「終わりのない絶望」ミッシング みみみさんの映画レビュー(感想・評価)
終わりのない絶望
観客は思ったかもしれない「どうせ解決する、映画だから、作品だから」と。
でもそうじゃない。現実は映画のようにはいかない。果てしなく、ゴールが見当たらないような問題を、子供の行方が分かったら解決なのか、もし無事じゃなかったら、死ぬまで続くかもしれないもの。それが映し出された作品でした。
だからこそ、見つかって欲しい、早く終わって欲しいと思ってしまう作品でもありました。
夫と妻として、男性と女性としての考え方の違いもよく移されていました。
感情的なのに合理的な妻、論理的なのに非合理的な夫。藁にもすがり、少しでも望みがあるならと誹謗中傷を浴びながらも報道に何度も縋るのは痛ましく、本来あるべき報道に答えは無いのに、皆どこかで誰かのせいに、自分のせいにしている。
思い出すと言う行為でさえも悲しい、それでしか子供と話せないのは、思い出すことさえも嫌になりそうだが、そうしないと行動できない。たまたまできた虹を見て思い出すのは、子に触れた時のことなのか。
作中では手で触れる描写も多くあった。言葉ではなく、触れることで相手の感情や、自身の感情を示す。それは愛情か、悲しみか、怒りか。そんな単調なものでは現れないような何か。
心が揺さぶられる所ではない。
石原さとみさんは育休明け後ともあるのか、役の没頭具合がとても素晴らしかったです。視線や、体の震え、目の膜の張り具合までも操作したようにも見えるようなリアルを映し出すための演技が、とてつもなく凄く、苦しくなってしまった。
石原さとみさんはこれまで儚げのある、可愛らしい女性を演じているのを見てきたが、子を産んだ母の顔になっていた。実際にそうではあると思うが、子を産んだ女性だからこそ出来た演技とも言え、石原さとみさんだからこそ出来たのではないかとも思います。
これほどの女優がいた事に、これからの石原さとみさんの俳優業にも注目していきたいとも思いました。
旦那さんの合理的に非合理的という表現にまさに!と思いました。
彼は冷静に見えるけど、全ての感情や思いを咀嚼もせず丸飲みしてるだけで心は1番ぐちゃぐちゃ、具体的な行動にしてるが妻のようになれない自分を責めている様にもうつりました。