劇場公開日 2024年5月17日

  • 予告編を見る

「すぐれた俳優、凡庸すぎる物語」ミッシング milouさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0すぐれた俳優、凡庸すぎる物語

2024年11月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

これは俳優陣の熱演・怪演だけで成り立っている作品で、その筆頭はもちろん石原さとみ。すごいですねえ。こんなことができる人だとは、正直思っていなかった。そして不器用な弟役の森優作、報道記者役の中村倫也が、鮮烈な印象を残します。

が、映画は演技用カメラテストではないのでそれだけでは成立しない。この作品についていえば脚本の感覚が凡庸・通俗にすぎて、ちょっと耐えられない。ネット批評も薄っぺらいし、テレビ局描写も、世のマスコミ批判を真に受けて自分であんまり考えてないのが丸わかりです。

そりゃ子供の行方不明事件もネットの誹謗中傷もつらい社会問題でしょうが、それはそれ、これはこれ。映画の完成度とはまったく別の話ですね。そういう話を知りたいときは、私は映画なんか見ないできちんと取材したリポート記事や公的調査にあたります。

フィクションでなければならない理由、フィクションだからこそが現実だけでは描けない真実にこの映画が届いているかというと、まるっきり程遠いと思います。

カメラは、だいたい適正。というよりも石原さとみや森優作のすばらしい演技が、すくなくとも邪魔されていない。だけど編集が、やっぱり凡庸なんですよね。オープニングの子供の笑顔連発とか、終盤のズームバックの連続とか…。ラストショットは、ちょっと印象に残りました。

コメントする
milou