ミッシングのレビュー・感想・評価
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自分より大事なものが消えてしまったら
どの言葉も正しく心に響き、一瞬足りとも油断できず、絶え間なくペンチでつねって捻るような痛みが続く。 痛みがわかるってどのくらいわかってますか、は恐ろしいほど真実。 物事を想像で語ってはならない理由がわかった気がする。 彼女が藁をも縋る気持ちで集めてる情報。誰かのいたずらな好奇心で出されるちょっかいにどこまでも引きずられて、更に自分を消耗して行く様はとてもとても心が痛かった。 報道する側も自分の仕事とのジレンマに苦しんでいる辛さが伝わる。 助けて欲しい人と助けたい人も、欲しい結果は同じなのに、それまでの道にどれほど自分も他人も傷付かねばならんのか。 楽しい思い出のかけらが突然ナイフになってザクザク降りかかってくる。 「あんなに怒らなきゃよかった。」は私も子育てをした中でほんとに後悔している事の一つ。 よくあんな可愛い生き物に感情的に怒ってたな自分、と過去の出来事を振り返るたびに反省するけど、一緒にいる今でさえそうなら、今姿が目の前にいない子に対してならどれほど辛く思い出すだろうと思う。 その場所から逃げようにも、いつ子どもが戻ってくるかもしれない希望で逃げられない、もうどうにも行き場がない生き地獄に観ている方も胸が締め付けられる。 この状況で、このどうしようもない気持ちとどう折り合いをつけろというのか。 石原さとみちゃんの熱演が凄かった。 あの慟哭は演技というより役の憑依! 自分より大事なものが消えてしまったら、自分を保てなくなって当たり前だよな。 しかし素晴らしかった。 可愛いだけじゃないのね!! あと音が必要最低限なのもよかったな。 その分すごく音に敏感になれた。 そしてフライヤーにうっすら写ってたプリズム光が、とても印象的だった。 映画観たらわかるやつ。
現実は映画のようにはいかない
試写にて。 「空白」「神は見返りを求める」と来て、吉田恵輔監督の新作は子を失った母親の物語。上記2作品を1つにしたような、完全なる吉田アンサンブル。もう二度と見たくない。それくらい、キツくてキツくてどうしようもない。現代版「福田村事件」。人間の生臭さが、見る者の心をえぐりまくる。ある意味グロ注意。でもこれが、現実なんだよ。 石原さとみはこの映画が育休からの復帰作とのことなんだけど、、、いやいやヤバいだろ。なんちゅう役やらせてるんだ。「そしてバトンは渡された」の時は、まだ綺麗なお姉さんという印象で今回も正直期待していなかったんだけど、育休を経て変わったのか、すっかりお母さんだった。石原さとみと言えば、できる女って感じの役柄が多く、こんな絶望に立たされた人物を演じているイメージがなかったんだけど、上手すぎて驚愕。もう、怖いくらい。 みんな自分のことばっかりで、周りなんて見えてない。昇進のため、好感度のために。自己犠牲を図る、映画のようなヒーローは現実にはいない。当たり前だけど、誰だって自分が一番なんだよ。子も心も失った沙織里(石原さとみ)の、終わりの見えない絶望の世界で、ひたすら身体中が痛くなる。苦しいことばかりでも、微かに差す小さな光を目がけて。公開は5月17日です。万全の体調でご覧下さい。
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