ミッシングのレビュー・感想・評価
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石原さとみはえらいなあ
「空白」での松坂桃李くんもそうだったけど、今旬の人気俳優がこういう社会派映画に出るのは偉いと思う。
いくらでも商業映画に選んで出ることができる立場なのに。
こういう映画は松坂くんとか石原さんが主演じゃなきゃ配給もマイナーで動員はほとんどないだろうからね。
長い苦しみを経て差した一筋の僅かな光
姿の見えない悪意はやはり怖い
どこかの町でたまに起こる幼児失踪事件。事故で亡くなって遺体が見つからなかったり、誰かが連れ去ったり、誰かに殺されて遺体が見つからなかったりするのかもしれない。昔と違って今の失踪事件は、なぜ目を離したとか、管理ができていない等、被害者である幼児の親に批判の目が向けられるときがある。さらに親が殺したんじゃないかという誹謗中傷さえ起こることがある。SNSの弊害ともいうべき状況だ。
この映画で描かれるのは、なぜ娘がいなくなったのか、誰が犯人なのかではなく、あくまで娘がいなくなって苦悩し奔走する夫婦の姿だった。情報提供を呼びかけ、マスコミに働きかけ、まったく手がかりがつかめず、誹謗中傷も受けたりしながら、徐々に精神的に追い詰められていく。娘が見つからない苛立ちを周りにぶつける母親を演じた石原さとみの演技が迫真すぎて観ているこちらがほんの少しイラッとしてしまった。でもこの状況ではイラッとする感情が許されない気がしてしまう。観ているこちらが試されているかのような感覚に陥ってしまった。
本作では、登場する人たちに総じて悪い人はいない(ように見える)。彼ら夫婦を支えようとする人たちも多い。悪い側に立ちがちなマスコミの対応にしても、その立場を考えてみると仕方ないよなと思える部分もある。そう、悪意をまき散らすのは、いつも姿が見えない人たちだ。わかってはいるが、そのことを強く意識させる映画だった。
娘を探すあの夫婦の活動には終わりがない。活動を終えることで娘のことを諦める=娘に愛情がないと(自分たちで)判断してしまうから。もしかしたらそんな批判をする、姿が見えない他人もいるかもしれない。それでも映画のラストのように日々を過ごせるのであればあの夫婦はまだマシなのかもしれない。実際に起こった失踪事件ではもっと過酷な状況置かれている人もいるんじゃないかと推測してしまう。
いろいろと心を揺さぶられる映画だった。オリジナル脚本でここまで揺さぶられるなんて素晴らしい。誰もにすごくいい映画だと強く勧めることはできないかもしれない。それでもわかってくれそうな人にはいい映画だったと強く勧めようと思う。
スターサンズ…⭐︎
スターサンズの企画ということを見逃してしまっての鑑賞。
久しぶりに骨太な味わえる作品だった。
行方不明になった娘を探す石原さとみと青木崇高の夫婦を中心に静岡テレビ勤務という設定の中村倫也と
弟役の森優作が絡み物語は進んで行く。
テレビ局の取材がわざとらしく、おきまりのSNSの炎上と続いていくのだか役者さんの演技が迫力が
あり、結構夢中で見ることが出来る。
石原さとみは、こんなに演技が出来たっけ⁇と思うくらい狂ったような母親を見事に演じ、
青木崇高は昔 NHKで放映された中園ミホ脚本の「はつ恋」に出てくる何とも優しい夫を
思い出してしまうキャラクター。
中村倫也も森優作(こういうイメージの役が多いなぁ…)も印象的だった。
終盤、報道の現場が繰り返され「報道」の意味とか立場とか「新聞記者」をのイメージと
重なるのはスターサンズだからか。
物語もへんにお涙頂戴になっていないし、
ラストは自分には納得して、良かったと思う終わり方だった。
エンディングも大音響の歌ではなく、美しいソロピアノで終わってくれた。
良いなぁ…。
とにかく石原さとみだが青木崇高に泣く
よかった。面白かった。石原さとみの芝居が鼻につき過ぎたらどうしようと思ったけど、ギリギリうまく残った、みたいなことも含めて緊張感のある映画だった。冒頭口半開きの石原さとみの出足は悪くなかったが、いづれにせよ使う側のセンスに負うところは大きい。
同じ吉田恵輔監督の『空白』や春本監督の『由宇子の天秤』とか思い出しながら、だいたい悪意ある吉田恵輔の世界の割にはヒューマン寄りの作品でもあった。とにかく泣かせるのは青木崇高のロングショットの眼差し2発である。あんだけの悪意ある世界のラストでさもない配役から伝えられるソレによって、2時間の徒労の何かが報われる、そのリアクションの美しさ。
ああ、これは犯人はきっと…という決着の予想がついたところで、どちらかというとカサベテス『こわれゆく女』の系譜の映画なのだと理解した。なのでそのこわれっぷりのオーバーアクトは石原さとみからすればよくぞここまで、とは思いつつも、やっぱりこの題材この手法でいくと石原さとみの素の部分が人生を補完してくれない。その分が惜しい。極端な話、誘拐された女の子がやはりもう少し意味を持ってほしい。その意味で、面白くもある虎舞竜ネタの辺りでテーマ自体の空洞は見渡せた。
通過点としてのマイルストーン(里程標)A milestone as a waypoint
感じ方はそれぞれかもしれないけれど、
ここ最近の価値観の変化は激しい。
この映画は、
数年後に観ると、
「あぁ、こんな時代だったんだ」
と、言われるものになるかもしれない。
