映画 窓ぎわのトットちゃんのレビュー・感想・評価
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とてもいい映画ではあったけれど、1番のテーマとは、?
原作の小説を何年か前に1度読了済みで、今回実写版がやるとのことで鑑賞。
簡潔に言えばとても綺麗でいい映画だったと思う。
トモエ学園に転入したことで出会った校長先生、泰明ちゃんを初めとした同級生たち、トットちゃんを陰ながら支える両親のお陰で自分らしさを全面にさらけだしていき、素敵な女の子へと成長していく姿はとてもたくましく、同性としてすごく尊敬する気持ちが芽生えた。
アニメーション自体も可愛らしく描かれており、年齢層的には子供向けのような気がするが全然大人でも楽しめる映画であると思う。
ここからは評価を満点にしなかった理由を、、、。
まず1つは、タイトルにもあるようにこの映画のテーマとは?と感じてしまった。
泰明ちゃんとの友情物語や、家族との愛情物語、校長先生との絆、色んなところに焦点をもっていった結果、2時間という限られた時間の中でどのテーマに対しても浅はかな状態で終わっていたので少しすっきりしない感じが残ってしまった。
あと1つ、ラストの終わり方もそこで終わるのか、と思うようなところで終わっていたので果たしてこれは続編があるのか、ここで終わりなのかという疑問が浮かんだ。
とてもいい映画だったが、起承転結がいまいちよく分からなかったかもしれない、、。
とても感動しました
トットちゃんの声の女の子
大野りりあなちゃんが本当にかわいい絵とピッタリでした!登場したときからホントにいるみたいに感じました。実際に7歳の女の子だったということを後で知ってとても驚きました。
もちろん役所広司さん。小栗旬さん。杏さん。滝沢カレンさんもとてもよかったです。
背景も素晴らしい。とてもリアルなのにやさしい色合い。本当にきれいでずっと見ていたいと思いました。手描きの水彩画と聞いて驚いています。
オーケストラの演奏やバイオリンを引く指の動きにも感動しました。
トットちゃんとヤスアキ君の友情にもいろんな思いが詰められていて何度も涙ぐんでしまいました。
あいみょんさんの歌も素敵です。
お話は戦争へと向かっていくのですが、今はガザ地区の子どもたちと重なってしまって涙が止まりませんでした。終わって照明がついても暫く立てませんでした。
本当に感動しました。たくさんの人に見てほしいと思います。
子どもの頃に読んだ、その記憶より美しく悲しい
最初に予告で見たときは、読んだ当時の記憶があまり浮ばず、タッチも好みじゃないかな、と観るのに及び腰だった。
海のものと山のもののお弁当で、ああ、と思い出した。
トットちゃんの魅力的な挙動や財布を落としたエピソード、リアル寄りの描写とイメージアニメーションが美しくて、たぶん、小学校の頃に窓際のトットちゃんを読んだ当時受けた印象より鮮やかに残った。
ご本人のナレーション、良かった。
✨傑作✨
子どもの頃に黒柳徹子さんの名前が出るたびに幾度となく母親は『あぁ〜トットちゃんね』と言っていた。あたしにとって黒柳さんは独特な間の取り方をするタマネギ頭のパンダのおばちゃん。トットちゃんの印象なんてないし、『窓際のトットちゃん』を読んでみようと思ったこともなかった。でも、この映画を観たら原作を読んだであろう母親の記憶に強く刻まれた理由がわかった気がする。
“困った子”と言われてしまいがちな“人と違う”子どもの描き方、その子との大人の適切な接し方、昭和初期の日本の暮らしぶりが見えたり、裕福だった家が戦争によって暮らしぶりが変わる様、ポリオを患う子どもの様子、それ以外にもトットちゃんの頭の中の世界のアートビジュアルの美しさ(特にパンダごろーんに黒柳さん愛を感じた)、予知夢的な映像の絵のタッチの違い、いろんな要素が子供にもわかりやすく盛り込まれていて、これ自体が素晴らしい教科書になり得るなーと感じた。
トットちゃんのような“人と違う”子だけが特別な体験や経験をしているわけでは決してなくて、人と違う子は人と同じ経験をしても違った捉え方が出来るってだけだと思う。黒柳さんにとって幼少期のヤスアキちゃんとの経験は強い爪痕が残されたから大人になってからでも色褪せることなく描写することができたんだろーなー。良い意味でのトラウマ体験。
黒柳徹子さんの青年期を描いたドラマ(満島ひかり主演)でも彼女の“変わり者っぷり”は健在だったと記憶してる。周りの目を気にして“変わり者”でなくなってしまうオトナも世の中にはかなり居るから、黒柳さんみたいな子供が変わらずに済む生きやすい世の中にもっともっとなるといいな❤ ❤ ❤
作品の冒頭でも“時代背景を伝えるために〜”という注意書きがあるけど、子供たちが裸んぼで水遊びをしている状況を『不適切な描写』とか馬鹿げた事を言い出す人がどぉか居ませんように🙏
斜め前に座ってた70歳前後の男性が何度も眼鏡を外して涙を拭っていた姿が印象的だった作品。
徹子の
部屋がどうして平日日中の番組なのか?
