ミッシングのレビュー・感想・評価
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痛みをもつ者への救いと必要な正しさを考えさせる
2024年劇場鑑賞34本目 傑作 77点
今作を語る前に3年前の同監督作品である空白は、その年の個人的劇場鑑賞本数約60本中の8位の作品で、亡き娘の等身大に向き合えていなかったことや謝ることしかできないやるせなさ、古田新太の周りの人に向ける鋭利な矢印や心が疲弊した松坂桃李がお弁当屋さんに向けた悲しい矢印、マスコミやメディア、それらを消化する我々と、すべての人の自覚なき小さくて大きな矢印の交錯で一番疲弊した当事者が、全部を救われるわけじゃないけど、呼吸を整えられるような、優しいそよ風を最後に浴びるささやかな救済を描いていて
今作は、制作に着手する時から前作の兄弟作として構想していたそうで、構造や擬似点は多く感じるのは満場一致で、その中でもあえて違う点を挙げるとするなら、事件の種類が異なることからできる要因である
というのも、前作は交通事故で今作は誘拐事件だからで、前者だと被害者が死亡か怪我を負ったが生きているかがすぐにわかり、加害者やそれに関わったであろう人物が逃走や死亡、行方をくらまさない限り早期に浮き彫りになるのに対し、後者だと行方不明の人物の生存も事件の犯人もわからないまま進行していくので、言ったらまだ希望があるふうにも取れる
だが、それゆえ翻弄されていく被害家族の希望の芽を潰される様な数々の出来事は、前者の特大アッパーよりも連続ジャブの方が疲弊し壊れていくのかもしれない
だからこそ前作との終わり方も差別化が図れていて、勿論前述したように両作とも最後に救済があるが、その描きの濃度と、その救いが当事者が迎えにいくか、些細に感じるかで分けられている
今作も登場人物の行動心理の原理原則が忠実で、どのジャンルを撮らせても傑作を産む吉田恵輔監督の取材力と想像力がうかがえる
最後、子供達の登校時間に信号の旗持ちのバイトを始めて、少年に「このおばさん知らない」の一言に対して、「お姉さんね」と言葉を交わすのが、娘が帰ってこなくなった日から時が止まり、あの頃に取り残されている故自身の感覚と心身衰えた格好に自覚がないのと同時に、少しずつ自身を歩み始め、心無い矢印にも無気にならずに返せる様になった、余裕が生まれてた瞬間である
是非
すぐれた俳優、凡庸すぎる物語
これは俳優陣の熱演・怪演だけで成り立っている作品で、その筆頭はもちろん石原さとみ。すごいですねえ。こんなことができる人だとは、正直思っていなかった。そして不器用な弟役の森優作、報道記者役の中村倫也が、鮮烈な印象を残します。
が、映画は演技用カメラテストではないのでそれだけでは成立しない。この作品についていえば脚本の感覚が凡庸・通俗にすぎて、ちょっと耐えられない。ネット批評も薄っぺらいし、テレビ局描写も、世のマスコミ批判を真に受けて自分であんまり考えてないのが丸わかりです。
そりゃ子供の行方不明事件もネットの誹謗中傷もつらい社会問題でしょうが、それはそれ、これはこれ。映画の完成度とはまったく別の話ですね。そういう話を知りたいときは、私は映画なんか見ないできちんと取材したリポート記事や公的調査にあたります。
フィクションでなければならない理由、フィクションだからこそが現実だけでは描けない真実にこの映画が届いているかというと、まるっきり程遠いと思います。
カメラは、だいたい適正。というよりも石原さとみや森優作のすばらしい演技が、すくなくとも邪魔されていない。だけど編集が、やっぱり凡庸なんですよね。オープニングの子供の笑顔連発とか、終盤のズームバックの連続とか…。ラストショットは、ちょっと印象に残りました。
まさかの
まさかの未解決事件だった。……
