「私たちはどこまで寄り添うことが出来るのだろう」ミッシング たつのこさんの映画レビュー(感想・評価)
私たちはどこまで寄り添うことが出来るのだろう
劇中のいつからこんな世の中になってしまったのかと言うセリフが心に響きます。
突然いなくなった幼い娘を必死になって捜す両親。
母となって母の役を演じた石原さとみの演技は、もうその枠を越えた本物の叫びのように聞こえ、絶賛に値すると思いました。
夫役の青木崇高さんも沙織里に寄り添いながらも冷静さを保ち、しかしやるせない気持ちを抱えている難しい役を見事に表現していましたね。
報道する側の数字至上主義との葛藤に苦しむ砂田役の中村倫也さんの演技も現実をリアルに表していて良かったです。
それにしても人の不幸とはそんなにも面白いものなのか?
支え合い生きて行くべき人間が、またその人たちによって傷つけられる悲しみは、そのことこそが正に不幸と言えるのでは思います。
そのことを本線に描いていないので仕方ないですが、美羽ちゃんの行方が気になります。
最後の方で、やはり行方不明から無事保護された母娘が沙織里に声をかけるシーンに少しだけ心が安堵しました。夫・豊の涙もまた本物だったのではないでしょうか。
いつの間にか大切な物を失くしてしまった人間の心の内側を揺さぶる、いい映画を見ました
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トミーさんのコメント
2024年6月2日
共感ありがとうございます。
力の入った映画なんだと思います、取り組んだ役者さんたちの意気込みも感じられます。けれども目を背けたくなったのも事実なのです。観たタイミングなんでしょうかね。
saltsnowさんのコメント
2024年5月20日
相互ありがとうございました。
石原さとみさんの叫びについて、共感します。魂から出ているからか、こちらの魂も揺さぶられましたね。
今後もレビュー拝見させて頂くのを楽しみにしています!