がわかったような気がした映画だった。
もし、それがこの幼少期の体験と小林校長の
意志を継いだものだったとしたら徹子亡き後の
部屋はどうするつもりなのかなぁ?
と言う疑問も同時に起こったがw
まぁ、効率や経済的合理性の延長で思考する限り
理解できない出口なんだろうから。
出てきた答えにしっかり反応させていただこう◎
今という時代に、またまたジャストフィットな映画
オススメしたいね!(^^)
是非是非見て欲しいです。
子供の動きは、火垂るの墓。モブの細やかで緻密な動きによる街の雑踏は、この世界の片隅に、的なレベルでした。。。。わかっていただけますでしょうか?
また、ちびまる子ちゃん私の好きな歌、のような音楽シーンもあります。つまらない紹介ですが、とにかく水準が高いのを知ってほしい。
音の設計も、うっすら聞こえるハトの鳴き声とか、ああ、この感じ知ってるなと思える環境音が素晴らしかったです。(音楽は耳をすませばの野見祐二さん!!!大好きなのですが、結果どんな音楽だったか全く覚えてないくらい、映画に集中してしまっていました。)
非常に映画的な映画で、説明的でなく、かなり読み取りが必要なくらいでした。
なぜか予告だと、ほんわか系、感動系、お利口なお話的な感じがしちょっと警戒してしまっていたのですが、始まった途端画面に満ちている実在感に圧倒され、やったぜ!当たりだ!と分かってしまいました。
果たして、素晴らしい作品でした。
これは徹子さんの子供時代、戦争が激化するまで通っていたトモエ学園という私設の学校での出来事を書いた話で、
何をみても全身で喜びを表す元気いっぱいのトットちゃん、そんな子供たちを心から思う小林先生、戸惑いながらも子供を信頼している両親、、、出てくる人が素晴らしく、本当にこれから少しでも自分もそんなふうに生きていきたいと思いました。
人と一緒に生きることとは?いずれ大人になっていく子供に何を伝えられるか。
宝物のような子供時代を分けてくださってありがたいです。
絵作りでちょっと変わっている唇などの表現も、確かに好みはありますが、
中身あっての、手法としての表現なんだから、表現をお客の好みに寄せず難しいことをやっていてすごいなと思いました。
実話でここまでドラマになるのがすごい
2023年劇場鑑賞298本目。
小学生の時に母からもらって原作は読んでいて、未だにほぼ内容を覚えているくらい面白かった本です。
しかし予告のトットちゃんの派手な顔を見て「えっ、チャイルドポルノ?」と不安に。黒柳徹子に気を遣いすぎてこんな事になってしまったのかと思ったのですが、本編を見ると全員厚化粧だったのでそういう世界なんですね。直に慣れました。
記憶のとおりに進んでいくので、驚きはなかったのですが、やっぱり面白い。本から持っていた印象よりだいぶ広かったり、逆に木が小さかったりはしたのですが。
小学生の時はトットちゃん視点で読んでいたのですが、今だと校長先生視点で観れたのも良かったです。
子供連れが多くてこれ大丈夫かな、スパイファミリー待ったほうが良かったんじゃない?と思いましたが、面白かったと言っていた子もいて安心しました。半分くらいで「もういい〜」としゃべってる子もいましたが(笑)
子どもを信じること、向き合うことの大切さ・難しさ
子どもの頃、母に勧められながらも興味を示せなかった「窓ぎわのトットちゃん」。正直、本作も観ようかやめようか迷っていましたが、予告のやわらかな雰囲気に誘われ、公開初日の高評価に背中を押され、鑑賞してきました。
ストーリーは、小学校に入学したものの落ち着きのなさに手を焼いた学校側から転校を求められたトットちゃんが、自主性を尊重するトモエ学園に転入し、軍靴が響き、銃後の守りを強いられる中においても、小林校長先生の理解や同級生との温かな交流に支えられ、のびのびと成長していく姿を描くというもの。
