「マルチバース作品として傑作(冗談です:笑)」ジュリア(s) やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
マルチバース作品として傑作(冗談です:笑)
この作品のように同一人物×4人分の人生が同時進行しつつ映像的には疑似シームレス・・・というのは初めての経験です。意欲作と思いました!
最初の一人目(バスに間に合ってベルリンの壁行った人生)が早めな分岐で一旦収束し、しかもいかにもベルリン的な妙な髪色(笑)で区別、整理がつきましたが、それ以外の人生が節操なくチャンネルが切り替わるので、全体の物語は比較的ゆったりしてるのに、なんだか妙に忙しく急かされてる感じが否めません。
作中のこのジュリアは何のジュリアか随時確認、ストーリーに乗り遅れない様に注意・・・をひたすら繰り返して本当に疲れました。
4人分の人生の成り立ちは、意思のある選択っていうよりも図らずも偶然そうなってしまったよ的な、いわゆる運命のいたずら、タイミングの良し悪しで左右される点では、実は個人的に共感度が高かったです。私自身、そんな人生だったので(笑)。
また、一番求めるものがその場で手に入らない、しかし諦めたと思ったら思わぬところからプレゼントあったみたいな人生訓は、ありきたりではあるが、真実に迫っていると思います。
「好事魔多し」「人間万事塞翁が馬」「禍福は糾える縄の如し」・・・まあ、良かれ悪かれ、すべてがてんこ盛りになった作品ともいえるでしょう。
ところで、どれが本当のジュリアの人生だったのか大変興味深いところです。作中では何となく最後に現れたのが本物っぽいですが私からしたら、どれも立派で素晴らしい人生と確信しております。フランス映画的セラヴィな感覚は本当に気持ち良い!
これに順番をつけたり、空想はどれだとか言うのは野暮な話しですよ!
今流行りのマルチバース作品の認識でいいんじゃないでしょうか(笑)。
では。
作り方は、ホント、意欲的っスよね。きっと何割かの観客は置いていかれるんだろうけれど、それを覚悟でこの作り方をするのは、勇気だと思います。それで面白いんだから、凄い。
俺もてっきり、30分× 4 かと安易に考えてました。