この物語は鼻から娘が見つかるかどうかというところをメインテーマにしていない作品だったのかもしれない。と、鑑賞後の今感じる。
娘が突然姿を消した後の両親や関係者の姿を、世間はどう捉えるのか。
そのリアルを追求した物語なのだと思う。
今作の主役である石原さとみさんは、
実生活で母になった直後にこの役を演じられたそうで、
これまでの彼女のキャリアや月9ドラマなどから形成された"キラキラ女子"のイメージを大きく覆す作品での復帰となりました。
色々なメディアでお話しされている通り、チャームポイントである唇はリップを塗らずに極限まで乾燥させるように仕向けたり、ボディソープで髪を洗って髪を傷ませたりという、彼女なりの今作への役作りに対する直向きさが、
1秒たりとも無駄にせず娘を捜す事だけに洗脳された母の姿に表現されていた。
そして、青木崇高さん演じる夫の豊も、
日頃は平然とした姿であることに努めることで、どこにもぶつけられない悲しみや怒りや悔しさといった言葉にできる感情の他に、ふつふつとした名もない感情をコントロールしているように見えた。
その姿は、一家の大黒柱である「父」としての姿を維持しているようだった。
時折見せる涙には、彼の人間らしさや無力さを感じ、悲哀に満ちた描写はこの作品の肝となっていたように思う。
(弟役を演じた森優作さんは、持ち前のカメレオンぷりが暴れに暴れていた。
彼はとにかくミステリアスな役が似合う。
朝ドラ「半分、青い」では好青年の高校生でヒロインの初恋の人の役を演じていたり、
現在TBSで放送中のドラマ「ライオンの隠れ家」では、坂東龍太さんと同じ職場で働く自閉スペクトラム症の少年で、絵描きの役をしている。
名前こそあまり聞かないが、彼は少なくとも私が見ている作品ではありとあらゆる作品で現れるのだ。
今後も注目の俳優だと思う。)
また、中村倫也さんが演じた記者。彼は登場人物の中で最も私たち視聴者に近い存在だと思う。
はじめは仕事として取材をしていたが、一家との取材回数を重ねるに連れ、段々と報道人としてではなくひとりの人間としてこの件に取り組んでいる姿、悲しみや憤りが伝染していく姿に、「記者も心を持った人間だ」というリアルが描かれていた。
事件なのか事故なのか、彼らは追求することはできても真相に辿り着くことはできなかった。
ここでもまた無力さが描かれている。
さて、今作のオープニングも印象的だった。
娘が失踪したというテーマは重いが、
ホームビデオで始まるオープニングでは終始笑顔の姿が映し出されている。
きっとこの作品で美羽の動いている姿がたくさん映るのはこの最初のオープニングだけなのだろうと悟った。
我が子が消えた彼らの心情に寄り添った今作を見て、共感する人のいない未来があることを祈りたい。
その日を何度も想像し、願い続けている、
心身共にぼろぼろに廃れるまで願い続けている彼らに
どうか悪戯などせず、報いある世界でありますように。
張り紙ひとつにその願いが込められている事を私達は自覚しなければならない
と、気付かされた作品となった。
中村倫也さんって、、、
虎舞竜…
世界を変える
素晴らしかったと言うより凄まじかった。
石原さとみさんってこんなスゴい女優だったのか!
と驚いた。
と言うのも、私の妻は沼津出身で、
まさにこの同じ状況になったら
同じように正しく壊れて行くような気がしました。
口調や態度なんかホントにこのまま。
娘を失う前の彼女の生活も容易に想像出来る、
それくらい深みのあるリアリティーある演技でした。
石原さとみさんだけでなく青木崇高さんの少し冷静でいる
けど内心はそうではない、一つ一つの言葉や
表面張力のようにあと一滴で感情が溢れそうになる
演技も、
弟役の俳優さんや
中村倫也さんの正義とはなんなのか揺れ動く記者も
素晴らしかった。
邦画の力を感じましたし、
この映画を観てこの家族に少しでも寄り添えたなら
世界は変わるんじゃないかな?
