劇場公開日 2023年6月16日

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「男女同権思想に関心がある方はぜひ。」アシスタント yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0男女同権思想に関心がある方はぜひ。

2023年7月3日
PCから投稿

知的

難しい

今年222本目(合計873本目/今月(2023年7月度)8本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。

 ※ 男女同権思想(フェミニズム思想)に関しては色々な考え方がありますが、一般的な解釈によるものとします。

 いわゆる男女同権思想を扱った映画…と思いきや、このレベルに達する女性への冷遇さはもはや女性嫌悪思想(ミソジニー)の域に達するのではなかろうか、と思えます。

 結局のところ、1つの(超大手でもないだろうと思われる)会社として1人の女性が提起した男女同権問題を「消極的に」黙殺したのではなく「積極的に」そうさせた点、人の(女性の)思想良心にまで踏み込む(謝罪メールの内容をこうしろ等と関与する)等の点があり、これらの点は結局、「男女同権思想のなさ」を超えて、もはや「女性嫌悪思想」の域に達しそうなレベルです。

 ところで、あらゆる仕事においても男性が優位なところもあれば逆なところ、あるいはほぼほぼ男女同権思想が達成できうる職場というのがありますが、この映画で描かれている映画業界(エンターテイメント業界)において、「積極的に」男女同権思想を阻害する思想は成立しえないことはわかります(いわゆる「男性向け」映画等を作っている、といった特殊なものは除いて)。つまり、職業の性質上、積極的に男女同権思想を達成するべきと解釈できる業種において、映画内で描かれている企業がそうなっていないのは、「この業界」全体で「多少の」ひずみがありうるとは言えても、「この業界」全体として極端にそうだとはどう考えても理解できず、映画内で描かれる「この会社」だけが極端に変なのだろう、ということになります。そして、(日本とは違うので一概に比較はできないものの)いわゆる終身雇用が当たり前な世の中はとっくの昔であり、こんな無茶苦茶な会社とはさようならの世界であり、何がどうあれマスコミ等に暴かれれば、合理性のない差別ないし女性嫌悪が過ぎるものであり袋叩きにされるものでしょう(ただし、それも私人制裁に当たる行為であり、積極的に褒められる行為とは言えない)。

 換言すれば映画内で描かれている「この映画」で描かれている一つの会社は、程度の差はあれどこにでも存在するようなものであり、それが現在(2022~2023)の人権感覚でまかり通っている、というある意味「極端な状態」になっているという点が論点であり、その点は映画内では直接的な言及はないものの(映画自体、発言が少なく各個人とも淡々と話すだけで比較的字幕量は少ない映画です)、「ほぼ直接的」ないし「間接的」にこのような業界ないし会社に対する人権喚起の映画なのだ、と解釈するなら(通常はその解釈)、今日の人権感覚ではおよそ通らない(まだ平等な男女同権思想が達成できていない、ならともかく、意味もなく女性嫌悪思想を取ることの意義がおよそ見出しにくい)理論であり、それはここ日本においても、少なからずコンプライアンス意識が低い一部の中小企業においてみられることは容易に想定できることまで考えると(すべての中小企業がそうだ、というのではない)、この「男女同権思想のなさを超える、女性嫌悪思想の意味のなさ」をよく考えてほしいという点を述べている点はかなり評価可能です。

 採点にあたっては特に減点対象まで見出しにくいのでフルスコアにしています。
2023年年の下半期ではベスト10には入りそうな良い映画なので、ぜひ多くの方に見ていただければというところです。

yukispica