バカ塗りの娘のレビュー・感想・評価
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津軽塗りを買いたくなる映画。
津軽塗職人の親子の、春に始まる1年間を描く作品。台詞が少なく、黙々と漆を塗るシーンが多いが、津軽塗の製作プロセスを理解するのに良い構成だと思う。主人公(堀田真由)の兄のパートナー以外はサプライズはなく、ハッピーエンドで良かった。津軽弁が上手く話せているのかは分からないが、堀田真由と小林薫のキャスティングは良かったと思う。堀田真由の祖父役(坂本長利)の演技は鬼気迫るものがあったが公開の翌年亡くなったそうだ。今度青森に行ったら津軽塗のお椀を買ってみようと思う。
「いがったいがった」
さとちょうでレジ打ちのパートをしている青木美也子は、津軽塗職人の父清史郎と二人暮らし。母は父と離婚し、兄は美容師をしていた。美也子は、花屋の男性にほのかな思いを抱き、家業を手伝う日々を過ごし。 塗っては研ぎを何度も繰り返す、ばか丁寧からばか塗りとのこと。あの独特の模様は菜種を使うと初めて知りました。銘品津軽塗も後継者不足であることも知り、そういった伝統工芸に若い感性が作用していけばいいなと思いました。兄の結婚の話が唐突で驚く。 青森県出身俳優が何人も出演しますが、鈴木正幸の津軽弁が一番良かった。
ほっこり
「漆塗り職人物語」というものでなく、 家族の物語です。 ストーリー的には、大きな感動や驚きはないですが、 登場人物が一癖ありながら芯はいい人ばかりで、 彼らの行動や発言にほっこりできます。 堀田真由はこういう素朴な田舎娘が合うんですね。 見直しました。
ご当地映画好きに。
バカ塗り=バカがつくほど丁寧に塗り上げていく、津軽塗り。 その親子の話。 話自体は、淡々として盛り上がりはないのだけど。 いわゆる「ご当地映画」。 実は大好き。そこには共通点があります。 ①その土地の、景色や食を堪能できる。 ・岩木山をバックに、蝉の音・雪・桜。季節の移り変わりが目でわかる。 ②伝統を受け継ぐ、親子の葛藤。 ・バカ塗りの大家を親にもつ、親、そしてその娘、息子。 「漆じゃ食うて行かれん」のセリフが、刺さる。 ③方言が盛り込まれている。 ・近所のおばちゃん役で、青森出身の木野花さん出演。 ストーリーに色が施される。 ④家でお葬式。 ・地方では家でお葬式をする習慣があり。 それぞれ独特の風習・しきたりを知れる。 青森に行ったことない方(私含む)、脳内体験できるかも。 ⭐️今日のマーカーワード⭐️ 「好きなこと、やんなよ」
【”津軽塗は、私がやり続ける。”不器用で引っ込み事案な娘が津軽塗職人を目指す姿を描いた作品。モノ作りに一心不乱に取り組む人の姿は美しいモノであると思った作品でもある。】
■青木家は津軽塗職人の父・清史郎(小林薫)と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子(堀田真由)の2人暮らし。 家族より仕事優先の清史郎に母(片岡礼子)は愛想を尽かせて出ていき、兄ユウ(坂東龍汰)は自由に生きる道を選び、同性の尚人(宮田俊哉)と暮らし始める。 美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいと堂々と言えず、スーパーのバイトにも気が入らない。 ◆感想 ・モノ作りに一心不乱に取り組む人の姿は美しい。 今作で言えば、自分の津軽塗への想いをぶつけた学校の廃屋に置かれていたピアノを、津軽塗で装飾する美也子の姿だろう。 ー 雪の降る中、深夜までピアノを、津軽塗で装飾する姿。- ・清史郎の父で、大臣賞も取った祖父の葬式のシーンも良い。 ー 久しぶりに揃った家族と、弔い酒を酌み交わす清史郎。勿論、そこにはユウ、尚人もいる。そして、美也子も・・。 <今作は、日本が誇る伝統工芸・津軽塗がつなぐ父娘の絆、そして家族の物語を描いたヒューマンドラマである。 派手さはないが、良き作品であると思う。>
「家業を継ぐ」ということ
「伝統工芸は(当事者が)ちゃんと守っていかなくてはいけない」とか、「継げる家業があるなんて羨ましい」など、当事者じゃないから言える暴力的な言葉だ。 どんなに努力しても最後はセンスがものをいう厳しい伝統工芸の世界は、センスがなくてもなんとか惰性でメシは食っていけるサラリーマンには決して理解できないことだろう。 軽薄で陳腐な言葉にしかならないが、それでも誰かがバトンを継いで欲しい。 輪島市の惨状に対しても私たちは鈍感すぎる気がする。 少子高齢化による後継者不足、家父長制、ジェンダー等、今の伝統工芸世界の課題に真摯に向き合う。
津軽塗職人の父と、その娘の奮闘を描いた物語。 ばかみたいに手のかか...