主演の石原さとみさんのおかげで、
映画にもかかわらず、
今という時代を生々しく切り取ったものになった。
それは娘を失った夫婦、その身内にとどまらず、
それを取り巻く環境も、
象徴的に描いていると思うからだ。
失踪したことを広く知らしめるためのネットが、
被害者である人に向けての刃になり、
それは別の人間にとっては、出世の道具になる。
人として踏みとどまろうとすれば、
見方を変えれば損をし、
企業では、評価されない。
でも映画を見る僕らは、その踏みとどまる態度が
正しいと理解している。
PCやスマホの前にいる、
何のとりえもない人間が、
それを使うことにより、残酷なことを行える。
フィクションなのに、
僕は殺意を覚えた。
そして、自分たちと同じような
隣にいるような人間が、
優しく弱く、真面目がゆえに、
開き直ることも、弁明することもできず、
語らないゆえに誤解される。
どこかで見た光景にあふれている。
出口のないトンネルのような映画だったが、
森優作さんの演じる主人公の弟が、
次へ進めてくれ、映画館を後にすることができた。
たぶん、まだ世の中は変わっていく。
この映画は【今】を切り取って永久保存した。
Everyone may have different feelings about it, but the recent changes in values have been drastic.
This movie might be something that, when watched a few years from now, people will say, "Ah, this was what the times were like."
Thanks to the lead actress, Satomi Ishihara, despite being a film, it vividly captures the essence of the present era.
It not only portrays the couple who lost their daughter and their relatives but also symbolically depicts the surrounding environment.
The internet, used to widely publicize the disappearance, turns into a weapon against the victim and becomes a tool for others' advancement.
If one tries to remain human, from another perspective, they suffer losses and are not valued in the corporate world.
But we, the viewers, understand that this steadfast attitude is the right one.
People with no particular merit, sitting in front of their PCs or smartphones, can commit cruel acts using them.
Even though it's fiction, I felt a sense of murderous rage.
And people just like us, the ones next to us, who are kind, weak, and earnest, end up being misunderstood because they can't brazen it out or explain themselves.
The movie is filled with scenes we've seen somewhere before.
It was like a tunnel with no exit, but the protagonist's brother, played by Yusaku Mori, helped us move forward and leave the theater.
Probably, the world will keep changing.
This movie has permanently preserved the essence of [now].
人間、石原さとみを感じて震えました。
後悔、微妙な映画。
娯楽作品感マイナス100点の超ヘヴィな人間ドラマ!
逆エンタメのウルトラ極め付けって感じの内容で実際に遭った行方不明事件のアレまんまだし SNSでの誹謗中傷やワイドショーの偏向報道や盛りだくさんで 気まづい空気感などの作り方が上手くて韓国映画の超ヘヴィな作品くらいのクソ重い内容で流石だなあと思いました!(ハリウッド娯楽作品以上にこういう作品やホラーが大好物なので笑)
あとこっち系の作品は暗くて重いので合わない人が多いと思うので低評価の人が一定数居るのも好みの問題なので仕方が無いですね(空白や市子が無理ならミッシングも無理ですね! あと解決しないし犯人とか出て来ないから消化不良って人も無理だと思います!)