天真爛漫だけど、他の子とはちょっと違うトットちゃん。“ちょっと違う”というのは個性であるはずなのに、多くの大人は“ちょっと手がかかる”=“困った子”と捉えてしまいます。そして、自分の思い通りにならない子や型にはまらない子に、”困った子”の烙印を押してしまいます。
でも、トモエ学園の園長先生は違います。子ども一人一人の可能性を信じ、よさを見出し、とことん向き合っていきます。子どもを大切するとはこういうことなんだと思い知らされます。ただ、同時にその難しさも伝わってきます。子どもとの丁寧な対話、一人一人の確かな見取り、個に応じた教育カリキュラム、環境整備、全職員での共通理解など、いったいどれほどの手間と時間と費用が必要なのか計り知れません。
しかし、その教育が子どもたちにしっかり根づいていたことは端々から伝わってきます。前の学校ではみんなから疎まれていたトットちゃんをすぐに温かく受け入れ、同級生の泰明ちゃんは会った時から自分が小児麻痺であることをトットちゃんにきちんと伝え、子どもたちそれぞれに取り組みたい学習があり、それが居場所にもなっていて、他校の子の悪口や暴力にも屈することなく、かといってやり返すこともしません。みんなトモエ学園が大好きなのです。
また、トットちゃんの両親も、包容力のある素敵な大人として描かれています。我が子を頭ごなしに叱るようなことは決してしません。大人はとかく先回りして子どもの歩く道からリスクを排除したくなりますが、それでは子どもは失敗を何一つ経験できません。それは、失敗の原因を考える、そこから立ち直る、次に工夫するといった、失敗に付随する経験も奪うことになります。劇中、トットちゃんは、両親が止めるのを押し切って露店で買ってもらったヒヨコが、ほどなく死んでしまうという経験をします。命には限りがあり、慈しみ深いものであり、だから生きている時間が大切なんだと、幼いトットちゃんは肌で感じ取ったのではないでしょうか。もちろん両親は「ほら、ごらん!」などと責めるようなことは決して言わず、「あなたは、何も悪くない」と慰めます。
本作は、そんな園長先生、泰明ちゃんをはじめとする学園の友達、両親に向けて、黒柳徹子さんの感謝の思いを形にしたものだと思います。本当に周囲の人に恵まれて育ったのだと感じます。でも、それは黒柳さん自身が引き寄せたものでもあると思います。ただ素直で正直で思ったことを口にしてるだけで、今風に言えば空気が読めないトットちゃん。その裏表のなさが彼女の魅力でもあります。その魅力に惹かれた人たちが、彼女に寄り添い、輝かせたのです。
人の性格や性質なんて、受け取り方しだいでどうにでも映ります。大切なのは、それを“よさ”として見ること、いわゆるリフレーミングです。個性尊重、多様性の時代と言われながらも、まだまだ画一性を求め、他人に不寛容な風潮はなくならない、そんな現代だからこそ、多くの人に観てもらいたい作品でもあると感じます。
キャストは、大野りりあなちゃん、役所広司さん、杏さん、小栗旬さん、滝沢カレンさんら。声優を起用しないキャスティングは嫌いですが、本作のような自伝的作品では、飾り気のない自然体の台詞回しのほうが合っていたような気もします。特に大野りりあなちゃんが、よく頑張りました。
教え
原作が素晴らしいのは知ってたけどアニメ映画優秀!
作画がー! とか安いアニヲタみたいなことは言わないぞ。
トットちゃんが見るイメージの世界アニメーション表現に、脳トロトロ感乗せながらトットちゃんどんな娘なのかを伝える、トットちゃんの家庭へも朝食のテーブルに、台所のコンロへ、風呂場の蛇口にまで幸せと豊かさと愛と正しさを乗せる作画演出。
小物の一点一点にまで心情と意味を忍ばせる。
これと対比するかに後半、忍び寄る戦争の影を街の風景に、学校の胸像に。この世界は正常なのだろうかと?
