「監督が挟み込んだ希望」ミッシング 北枕寝二さんの映画レビュー(感想・評価)
監督が挟み込んだ希望
日曜日にイオンシネマで
55歳以上は1100円なのだ
オマケにdocomoポイントも使えるのだ
石原さとみが鶴瓶の番組に出ていたのを偶然目にして
吉田監督の新作と知りこれは観ねばと
監督と組むことを切望したのだとか
チラシをもらい損ねて残念だったのだが
予告編以外の予備知識はあえて入れずに鑑賞
石原さとみはどちらかというと苦手で
この監督作と知らなければ観ることはなかったと思う
そしてバトンはレンタルで観てそこそこよかったのだが
やっぱりいまひとつ NHKのトリセツもなんだか
しかし本作は文句なしの快演
主人公が置かれた複雑な立場とか壊れっぷり八つ当たりぶり
見事だった
前作もそうだったか忘れたが
スターサンズの制作なのだな どうりでエッジが効いていた
プロデューサーが河村光庸と
こういう作品に若くていい俳優が出るのは素晴らしい
今作は中村倫也 空白では松阪桃李だった
監督の意思は中村とか青木崇高に代弁させている
共感できるしカッコいい
それにしても青木はいい役しかやらんな
三谷大河でも何だかまっすぐな役だった ゴジラでも
あと柳憂怜も嬉しかった
たけし軍団のユーレイが見事にちゃんとセリフがある警察幹部役
毎週日曜日にスーパージョッキーを楽しみにしていた 感慨深い
ネットで適当な便所の落書きを書き連ねるヒマで卑怯な連中
ケジメをとらせていて溜飲が下がった
一方でキー局に転職する中村の後輩
監督も嫌いな人物なのだろうが映画の中では酷い目に遭わせない
社会の発展とか資本主義の世の中では必要悪みたいな位置付けなんだろうか
前作の若葉竜也と同じにおい
こういうやつが付加価値を創り出して仕事が生まれている側面もあるしな
やっぱり嫌いだけど しょんべんの音がせめてものリベンジ
その他本筋とはあまり関係ないエピソードの描写が丁寧でかなり好きだ
・キー局不採用で地方局
・鼻水がよく出る
・寄付金を紛失
・警察幹部の車をほめる
・弟と先輩が居酒屋で飲む
小ネタもイチイチ効いていた
・ヤクルト1000
・アーケードでもめている二人が共通認識を持つ瞬間
・マルめて捨てられたビラが風に吹かれて転がる様子を
それらしく撮ろうと試みるカメラマン
つい歌の文句で言葉を紡いでしまうとか
自分でついたウソに影響されるとかはある
生きている以上は何かの影響を受けている
リビングの壁の落書きのシーン
ウチも入居間もない時期に全く同じことがあった
妻がゴシゴシ消した跡が今もある
ラスト近くのチラシ配りのシーンでは思わず青木に貰い泣き
あとミカン農家パートの若ママとか零細印刷会社の社長
こんな世の中といいつつも監督が挟み込んだ希望なんだろう
BLUEのほうが好みなのだが文句のつけようがないので満点
一作毎にどんどんよくなっている
今年の10本には間違いなく入る快作だった
(ここから映画と無関係)
終了後は公園で自作弁当を食べながらビールグビリ
金がかからない幸せ