「現実は映画のようにはいかない」ミッシング サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
現実は映画のようにはいかない
試写にて。
「空白」「神は見返りを求める」と来て、吉田恵輔監督の新作は子を失った母親の物語。上記2作品を1つにしたような、完全なる吉田アンサンブル。もう二度と見たくない。それくらい、キツくてキツくてどうしようもない。現代版「福田村事件」。人間の生臭さが、見る者の心をえぐりまくる。ある意味グロ注意。でもこれが、現実なんだよ。
石原さとみはこの映画が育休からの復帰作とのことなんだけど、、、いやいやヤバいだろ。なんちゅう役やらせてるんだ。「そしてバトンは渡された」の時は、まだ綺麗なお姉さんという印象で今回も正直期待していなかったんだけど、育休を経て変わったのか、すっかりお母さんだった。石原さとみと言えば、できる女って感じの役柄が多く、こんな絶望に立たされた人物を演じているイメージがなかったんだけど、上手すぎて驚愕。もう、怖いくらい。
みんな自分のことばっかりで、周りなんて見えてない。昇進のため、好感度のために。自己犠牲を図る、映画のようなヒーローは現実にはいない。当たり前だけど、誰だって自分が一番なんだよ。子も心も失った沙織里(石原さとみ)の、終わりの見えない絶望の世界で、ひたすら身体中が痛くなる。苦しいことばかりでも、微かに差す小さな光を目がけて。公開は5月17日です。万全の体調でご覧下さい。
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