「試合で」劇場版ブルーロック EPISODE 凪 ひとさんの映画レビュー(感想・評価)
試合で
原作を読んでいて、アニメも視聴済み。
(エピソード凪の漫画は未読)
もともと派手な技の出し合いが魅力の漫画なので、映像化するとなると作画コストがとんでもないことになる作品。
ド派手な技のシーンにクオリティを集中させることにより、どうしても試合中の他のシーンの粗が目立つ。
そしてそこを見ることにより一気にテンションが下がり、毎話アニメを見終わった後の満足度が高かったことはほとんどなかった。
それでも、わざわざ「劇場版」で凪の感情を描きたいのなら、もっともっと、何よりもどこよりも試合に重点を置いてほしかった。
超絶技巧の出し合いの「前後」の駆け引きが全くないので、その瞬間にスポットライトが当たっていないキャラはフィールドにいないも同然。
他のプレーヤーがどこにいて、どういう動きでそのポジショニングが出来て、どういう経緯でその考えに至ったのか。そこがブルーロックは決定的に弱い。
(というかそもそも原作でも描こうとしていない。)
そんな中で補完して欲しいというのも酷な話なんだけど、やっぱり単なる技の出し合いがコマ切れで起きるだけだと、アニメの二の舞。
映画はアニメでのマイナスを踏まえて、気合い入れて作ってくれたのかと期待していたけど、そうじゃなかったのか...というのが感想。
試合の運びの描き方がおろそかだから、その時に技を出しているキャラ以外の人が何も考えてない超絶下手な選手に見えてしまい、こんなに天才的なプレーが出来るぞ!っていう凪をうまく持ち上げられない。
そんな「本気度」が伝わらない試合の中で起こる凪の感情の変化を、見てる側は共感できない。
そこまで計算してシナリオを作るのは難しいけど、「全く描かない」という形で諦めないで欲しかった。
せっかくアニメで問題点が浮き彫りになったのに、映画で全く同じ轍を踏むなよ...という話。
サッカー漫画なんだから、試合で最大限魅せてほしかった。
原作的に難しいなら、違った見せ方での作画を考えてみるとか。
プロの作り手の矜持をもって、テコ入れしてでも...とにかくもっと創意工夫して魅せてほしかったです。