劇場公開日 2023年6月23日

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「もう、荒れるか荒れないか両極端に過ぎると思うけど、個人の意見で。」プー あくまのくまさん yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もう、荒れるか荒れないか両極端に過ぎると思うけど、個人の意見で。

2023年6月23日
PCから投稿

今年204本目(合計855本目/今月(2023年6月度)29本目)。

今週(6月4週)、レビューが大荒れが確定しそうな本作品です。
結論からいえば「個々配慮のない点や気になる点は明確にあるが、極端に多くは引けない」というものです。

結局、この映画の低評価の理由の大半は「B級ホラーにも届いていない」(C級ないしD級?)か、「いくら著作権関係で問題がないとはいえ、プーさんをこう描くのは許せない」という意見の大半になるのだろうと思います。

前者は「ある程度」理解できるので、点数上考慮していますが、後者に関しては実際、著作件の関係上クリアになっている以上、いわゆる「ジャンルだまし」になっていない(予告編と作品が極端に異なる等)以上、大きく引けないというのが個人の見方です。「ジャンルだまし」でない以上、たとえば日本でいえば、「竹取物語をアクションもので描いた作品はどうなるのか」等がおよそ相当しそうですが、「ストーリーとして成立しているなら極端に多く減点できない」ということになります(それが映画というものであり、ひいては多くの国が保証する憲法上の表現の自由というものです)。

ただ、そこまで擁護しても、どうしてもB級ホラー感というかそれを超えて、C級かD級か…という点は否めません。結局、プーさんが言葉を話さないため(一部例外あり)、事実上プーさんが武器をもって暴れまくる「だけ」のストーリーであり、ストーリーが存在するのか(1つしかないけど…)ないのか、それすら謎という結構珍しい(換言すれば、ストーリーで混乱する要素は皆無)映画ではあります。

一方で海外(アメリカ)では先行上映されたようで(他の方の投稿参照)、そこでは概ね講評だったということまで考えると、ここまでの評価の差は結局「文化の差」に帰着できそうな気がして、究極極論「個々国民の文化にあう、あわない」という問題になると、荒れるもあれないも、「国民の文化まで合わせろ」は無理な議論で、仕方がないなというところです。

そこまで書いたうえで、以下のような評価(4.1を4.0まで引いたもの)にしています。

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 (減点0.4/プーさんのとった行動が(各国の定める)憲法を考慮すると妥当ではない

 ・ この評価サイトでもストーリー概要で示されている通り、主人公の男性が大人になって大学進学で遠くにいってプーさんの面倒を見られなくなったことにいら立って…というものですが、この主人公のとった行動は、学問の自由(20条)や居住・移動の自由(22条。いずれも日本の基準。海外でも同様な趣旨の憲法典はあります)を真っ向から否定するものです。

 この点はさすがにどうか…というところです(プーさんの面倒を見なきゃいけないんだから大学に進学するなとか居住移転の制約を甘受せよというのは人権感覚としてもおかしい)。

 (減点0.3/一部の英文法が変で、それが何を意味するのかが微妙)

 ・ 「100エーカーの森」というものが出ますが(「エーカー」自体もかなり不親切…。現在の日本で使われることはあるんでしょうか?)、この森の案内標識は 100 acre forest になっています。しかし、「森でトラブル発生」等のニュース・新聞記事等の描写では 100 acres forest になっていて(acreの単数複数の話)、結論からいうと後者が正しいです。

 つまり前者は初歩的な文法ミスなのですが、これを書いたのが誰なのかがはっきりとせずプーさんをはじめとする動物の仲間たちとも解することは可能なところ、そうだとすると「熊の知的知能はこの程度なんですよ」ということを婉曲的に述べたいのか、はっきりしない部分はあります(ここも、上記とあわせて「人間と動物の共存」という「広義の」人権感覚の観点から微妙です)。

 (減点0.2/どう解するとしてもB級以下という指摘は甘受しなければいけない)

 ・ 結局、プーさんが何も話さない(話せない)からなのですが、結果としてプーさんが殴る蹴るを繰り返している「だけ」ということになってしまうのは事実で、「プーさんの主義主張は何なのか」も読み取りづらく(単純に上記の「放置された」だけで、ここまでやるとすると、いくら「人間ではない」という描写としても、変な印象はあります)、ひいては「映画の主義主張は何なのか」という点はどうしても気になります(何もない、という回答もありそうな気がしますが…)。

yukispica