と年甲斐もなく熱い気持ちになりました。
救わないリアル
___.
少しの予備知識だけ、2歳の女の子を持つ親として、苦しむ先に何を描いているのか、監督のことも、俳優の思いも知らずに、そんな好奇心だけで鑑賞しました。
結果、妻と見なくて良かった。
それだけに重たく、私の生活からは想像できない連続でした。
ただ、このような事が現実に起きている、と、イメージするほど描写が伝わってくるのは、石原さんはじめとした、役者さんの凄さです。
あまりレビューを書くことはさないのですが、見終わった後の感情を残したく、それほどまでにインパクトがある映画でしたので、記載しています。
失ってから気づくのでは遅いが、そうならない為に気を張りすぎるのも違う、普通の幸せな日々を過ごせる世界がいいです。
石原さとみの演技は大したもんだと思う
人間の深層心理を掘り下げるようなストーリー展開
「空白」や「ヒメアノ~ル」と同様に、吉田監督ならではの人間の深層心理を掘り下げるようなストーリー展開に引き込まれました。「ミッシング」でも、観る者はその緻密な描写に圧倒されます。特に、石原さんが演じる母親が、娘の失踪という絶望的な状況の中で徐々に心を失っていく様子は、胸が締めつけられるほど切なく感じました。
母親としての感情が揺れ動き、時にはエゴや錯乱を見せる姿は、観ている私たちの心にも強く訴えかけ、感情移入せざるを得ませんでした。彼女の苦しみと葛藤は、痛々しいほどリアルで、観客もまたその心情に引き込まれていきます。しかし、最終的に彼女が平常心を取り戻していく様子は、決して安易な解決ではなく、深く考えさせられるものでした。
SNSで好き勝手に無責任に心をえぐるような書き込みに耐えられませんでした。SNSの匿名性を利用した誹謗中傷は、まるでナイフのように主人公の心を切り裂いていきます。ネット上の言葉は、一度発信されると簡単には消し去ることができず、その影響は長く尾を引きます。この作品の恐ろしいところは、そんなネットの闇が、現実世界に生きる人々の心を深く傷つけてしまうことを、生々しく描き出していました。
吉田監督の作品は、毎回観終わった後に、自分自身と向き合わせられるきっかけを与えてくれます。「ミッシング」もその一つであり、ただのドラマにとどまらず、私たちの心に問いかける作品だと感じました。
人物の心情や葛藤がとても丁寧に描かれていた。
観始めてから終わるまで凄く感情揺さぶられた。単に事件解決にむけてとかの角度ではなくて、当事者達の心の動き、変化が凄く丁寧に描かれているなぁと思った。
ちゃんと言語化したいので長いけど人物毎に書いていきたい。
母親
もうこれは何と言ったら良いやらなんですが…役作りが話題になってたけど、特にイタズラ電話でのシーンがとても現実だった。お子さん産んでからこの役を演じて大丈夫だったのかな?メンタルケア受けてるかな?と心配になる程。
終盤、別の子が行方不明になり我が子の手掛かりも求めるもそうはならず、ただ無事に見つかった事を自分事のように「良かった良かった」と涙する姿に母親って凄いなって、台詞の如く感じた。お母さんてすごい。
終盤、みかんを見て「綺麗」と思ったシーンでやっと彼女の世界に色が戻ったのかなと感じた。それと反比例するように父親がチラシ作成に必死になってるところが何とも表現し難い感情なんだけれども。
父親
どうしても女性目線で見ちゃうので序盤の探してる温度が違うって感じてしまう葛藤とか、ヒス構文の様な捉え方をさせてしまう言い回しとかちょっとソワソワしたけど、そんな事なくて同じように心配だし不安だし、ただ2人で泣き叫んだってなにも始まらない。責めても娘が戻って来るわけないと言い聞かせて必死に耐えてたんだって部分を最後に涙するシーンで凄く感じた。自分がしっかりしなきゃと気張ってた糸が、気持ちをわかってくれ第三者として寄り添ってくれる人が現れた安心と、その人は娘が見つかったけど自分たちはまだ会えてないという葛藤も感じる涙だった。
弟
なんで連絡取らないし、話さないのかイライラしたけど家族じゃない他人の記者さんの言葉だったから冷静に伝わって事実を話せたんだと思う。きっと誰よりも責任感じてるし、自分を責めてるしだから余計言えなかったんだろうな。
記者
終始芯が通ってて良かった。ただ会社に勤めてる以上自分ではどうしようもない事があって、それを取材相手には分かって貰う事なんて到底無理で責められてしまうのが本当に辛かった。
「事実を伝えるだけ」と冷静だったけど「その事実が面白いんだよ」というのもまた現実。
「記者の仕事の正解って何なんだろう」てとても考えさせられた。
まとめなどは特にないのですが、各人物の心情や葛藤がとても丁寧に描かれている映画で触発され、初めて感想を投稿してしまいました。
スターサンズの感動作をみた!