前作の空白のあの重い空気感が好きだったので また同じ感覚を味わう事が出来たので凄く満足度が高くて最高にどんよりした気分でスッキリ劇場を後にする事ができました。
あとこの監督の独特のクセが強いコメディセンスというかユーモアが炸裂していてスーパーでヤクルト1000が無いのよ!誰かが買い占めしてるんでしょ!ってクレーム入れてるシーンやアーケードで揉めてる男女とか カメラ回してる時に何でも無いようが事が幸せだったと思うって言ってるシーンで虎舞竜かよって(頭ん中で虎舞竜かよって思った瞬間にカメラマンが突っ込み入れてくるし)シーンとかシリアスな場面に不意に笑わすシーンも入れてくるのが良いアクセントになってましたね。
あと石原さとみの演技で アレは大袈裟過ぎだし無いわって意見もあるみたいですが病んでイライラしてパニックになって挙動がおかしくなるのとか知り合いで実際に病んだ人が過去に何人か居て間近で見た事あるから分かるんだけどまじであの挙動は超リアルですよ、ヒステリーな感じとか どうしていいか分からなくて早送りみたいな動きになったり奇声発したりとか!!!!!!
あと旦那役の人がめちゃくちゃ良くて最後の泣くシーンとかもらい泣きしちまったです!
最後結論はでないけど希望のある終わり方で良かったと思います。
見ていて思ったのがこの監督と さがすやガンニバルの片山監督は本当に日本の作品とは思えないような独特の空気感を作るのが本当に上手くて信用出来る監督なのが良くわかりますね。
あと 空白で謝りまくるだけの 松坂桃李と同じ立ち位置の中村倫也の抑えた演技で謝りまくるのも良くて 演技が上手い人の存在感を消す演技を見ると改めて演技力があるってのが再確認出来て素晴らしいと思いましたよ!
とりあえず主演女優賞くらいはあげないと。
この監督、人の嫌な部分を撮るのが本当にうまくて。
嫌な部分、というかそれが人同士のやりとりの中に表れる場面というか。
この映画でも、石原さとみ演じる母親がもう頭から嫌な感じ全開で。
ただそれが、ほんとにそれを狙ってズバリ描いてるのが伝わってくるので、思わず居住まいを正して、そういうものを受け取る気構えを持って見なければ、と思わされました。
見る前はもう少し普通めというか、美人の優しい母親が、突然娘が消えて悲しみに引き裂かれて、みたいな感じを想像してたのですが、全然違いましたね。
そんな、悲しみをおいしく頂く、みたいな上品なものじゃありませんでした。
なので、正直見てる間結構不快です。
それがずっと続きます。
ずっと質の高さがキープされているので、つまり嫌なとこを延々えぐってるので笑、見てる方はもうたまらないです。
ところが、その向こう側に、ごくたまに真に迫った本当の悲しみが映し出される。
これがもうすごくて。
あの、石原さとみの・・・、なんと形容すればいいのだろう、あの声は。
見ているこっちの心まで壊れてしまいそうな。
これから先こんな絶望を映画の中で目にすることがあるだろうか、とまで思えるような場面でした。
日本アカデミー賞なんて、余裕で取るんじゃないですかね?
