劇場公開日 2024年4月19日

「凪目線の新たなブルーロック」劇場版ブルーロック EPISODE 凪 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凪目線の新たなブルーロック

2024年4月21日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

原作未読ながらテレビアニメで魅力にハマり、毎週楽しく視聴していました。その劇場版ということですが、凪のエピソードということでそれほど期待せずに鑑賞予定に入れていました。そんな人が多かったのか、舞台挨拶中継のある公開2日目の鑑賞であったにも関わらず、観客は若い女性を中心に20名程度とかなり寂しい客入り。でも、いい意味で予想を裏切る出来栄えで、見応えのある作品で大満足です。

ストーリーは、ゲーム以外に興味を示さない無気力な高校生・凪誠士郎が、W杯優勝を夢見る同級生・御影玲王に誘われてサッカーを始め、その天才的センスで注目され始めた頃、日本をW杯優勝へと導くブルーロックプロジェクトからの招待状が届き、ブルーロックと呼ばれる強化施設内で全国から集められたストライカーとともにしのぎを削る日々の中で、少しずつ変容する姿を描くというもの。

凪と御影の出会いからブルーロックに至るまでは、ポイントを絞ってシンプルにテンポよく運び、そこからはセレクションでのプレイを通して少しずつ変容する凪を丁寧に描いています。それに呼応するように揺れる御影の心情も大切に描くことで、二人の約束の重さ、絆の強さを感じさせているのもいい感じです。ブルーロック初心者にも優しい話運びに好感がもてます。

中心となる凪と御影もさることながら、ブルーロックで個性豊かなライバルたちが数多く登場することも、本作の大きな魅力となっています。その中でもテレビシリーズで印象的だったキャラにスポットを当てながら、彼らが凪にさまざまな影響を与えたことを感じさせる描写がうまいです。

もちろんプレイシーンの迫力も健在で、サッカーに詳しくない自分でも超高校級のすごさを感じることができました。テレビ版で見せた、思考に思考を重ねて己を更新する潔とはまた違い、天才肌の凪は心情面の覚醒のように見え、その対比という点でもキャラの個性をしっかり描いているように感じます。

ただ、ストーリー的には凪の覚醒と変容がメインですし、尺の都合で最後まで描ききれないのはわかってはいたものの、終盤での2次セレクションの駆け足ぶりは気になりました。全体の構成が難しいところではありますが、もう少し早い場面で終幕としてもよかったようにも思います。あと、初見でもストーリーは追えると思いますが、ブルーロック内でしのぎを削るヒリヒリした感覚を想像できないと、本作から受ける熱さが大きく変わってくると思うので、できればテレビシリーズを少しでも視聴してからの鑑賞がいいと思います。

キャストは、島崎信長さん、内田雄馬さん、浦和希さん、海渡翼さん、小野友樹さん、神谷浩史さんら、人気声優がずらりと顔を並べます。

今回は舞台挨拶中継があり、島崎さん、内田さん、浦さんのトークを楽しむことができました。それぞれがキャラに熱い思い入れをもち、それこそ同化して演じていたことが伝わってきました。中でも、テレビシリーズと同じ場面の潔の演技でも、「今回は凪目線での演技を求められた」という裏話が聞けたの新鮮でした。確かに同じ場面でも聞き手の心情によって聞こえ方が異なり、受ける印象も変わってくるものだと思い、プロの求めるクオリティの高さに驚きました。

おじゃる