「最後にはわだかまりが解かれた」アウシュヴィッツの生還者 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
最後にはわだかまりが解かれた
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主人公ハリー・ハフトは、アウシュヴィッツ強制収容所における凄惨な体験からPTSDになっていた。ミリアムと結婚後も当時の記憶が悪夢となって蘇る。当時の体験から、息子アランには自分の身を守る術を身に着けさせるため、ボクシングを厳しく教えた。アランが明らかに乗り気で無いのにもかかわらずだ。そして信仰を理由に追われる恐怖を知って欲しく無い思いから、アランには自身のアウシュヴィッツにおける体験を伝えなかった。
それらは全てハリーなりのアランに対する愛情なのだろう。しかし、それが理由でアランとは距離ができていた。だが、積年の願いだった昔の恋人レアとの再開が叶い、アランにアウシュヴィッツにおける体験を伝える気になった。ラストのアランの笑顔、そしてミリアムと手を繋ぐシーンは、彼が言いようの無い鬱積した気持ちから解放され、アランとのわだかまりが解かれたことを示している。
実話がベースなのもあり、ストーリー自体はやや単調で盛り上がりにかけるが、良い映画だった。
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