ドイツと組んで安泰!みたいなシーン有るけど、あん時のドイツTOPヒトラーだからな、オーケストラの先生国捨てたんそう言う事だからな、そこに日本喜んでたからな。
宮崎監督嫉妬するんじゃ無い?監督としてじゃ無く高畑勲演出のような静かな巧みさに。
凄い映画だよ、マイゴジに足らなかった戦争が何故良く無いかが描かれてた。
そうだよ、核落とされるからじゃ無く、特攻させられるからじゃ無く、人死んじゃうからじゃ無く、そこも有るけど本当に怖いのは正しさが曲げらるんだよ世界そのものに。
戦争が良い事で正しい事だと皆んな錯覚しちゃう盲目的世界に支配されんだよ戦争って。
バカだった日本2次大戦で大負けするまでノリノリで戦争やってたんだよな、
はみ出しても、ルール解んなくても、ウンコ塗れでもトモエ学園の教えのが正しいんだよ、歌いたい歌も禁止された世界でヤスアキちゃんと雨に奏たリトミックの美しさと人間の素晴らしさよ。
あそこで学んだトットちゃんが芸能界イチ、自分の部屋に芸能人連れ込む人になるとは・・
え?徹子の部屋って言ってるじゃん!
今の人達に自由ヶ丘や田園調布の田舎っぷりが理解されるだろうか
自分の記憶違いでしたが、コレ初めてのアニメ制作だったんですね、過去に何度か制作されたとばかり、それ程にあの当時売れた作品だったので。メディアミックスとしての映像化はドラマが2017年と近年になってからなのは少々驚きでした。
本作は比較的良好なストーリーで、時代背景も昭和初期の当時の日本の様子が凄く良く描写されています。
画質も動画も『シンエイ動画』なので少々心配なトコはあったとは言え、キャラデザが昭和の子供向けなテイストなので全く問題ナシ(最近は高木さんくらいしか鑑賞してないので)。
内容は、前中盤の子供の無邪気さが微笑ましくも危なっかしく、昔はあァだったな、今じゃ考えられないなと思いながら、自分はその時代の人間では無いのですがヤケに懐かしさを覚えました。年寄り臭い言い回しですが、古き良き時代とでも言うのでしょうか、太平洋戦争時代なので良いワケゃないのですが。。。
そう云う意味では、今の人達には寧ろ新鮮なのではないかとも思いますがどうでしょう? 風呂や便所など「何だか解らない」部分(北米の某国で本作の映像流したら多分捕まるw)も多々ありそうですが‥‥
後半に入るとやはり戦争ネタが綴られる訳ですが、結構駆け足展開でそんなに詳しく細かく描写されませんが、暗ーい時代の悲哀がそれなりに伝わってきます。
マイナス・ネガティブな感想は3つ、1つはキャラデザ。ベティちゃんを彷彿させるキャラは昭和の絵本みたいで悪くはないですが、今の時代に少々合わない気がしました。喜怒哀楽の表情が大袈裟なのは毎度のことで、本作はソレに加えてシワクチャになるのが結構気になります。
2つ目は物語の終わらせ方がマズイかと。アレでは御本人のテレビでのご活躍を知る人にはともかく、作品としてはバッドエンドに思えてしまいます。対照として『この片』が挙げられますが、アレは原爆からの終戦でドン底から這い上がる希望をシッカリ匂わせたラストシーンでした。本作は原作通りとしたら個人的にはあまり良いとは思いません。
加えて校長先生のラストシーンのラスボス感? 何故にアァ言う演出なの?w
そして3つ目はハイまた『中の人問題』が炸裂。今回は大目に見て「まぁイイや」と割り切っても良いレベルです。ただ言えるのは役所広司サンの演技は、舞台俳優だから?唯一良い線行ってたと思われます。
やはり舞台の演技は客席から認識しやすい様にデフォルメされるのでしょう、ロジックがアニメのソレと類似してるのかマズマズの中の人だと思えます。片やタレントさんの方は‥‥ 子役の方はノーコメントでw
と言う訳で、個人的には面白く鑑賞できたとは思えますが、良い所も悪い所も相変わらずだったという印象です。また、隣の席のバァちゃんがコチラの視界に度々入り込んできてウザかったですが、コレは自分のクジ運の悪さを恨むしかないデス‥‥
原作リスペクトが実を結んだ!