まあ実際に取るにしろ取らないにしろ、そのくらいの価値があることは誰もが認めるであろう、素晴らしい演技でした。
映画のテーマとしては、形の上ではSNSや報道番組により個人の悲劇がどのように消費されるか、という類のものかと思いますが、自分が感じたのは、逆説的ですが、人を信じる、ないし人の世を信じる、それしか答はないんじゃないか、そして実際それは可能なんじゃないか、ということでした。
百万のNoに、1つのYesで勝てることもある。
そういう種類の話でもあると思うので。
普段は見ないジャンルでしたが
喪失の先にはかなら再生がある
映画を観て、色んなことを想った。夫婦、親子、姉弟の関係性や絆、マスコミやSNSの情報拡散性と暴力、社会の優しさと冷たさ、。もし自分の身に降り注いできたなら(ウチも夫婦と1人娘である)、。冷静にいられる訳はない。ましてや発見情報が嘘だったり、警察に保護されたととの嘘電話を受け翻弄されたりしたら精神は崩壊してしまうに違いない。
石原さとみは冒頭からずーっと崩壊寸前の精神状態のまま、悲しい顔、辛い顔をスクリーンに映し出していた。私生活でも結婚、出産をし人生の経験値が増したのでしょう。演技派女優に完全に脱皮したと思います。
ラスト近くのシーンで朝日に横顔が写り、壁の落書きに差し込む光に影絵を写す時、少しだけ微笑んだ気がした。美しい場面であった。
夫の青木崇高、弟の森優作もテレビ局の中村倫也も心からの演技で気持ちが伝わっていた。
事件なのか事故なのか、犯人は誰なのか、何とか解決してもらいたいが、映画はこれで終わっていい。喪失の先には必ず再生があります、。
リアルなドキュメンタリー
石原さとみさんが女優人世を賭けたのが解かる程の崩壊役がもの凄い、記憶に新しい『山梨キャンプ場女児失踪事件』に重なる物語。
母と娘という固く尊い絆を不可解な事象で剥奪された猛烈な悲痛、顔のない見えない心無いSNSという文字のリンチ、この激痛を見事なまでに演じきった彼女が凄い。
マスコミって何なのか???青木崇高さん、中村倫也さんの2大俳優を脇役に押しやるかのような森優作さんの怪演が凄い。このお2人は来年のアカデミー賞ノミネートでしょう。
良かったです
結局。
結局ナニを見させられたのか? と思えるほどの虚脱感。
主人公の自分を傷つけ、他人を責めて、責任の所在をグルグルさせるうちに自分自身が今どうなってるのか? 取材のカメラの前の自分はどういう顔をすればいいのか? 本当にそれは必要なことなのか?
ただただ娘を見つける為だけに奔走する無限で急激な表情の変化。色んなことをこじつけ、疑わず突き進む様
物語に入り込んだものの、実際に体験したことの無い出来事と感情に困惑しながら、胸を締め付けられながら進む展開。それでも最後にビラを配ってた時に現れた人影に涙が溢れた。コレはなんだろう?想いが報われた訳でも無く、進展した訳でもないのに。。。
諦めない。でも時間を止めない。最後の表情に立ち止まらない未来を見た。
石原さとみ凄い!
とても面白かったです。
青木崇高に注目して観ました
あの石原さとみがよくぞここまで
吉田恵輔監督作品は「ヒメアノール」「告白」「神は見返りを求める」あたりまでは観てきて、中でも「神は…」はかなり好きな作品。
人間の本当に嫌なところ、受け止めたくないところを、時に残酷に、時にシニカルに、時に滑稽に描かせたら当代随一だと思う。
一方、私にとって石原さとみはというと、ドラマ・映画含め、出演作をちゃんと観た記憶がない。あ、「シン・ゴジラ」があったか。
ホリプロの大看板女優が、ここまで「人間」をさらすとは。
物語としては、あまり大きく何かが展開していくタイプの作品ではない。
むしろ願っても願っても変わらぬ現実の中でジタバタしたり振り回される人間たちの映画。
どちらかというと、観客が感情移入するのは青木崇高演じる旦那さん。
暴走する妻の思いを、それが無茶だと分かっていても可能な限り受け止め、支えようとする。
だからこそ映画の後半、その無茶が想定とは異なる形で実を結ぶ時、彼は涙を抑えられない。
「ああ、報われた…」
そして我々も。
吉田恵輔監督が甘っちょろいハッピーエンドを描くワケは当然なく、でも最後は人々がほんの少しだけ前を向いて歩き出す、という相変わらずの上手さ。
過去作から比べて、「神は…」辺りから、描くものは泥臭いながらも、テーマはどんどん洗練されてきた感じがするし、暴力表現も今回はほとんどなくて、多くの人にとってより見やすくなっている。
いわゆる単純な「胸糞映画」では決してない。
まあ何しろ「あの石原さとみがよくぞここまで」という熱演は間違いなく彼女の役者人生の中で大きな転換点になっただろうし、とにかく一見の価値がある。
演技が素晴らしい
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