「父との距離が縮まる」アウシュヴィッツの生還者 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
父との距離が縮まる
ハリーは自身のアウシュヴィッツ強制収容所における凄惨な体験から、男は強くあらねばならないという信念を持っていた。彼にとってはボクシングこそが生きる手段だった。だからこそ息子のアランも鍛えようと厳しく接し、ボクシングを強制させた。それは彼なりの愛情表現だと言えるだろう。だが、彼の想いは一方的過ぎて息子アランには伝わっておらず、萎縮させていた。最終的にはハリーが意を決してアランに自身のアウシュヴィッツにおける体験を伝えることで、なぜボクシングをやらせようとするのか、ようやく父の想いが伝わった。父との距離が初めて縮まった瞬間だった。
今作は以前にも観たことがあるが、『レインマン』や『グッドモーニング・ベトナム』のバリー・レヴィンソン監督の映画だとは知らなかったので、改めて観てみた。ストーリーはそれらの作品と比較すると淡々として、少し面白みに欠けた。そのため☆-0.5。
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