ずっと温かいものに包まれていられる114分間。
物語の色褪せない充実した味わい。
アニメーション表現としての覚悟とプライド、冒険心とストイックさ。
演技の素晴らしさ。声優はもちろん、画の演技。こんなに繊細な表情のアニメーションあったかな。
脚本・アニメーション・音楽、それぞれ心を尽くして原作をリスペクトするチームの一体感が美しい。
映画は往々にして技巧的になるけど
やはり伝えたいことを
描ききろうと全力で挑む作品には勝てない!!
ここにきて、まさかの年間ベスト!!
自由とは何か?
子供の事とても流行っていて私も読んだ記憶がありますが内容は
全く記憶に無いのでほぼ初見です。
何等かの賞を取るべき一作かと思いますがセンシティブな内容も
あるのでそこが難しい…しかし時代を考えればそうであろう表現で
ありそういう嘘をつきたくはなかったんでしょう。
生き生きとしたトットちゃんの目線で語られる本当の自由とは何か?
御本人曰く「母にしても校長先生にしても、子どもを一人の人間として接してくれる大人に囲まれて育ったんです」
「体に障がいを持った子どもが何人もいましたけど、「助けてあげなさい」なんて先生は一回もおっしゃいませんでした。「一緒にやるんだよ。みんな一緒だよ」とそれだけ」
そして戦争という時代。
今問うべき内容かは分かりませんし私も残滓くらいしか分からない世代で
どのくらい伝わるのか疑問はありますがよく作られているんじゃないかと思いました。
アニメーションだからこそできた名作
トットちゃん視点からの想像(イマジネーション)の世界を、アニメーションだからこそ映像化できていました。
濃密な映像表現、ただ表面的に観ただけではスルーしそうな重厚な描写。
発売当時のベストセラー&ブームの折には、黒柳徹子さんの更なる人気のアップとともに、自由かつ一人ひとりの個性に合わせた学校教育の在り方に注目がいきました。
特に音楽のリズムによる心の育成(リトミック)や、廃車になった電車を利用した教室など、トモエ学園を理想の学校化するあたりが話題となったような。
この映画は、そんな教育も扱いつつも、芯は「命の尊さ」を見せていたのかなと。
ひよこや同級生の死、戦争に突き進む世の中。
命を慈しむ両親やトモエ学園の先生たち。
トットちゃんが、生きることを学び、成長していくことをしっかり描いてありました。
ただ、説明的なセリフを排除して、画として"命を軽んじる世の中"や、"子どもにまともに食事を与えられない国"を見せるにとどまったため、当時の世相に関する知識がないと何を見せられているかは理解しにくそう。
たとえば、トットちゃんのお父さんがいる楽団の指揮者は、ドイツを追放になったユダヤ系指揮者で、のちのNHK交響楽団を作ったローゼンシュトック。
戦争が激化していくうち、大井町線の駅員さんはおじさんから女性に代わったのは、おそらく徴兵されたのであろう。
そういうことも一切説明されていない。
映画としての「格」や「気品」を備えるには、観る側に知識、学力、経験、リテラシー、想像力、敏感なセンサー、感情の豊かさが基本的に必要。
観た人間の中身が満たされて、その引き出しの深さ、バリエーションの豊富さがないと、
感情が揺り動かされることがない。
字幕の文字色や大きさで「はい、ここ笑うところ」「ここ泣くところ」と誘導されるTVバラエティー番組やYoutubeなどに慣れた人々や、そもそもの経験値が少ない子供にとっては、後半について「なんだかよくわからない」と思ってしまうかもしれません。
理解できれば、(今の時代を含めた)子どもの貧困を放置し、飢えて泣く子どもを不謹慎と叱り、戦争を喜ぶような「大人の醜さ」と同時に、子どものひたむきさ、純粋さも見えてくるのですが。
『漁港の肉子ちゃん』『この世界の片隅に』『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』などの名作に近しい感触がありました。
小林先生
「その前に先生と少しお話をしないかい?」
ご存知、女性テレビ司会者の第一人者にしてテレビ草創期の生き証人、90歳を過ぎた現在も元気いっぱいの黒柳徹子さんの物語。
とてもよかった。同時に、とてもつらかった。