津軽塗職人の父と、その娘の奮闘を描いた物語。 ばかみたいに手のかかる塗りの作業、寡黙に丁寧に続けてゆく様子。人付き合いやおしゃべりは不得手そうですが。 多くを語らない職人気質、大作を仕上げて周囲に認められる様子、感心して見入ってこられるお話でした。
津軽塗を知れた
青森県弘前市で、青木美也子は高校卒業後もやりたいことが見つからず、スーパーで働いていた。不器用で何をやってもうまくいかず自分に自信を持てない彼女だったが、津軽塗職人である父の手伝いは好きだった。しかし父は津軽塗を続ける気力を失い、父の身勝手さに愛想を尽かして家を出ていって新しいパートナーのいる母、津軽塗の家業を継がず美容師になりゲイの兄、施設に入ってる祖父、と家族はバラバラだった。そんな中で、津軽塗をやりたいと言い出せない美也子は兄のパートナーに連れて行かれた廃校に有ったグランドピアノに津軽塗を施す事を思いつき・・・てな話。 津軽塗はバカに手間をかけ丈夫な塗りと言われる、と紹介が有るが、漆塗りは輪島塗くらいしか知らず、調べてみると日本には主な漆器の産地だけでも23位有るらしい。その中でも丈夫なのが津軽塗だと知り興味を持った。今度青森に行ったら津軽塗を買ってみようかな。 美也子役の堀田真由は自信の無さそうな役どころなんだけど、やりたい事を見つけだんだんと自信を持って明るくなっていくところが良かった。父役の小林薫はいつも通り渋かった。
蛙の子は蛙…血は争えない
馬鹿に手間隙がかかる塗りものなので「ばか塗り」というそうですけれども。 それだけ精魂を傾けなければ身につけられない技ということなのでしょう。 評論子も見習いたいところですが、一つのことに打ち込めることは、この地方の気質(かたぎ)の美しさなのかも知れません。 そんなことにも思いが至りました。 一芸にに取り組む父娘ということですから、「父親の背中を見て」というのか、「蛙の子は蛙」というのか、「血」は争えず、両者の絆も自(おの)ずから深まりそうです。 そんな深くて温かな父娘関係の再生を、しかし静かに描いた会心の一本だったと思います。評論子は。 佳作としての評価が妥当と思います。
伝統工芸の後継者問題の中に現代の価値観とのぶつかり合いもあって、見応えがあった
面白かったし、バカ塗りの意味や、漆を塗る工程なども知れて良かった。 片思いの相手がいて恋愛展開になりそうだったが、実はその相手が同性愛者でお兄ちゃんの婚約者・・・ ショックで吹っ切れて職人の道に進む。父親に反対されるが、作品が海外で評価されて、家族にも認められる。主人公が後継者になることで、兄が家業を継がずに外国で暮らす事も許されるだろうし、大団円で終わる。 少し残念だったのが、同性婚の話を聞いた両親の発言が曖昧だったこと。 怒りもせず、祝福もせずに意見を言わずにスルーした。 賛成はできないけど、不満を口にする自信もないといった感じか。 どういう反応をするんだろう?とワクワクした分、肩透かしだった。
映像が綺麗。堀田真由ちゃんが可愛い。
弘前の津軽塗の職人である父とその娘との家族のお話。堀田真由ちゃん目的で鑑賞しましたが、不器用だけどひたむきに生きる、美也子の繊細な心情に心動かされました。絵がとても綺麗で、弘前にも行ってみたいなと思いました。
どこかで見た既視感はあるけれど
「あさイチ」に堀田真由が出演した時に紹介していた映画。アミューズは堀田真由のような所属俳優を主演にした映画を製作するわけだが、在籍時代に神木隆之介が初めて浜辺美波と共演した作品も製作された事情は同じようなものか。ヒロインに揺れがあるので少しもたつくところはあるが、それほどイライラはしない。 堀田真由は「わろてんか」で知ったけれど演技を実感したのは「エール」で登場した時期は短いが主人公をたぶらかした上で奈落に突き落とすダンスホールの踊り子役だ。堀田真由は滋賀の人なので滋賀を舞台にした映画かドラマか何かに出演しないだろうか。 舞台が青森でありヒロインが廃校になった学校の備品のピアノに漆を塗るので何か東北のどこかにある母校の高校にピアノを寄贈した設定がある昭和55年にNHKで放送した「四季・ユートピアノ」と似通っていてヒロインのピアノ調律師の栄子役で出演した中尾幸世が製作された時点の年齢は今作を撮影当時の堀田真由と大体同じくらいなので連想してしまった。
