないでしょう。みなさんで作り上げた映画なので、そうだとしても納得です。
また、あの当時の風景(車や看板など)をよく再現していて、そこも良かったです。昭和40年代、50年代です。犬は普通に人間の食べ残しなどを与えられ、外飼いが普通のことでしたからね、今の若い人は違和感を感じるかと思います。しかし、5才の子供が一人でローカル電車に乗って通園していた時代です。そこも合わせ、全て時代背景としてご理解して欲しいです。
私が一番好きなシーンはタローが国道をただ只管小走りで走っているシーン。こちらも何回が出て来ますが、そこがまたいいんです。今日もタローはこうして往復しているを表現したものと思っています。
本当の飼い主はなぜ卒園してから一度も石岡に行かなかったのか、それを思うと腸が煮えくりかえりますが、仕方ない。だからこそ、タローのためにも、この実話を映画にしてくれた監督に感謝ですし、まだこの話を知らない方々に知ってもらいたいし、私のように話を知っていた人の心にさえも、刺さる映画です。
それと、パンフレットの内容もすごく良かったです。買って正解でした。