数多くの作品を世に出しているスターサンズですが、感動作が多く、藤井道人監督や吉田監督、石井監督等の有名な監督作品が並んでます。
今回の「ミッシング」も感動の一つ。「月」「パレード」「ヴィレッジ」等も素晴らしい。
これからも、スターサンズの作品を応援したいと思います。
石原さとみの演技に注目
娘の行方不明を探す母親役をした
石原さとみさんの演技力が震えました。
どんどんおかしくなっていく様
エスカレートする様
失禁までする(ズボン濡らしただけだと思うが)
狂っていく様に引き込まれてしまった
元々石原さとみさんは大好きな女優の1人だが
年々女優としての石原さんが好きになりました
個人的には中村倫也さんの演じた記者の葛藤が
考えさせられました。
本当に正しいことを報じるのが正しいのか
これは、考えないといけないと思う。
すごい胸に響きました。
考えさせられた台詞
「いつからこんなに世の中は狂ったのだろうか」
本当にそう思う。共感してくれる人はいるはず
どんどん引き込まれてしまったので
是非見て欲しい作品だし
もう一度見たい作品だなと思った
本質的には?
娘を失った母親が必死の想いで自分の娘を見つける為に街でビラを配り、テレビの取材を受けて全てを晒していく。
そんな中でイタズラを安易行っていくものも現れる。
主演の石原さとみさんの演技は、素晴らしいと感じました。
自分がテレビの向こうで行くへ不明になった子を見てもそれほどまでに関心を抱かないのは、やはり自分事ではないから。
でも、そんな全てを自分事にしてしまうと生きていくのが大変になってしまう。
そんな人達に同情をする事は、本質的にどちらが正しいと言えるのだろうか?
自分は、困っている人を助けたいと思う一方で自分自身のことも守りたいと体裁をとっているのかもしれない。
報道の裏側で自分が知らない現実を見る気がした作品でした。
演技家事??
石原さとみさん・・演技過剰な感じも・・。
普段自動車で仕事に通ってる人が・・仕事帰りに何故、チャリでコンビニへ???、コンビニのエピソード作りたくての演出???。商店街のアーケードでの諍いも、わざわざ作った感否めず・・すごく不自然・・。
石原さんの家族のイメージだと・・ワーゲン乗るかなぁ??。壁に残った娘ちゃんの落書き跡も・・不自然でわざとらしい感否めず・・。 石原さんの衣装も・・メーカーとのタイアップなのか?? 不自然に目立つし頻繁に変わる・・・。
お漏らしは必要ないだろうし、あんなときはしないだろ?
演出がひとりよがり過ぎな感じ。
演出家?監督は・・子育てしたこと、子供を持ったことがないのでは???と思ってしまう・・。
報道、メディア、テレビのあり方への問題提起には素直に頷きます。
待ち続ける家族の痛み
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