「バカ丁寧に塗って削ってを繰り返すのが津軽塗り。そこに暮らす人びとの実直さが培ってきた伝統工芸の行く末が気になります。」バカ塗りの娘 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
バカ丁寧に塗って削ってを繰り返すのが津軽塗り。そこに暮らす人びとの実直さが培ってきた伝統工芸の行く末が気になります。
タイトルを見ても内容が「?」だったのですが
作品紹介を読んでみたら「津軽塗り」職人の話との事。
地域発作品だし観てみましょう、という訳で鑑賞です。
舞台は青森県弘前市。
津軽塗り職人の父(小林薫)とその娘(堀田真由)。
その家族を中心に、
・津軽塗りってどういう物なのか
・津軽塗の現状はこんな感じ
・津軽塗の未来への不安と希望
といった事を、津軽塗に関わってきた家族を中心に描いた
地域発ヒューマンドラマです。・_・
◇
ヒロインは青木美也子(堀田真由)。
津軽塗職人の家に生まれる。
祖父は、手がけた作品が賞を取るほどの名人。
父(小林薫)もその後を継いだ。
だが、仕事の量は年々減る一方。 …う~ん
時代の流れ。仕方無い。頑張ろう との思いがある。
もうこの仕事に先は無いのでは… との思いもある。
父がこなす仕事だけでは、生活していけない…。
そのため美也子は高校を卒業後
地元のスーパーで働いてきた。レジ担当。
” 家計を助けるため ” そう割り切れば良いのだが
自分なりのこだわりがあるようで、対人関係に
機転の利く性格でも無いようだ。 …う~ん
客とこじれる事もあり、息の詰まる日々が続く。
そんな美也子も、仕事の後に父の仕事を手伝う事も。
津軽塗の仕事は、ひとつの工程が繰り返し行われる。
そんな時間が美也子は気に入っている。
実は美也子には3つ違いの兄がいる。
父は、兄が家を継ぐことを期待した。
兄は、家を継がずに美容師になった。
たまに家に顔を出すが、独立して生計を立てている。
と、作品の前半は、
このように比較的緩いペースで話が進むのですが…
美也子が仕事先のスーパーに通う途中の花屋さん。
そこの男性の店員さんにほのかな恋心が…
そんな話の辺りから、話が一気に流れ始めます。
( 予想外の展開でした・_・; )
ある日、家に兄がやってきます。男性と二人連れ。
” (あ…) ” と美也子。
そこに居たのは、花屋で見かける「彼」。
兄が、父と美也子に花屋の彼を紹介する。
「彼と結婚しようと思っている」
「… (父)」
「… (美也子)」
美也子のほのかな恋心、あえなく終了…。
とまあ、このような感じに
地域発+伝統工芸 だった話が
地域発+伝統工芸+LGBT になり
地域発+伝統工芸+LGBT+国際化 へと
想定外の方向に話が膨らんだ印象もあるのですが
伝統工芸の世界をテーマに、伝統を守るだけではなく
生き残るための行動や活動を模索していること
それが伝わってくる内容でした。
彼らの努力が実を結べばいいな と思います。・_・
観て良かった。
◇あれこれ
■堀田真由さん
ストレートの黒髪。
どことなく漆器の持つイメージに近いかも、と思いつつ
どこかで見たような気がしたので過去の出演作を確認。
「殺さない彼と死なない彼女」の
「きゃぴ子」でした。
「地味子」とのコンビが良い味を出していました。・_・☆
この作品での「物静か」なイメージとは反対の陽気キャラ。
演技の幅が広い女優さんだなぁと、改めて認識。
■木野花さん
ドラマで、主人公のご近所に住む「おばちゃん」を
演じさせたらピカ一な女優さんです。 ・_・☆
※最近の作品だと「波紋」も少し前で「凪の島」など
津軽弁もネイティブに聞こえるのがすごいです。
■漆器の産地
弘前の津軽塗というのを初めて知った気もするのですが
日本のどこが名産地なんだろう と気になって調べてみました。
よく「日本三大○○」と言われるものがあります。
漆器にも「日本三大漆器」というのがあるようです。へぇ
異論はあるだろうなぁと思いつつ、名前を上げてみると…
・会津塗り
・輪島塗り
・紀州漆器(これだけ紀州塗と呼ばないのは何故?)
この辺りになるのでしょうか。
他にも沢山の産地名が確認できました。
日本の伝統工芸品と言っても良さそうです。・_・
◇最後に
父と娘が主人公の話というので「高野豆腐店」のような
お話かと(勝手に)想像していたのですが
違いました・_・;
豆腐は食べ物ですが、津軽塗りは食べられません
…ってそうでは無くて☆
そうではないけれど、間違いとも言い切れない(どっちだ)
豆腐は食べるものです。日常の食品。
漆器は日用品にもなり、工芸品にもなります。
この作品では、美術工芸品として「未来」への希望を
見い出すような終わり方をしていて、現状からの脱却
という点で、間違っていないとは思うのですが
手の込んだ工芸品は、使われずに飾られてしまうような
ケースが多いのでは とも想像してしまいます。
次第に生活の場から遠ざかっていってしまいそうな予感…。
実用品としての漆器は、剥げたら何度でも塗り直し、繰り返し
何年でも何十年でも使えるという利点があるそうです。
「物を大事に」使う世の中に回帰するならば、漆器への陽の
当たり方も変わってくるのでしょうけれど。う~ん。
いずれにしても「塗り」の技術が廃れてしまわないよう
継承されて行けばいいなと、ただ祈るのみです。
※ 部外者の言い分とは承知の上で描きました。勝手な事を…と
気分を悪くされる方がいらっしゃいませんように。( _”_ )
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
共感コメントありがとうございます😊
やはり国民性ですか。話変わりますが、MLB🇺🇸の良さを認めつつ日本では先例が無いからと決断できないだろうという意見を目にしました。いつまで待つのか、と
思ってしまいます。生きるのが辛い人もいるのにと思います。
お祖父さんですね。ホームでもご自身作の器を使ってられたのでしょうね。継承者が居ないともったいないですよね。
おはようございます😃
詳しく楽しいレビューをありがとうございます😊
なかなか日常使いしにくい器ですが。
最近よくLGBTが出過ぎな印象。
私たちにより国に向けて訴えて欲しいです。何が国を抑えているのでしょう?