昭和15年(1940年)、お転婆が過ぎて尋常小学校から自由が丘のトモエ学園に転入することになった"トットちゃん"(声:大野りりあな)。両親は学校に馴染めるか心配だったが、校長である小林先生(声:役所広司)の独自の教育方針のもと、トットちゃんはすくすくと育っていく。やがて、トットちゃんは小児麻痺の同級生・ヤスアキちゃんと出会う。
なんてったって小林先生がいい。その教育方針は現代から見ても信じられないもので、これを今から80年前に実践していたというのだから驚きだ。この小林先生との出会いがなければ、トットちゃんはただの問題児として片付けられてしまい、ひいてはその後のテレビの歴史も大きく後退していたかもしれない。
だが一方で、これは「小林先生だからこそできたこと」だった。実際にはこの裏に何十人、何百人のトットちゃんがいたが、残念ながら一個人にできることは限られていた。現在だってそうだ。だから僕は安易に「小林先生を見習え、トモエ学園を見習え」なんて口が裂けても言えない。更に言えば、黒柳家の両親も含め、トットちゃんの周りの人々は当時としてはかなりの富裕層であり、そして理解のある大人達だった。実際、劇中でヤスアキちゃんのお姉さんは英国に留学しており、そこで世界を平和にするかもしれない「ある発明」のことをヤスアキちゃんに伝え、それをトットちゃんがヤスアキちゃんから聞く描写がある。だからトットちゃんはトットちゃんでいることを許されたのであり、そもそもそういう機会すらほとんどのトットちゃんには与えられなかった。このことを思うとき、心が温まると同時に絶望感をおぼえた。
元々の画がみやすく、また登場人物も実際の声を担当された方に寄せた外見であったため抵抗なく観られた。途中、想像の世界では画のタッチが変化し、ここはかなり攻めていて大人しいながらにかなりの意欲作であることが窺える。
本当は話したくなかった。観終わった後、ずっと自分の中にしまい込んでおきたかった。自分の中でのいい思い出が他人の野次に汚されるのは嫌だったし、これだけの作品を自分の野暮な表現で染めてしまうのも気が引けた。だがそれ以上にこの作品がただのOne of Themとして埋もれてしまうことの方が僕は我慢ならなかった。だから恥を忍んで書く。
改めて、黒柳徹子さんと声の皆様をはじめ、製作に携わった全ての方々、とても素晴らしい作品を観せてもらいました。ありがとうございました。
トモエ学園、いい学校。入ってみても、いい学校。
時代
良い面も悪い面もありますね。細かいことにこだわらないおおらか面は現代とは違い羨ましい面もですが、やはり物資が少なかったり、戦争と直面したりと大変な面がありますからね。トイレや冷蔵庫、切符…、色々な物が懐かしい部分もありました。トットちゃんの自由奔放さは生まれつき+育った環境だと言う事が良くわかりました。
懐かしみ、感心し、泣いた。
普段はアニメ映画はほとんど観ませんが、タイトルに惹かれて鑑賞しました。
映像が詳細で美しいので、ついつい画面の隅から隅まで見回してしまいました。見覚えありそうな街並みや、家の中のさり気ない小物の数々。昭和世代には何もかもが懐かしいやら嬉しいやら。(真鍮のネジ式の窓の鍵など涙もの)
机や窓枠の木目には細かい傷や凹みまでが描かれているし、トットちゃんの指先の膨らみには、確実に体温が感じられました。キャラクターの自然で繊細な動きも一挙手一投足見逃せず、あれもこれも感心しきり。瞬きを忘れて見入ることもしばしばでした。(最近のアニメはここまでやるんですね)
肝心の脚本はと言えば、原作が単発エピソードの羅列に近いのに、シーンを上手に繋げて上手いこと1本の映画にまとめていた印象で、2時間があっという間に過ぎてしまいました。(原作ファンの期待を裏切る要素は、およそ思い当たりません)
そして、遥か昔に原作を読んだ時とおそらく同じ箇所で、やはり涙が溢れるのを抑え切れませんでした。( むしろ、あの頃よりも派手に泣いたかもしれません)
あいみょんさんの主題歌を聴きながら、泰明ちゃんの顔が夭折した自分の同級生の顔に重なって、エンドクレジットを読むのを阻まれました。
懐かしい本の映画で、普遍的な何かを体験できました。
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