東北だなぁ・・・
みんな口数少ないし、我慢強いし、どこか意地っ張りだし。でも堀田真由さんや小林薫さんは東北出身じゃないし、監督さんも違う。音楽も少ないし、焦れる位のゆっくりしたテンポがそういうイメージを喚起したんでしょう。だからこそ終盤、吹っ切れた堀田さんの笑顔が眩しい。
そうはならないと思うんだけど・・・
2023年劇場鑑賞252本目。 パンフレットが売り切れていて、再入荷の目処はなく、メルカリやヤフオクも全滅状態だったのでこの後もう一本観たあと高速乗って往復3時間かけて隣の県に買いに行きました・・・。これから公開する地域の方は早めに買いに行った方がいいですよ! さて、会津塗の職人と、その娘の話なのですが・・・。この堀田真由演じる娘さん、見た目の印象通りちょっとぼーっとしてまして、小林薫演じるお父さんは息子に継がせたいので娘には伝承していません。 この前提があっての物語の展開やオチがどうも無理があるなぁと思ってしまいました。
父の救い
高名な職人である父の息子であるプレッシャーと、世界で認められた娘を誇らしく思いながら自分の不甲斐なさを感じつつ・・・ 一人の職人の人生を感じる。 作品というのは好みだし、運もある。でも残してくれてありがとうという感謝を送りたい。
地味ながら良作
漆塗り職人の娘の話。 優れた職人だった祖父は介護施設に。父はやる気なし飲んだくれ。兄はフリーダム同性愛者。母は価値観押し付け理解なし。 なかなかの状況だけど、何をやっても身のはいらないミヤコの漆塗り職人としてやっていく覚悟を丁寧に描いている。 ミヤコはあまり口数が多くないのでこちらが慮っていく必要があるが、演技もよくて応援したい気持ちになった。 近所のおばさんも良かった。バラバラになりつつある家族を陰ながら気にしつつ、助け船を出す感じ。おばさん偉い。 一点、いくら兄のパートナーで憧れの人だったとしても、人気のない場所にのこのこついていくのはどうかと思ったけど… 派手さはないけど話の展開も演者のレベルも高い良作。
いい映画だけれど、物足りない
途中、エッと思わされるヒネリがあるものの、基本は、若い女性がいろいろあって、結局は家業の津軽塗の職人になるという、極めて素直なストーリー。 堀田真由や小林薫の演技、津軽塗の美しさ、そのほかいいところはたくさんあるが、わざわざ映画館で見るには地味。物足りなかった。
まんず漆っていうのは摩訶不思議で、やればやるほどやめられねんだ。
評価が高めだったので期待したけど、結局はよくあるストーリーだった。「地元に伝わる伝統工芸を愚直に守ってきた父と、それに反発する息子。継承しようと張り切るのはまだ未熟者。最後にはその努力が花開く成長記」というスジ。それでいい、なら構わない。けど、新鮮味はない。 たしかに、親父に素人呼ばわりされてはいても、門前の小僧、さすがに幼少の頃から漆職人の家に育ち手伝いもしてきただけはある。けどね。どうも都合いいよね。そこが映画だけどね。
家族
鶴岡監督の「過ぐる日のやまねこ」がとても好きで、なんとか観たいなと思ってました。地元でも遠くでは上映あったんですが(監督の地元)、別の所の上映に間に合いそうで、最終日の最終回(早朝)で鑑賞できました。 家族とは、いいですね。描き方がとても丁寧で、いろいろあっても理解して、会話して、ご飯を一緒に食べればわかり和えます。わたしも妻は本当に大事にしている(つもり?)わけですが、父や兄弟とも、もっともっとわかり合える時間を共有したいと思いました。 女性の自立ものとしてはちょっと弱いのかなとも考えましたが、堀田真由さんはほぼ初見ですがいいですね。漆を「綺麗だ」と見惚れるシーン、とても良かったです。 実は小林薫さんじゃなければ映画館には行かなかったかも?なんですが、大好きです。そこにいるだけで見惚れてしまう俳優はそんなにいません。 片岡礼子さんは流石に上手いです。最後、なんで帰る演出になったんですかね。あそこにいてもいいと思いましたし、いるべきじゃないかと。唯一疑問でした。 四季を通しての撮影が丁寧にされていて、素晴らし作品でした。鶴岡監督の次回作モ楽しみです。
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