映画 窓ぎわのトットちゃんのレビュー・感想・評価
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小学1年生で「退学」させられるなんて。
幼いトットちゃんを巡って色々なエピソードがつづられるが、どれも心に沁みとおる。映画を見終わった頃には、トットちゃんを始めトモエ学園の仲間やトットちゃんに関わる大人たちがとても好きになっているだろう。暖かくて切なくもある作品でした。
トットちゃんとトモエ学園の出会いがとても印象的である。普通の学校では、好奇心のままに行動して規律を乱すこどもは望ましくない。小学1年生なのに「迷惑だから他の学校へ行ってくれ。」と退学させられた黒柳徹子も大したものだと思うが、彼女のすべてを肯定して「君はほんとうは、いい子なんだよ。」と受け入れるトモエ学園も大したものである。こどもの好奇心と自主性を大切にする学園にとっては、まさにぴったりの生徒だったのだろう。トットちゃんの方も、トモエ学園でその自由な天性を開花させる。
小児まひで体が不自由な泰明ちゃんとの交流を通して、トットちゃんは人生で大切なことを多く学んだ。それは一言で言えば「人への思いやり」であり、それを形に表す「行動力」である。木登りやプールなどいくつものエピソードを重ねて、二人の気持ちがよく伝わるように描かれていた。
原作は知らないが、映画ではこどもの視点だけではなく、おとなの視点や社会情勢もうまい具合に描かれていたと思う。運動会で、トットちゃんと泰明ちゃんの母親が、手を取り合って喜ぶ姿が印象的である。心配ばかりだったわが子が、力を合わせて頑張る姿は感慨深いものであろう。いつもこどもたちをやさしく見守る小林校長先生の、教育者としての熱いまなざしも共感できるところである。そして身近な「死」や「戦争」の理不尽さも、物語に奥行きを与えている。
トットちゃんが好きになり、色々学ばせてもらいました。
正しい子育てと教育は何か?
🏫あらすじ
人一倍好奇心があるとっとちゃんが普通の学校で馴染めずに、リトミック教育を行っている小林先生とトモエ学園と出会う。電車が教室、個々で自由に色んなお勉強ができるトモエ学園に通うときのお話。
🏫学び
・喧嘩しないでいじめっ子に勝つ、ひよこがなくなったら悲しめる、小児麻痺の子どもと運動会で二人三脚完走するなどなどこれらすべて好奇心を奪われなかったからだと思います
・好奇心が誰かを変えるきっかけとなる
・好奇心が他人のいいところを見つけてくれる
・何歳になっても好奇心であふれることがなによりも大切
絵柄が…
泰明ちゃんのお母さんが泣くシーンと、校長先生が軍艦一覧を破るシーンはよかった。/これは好みの問題だから仕方がないのだが、絵柄が好きになれず。女子どもだけなんであんなにうるうる化粧してるみたいな絵なのか。
映像化することで顕になる違和感
原作は若い頃に読み、喉に刺さっていた小骨が、映像化されたこの作品を見ることで、その正体がはっきりわかった気がします。
トットちゃんは恵まれた家庭に育ち、軍国主義に毒されない立派な両親と教育熱心な教師と出会うことで、立派な人物に成長できたわけです。
それはそれで美談として成立するでしょう。
ただし、トモエ学園を馬鹿にする少年たちはいかにも貧困そうな服を着て、彼らを単純な悪役として描くのはどうなのか? 教養を身につける余裕のない多くの国民は、国の導くまま、戦争に協力したことは愚かだったのか?
映像化したことでそのあたりの作品に対する違和感が明白になりました。
アニメーションとしてのクオリティは高く、作品が訴えたいことの重要性は十分評価した上で、あえて「欺瞞」として映りかねない部分を指摘しておきます。
黒柳徹子はまさにレジェンド
言わずと知れた黒柳徹子のベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」の映画アニメ化作品でした。原作の方はまだ自分が子供の頃に出たものでしたが、これまで未読。黒柳徹子の子供の頃の話を小説にした作品で、自由が丘にあった自由な気風の小学校を舞台にした物語であることくらいの知識で観に行きました。予告編を観た感じでは、絵柄も優しい感じで、セリフから受ける印象も極々子供向けの作品であり、普通の小学校では受け入れきれない奔放なトットちゃんこと徹子少女を受け止めてくれた、極めて現代的な学校を巡る話だと思っていました。
しかし実際に観てみると、当初の予想よりもかなり奥深い話でした。昭和8年生まれの黒柳徹子の小学校時代の話であるため、トットちゃんが小学校に入学したのが対米戦争開戦直前の昭和15年。既に対中戦争は10年近くに及んでおり、欧州では第2次世界大戦の火蓋が切って落とされている時期でしたが、東京はまだまだ平和な様子で描かれていました(実際にそうだったのでしょう)。翌16年12月に対米開戦、トットちゃんの父親が「これからは(英語が使えなくなるので)パパ、ママではなく、お父様、お母様と呼ぶように」とトットちゃんに言った場面が出て来ますが、以降戦況が深刻になる毎に東京の街の風景もどんどん変わっていく様子が描かれていました。そして昭和20年の敗戦直前まで描かれて本作は終わりましたが、トットちゃんが通ったトモエ学園小学校も空襲で焼けてしまうという、なんとも悲しい物語でした。
そうした時代状況の描写とともに涙腺を緩ませたのが、トットちゃんと同級生の泰明ちゃんとの交流。小児麻痺で半身の自由が利かない泰明ちゃんを、トットちゃんが木登りさせたり、運動会で二人三脚をしたりと、それまで家に籠って本ばかり読んでいた泰明ちゃんにいろんな体験をさせるトットちゃん。しかし生来の虚弱体質には勝てず、縁日で買ってきたヒヨコのように夭逝してしまう。
子供向け作品だと思って油断していた自分としては、戦争と言う社会状況と併せて、あまりに冷酷な現実をまざまざと見せつける本作に、不意を突かれて動揺するとともに、涙してしまいました。
話は変わりますが、最近観た「ゴジラ-1.0」や「ほかげ」は、終戦直後のどん底の時期を描いた作品でした。焼け野原になった東京の街で、飢餓とか貧困にあえぐ人々の苦悩が見て取れる作品であり、それはそれで辛いものがありました。ただ本作のように平和な日常から、戦争に突入して社会が悪い意味で統制されて行き、さらには空襲を受けて学校や街が焼けてしまうという喪失感は、想像するだに恐ろしくも虚しいものであるということを実感しました。昨年来、ウクライナやパレスチナで戦乱があり、我々も報道を通じて現地の状況を垣間見ていますが、当地の方々の苦労や心痛と言うのは、想像を遥かに上回るものなのだろうと思われました。
そういう意味では、非常に時宜を得た作品だったのではないかと感じたところです。
それにしてこうした体験をした黒柳徹子が現役でテレビに出演し続けているというのは、本当にすごいことだなと思わざるを得ません。そんな訳で、内容の意外性に乾杯ということで、評価は★4.5とします。
意欲的なアニメ表現と演出の数々
文句なしに面白かった!!
ジブリや新海誠、或いは鬼滅の刃といったようなハイコストな作画にあまり頼ることなく、果敢にアニメ表現や演出の数々で勝負している作品。
お行儀の良いストーリーとはいい意味で対照的な、結構攻めた表現を意欲的に採用しており、そこに注目して観るだけでも十二分というくらい価値がある。
比較的裕福な家庭で育った、トットちゃんの綺麗なお洋服と活発な振る舞いが、時代とのギャップを際立たせる強烈なコントラストとして描かれている。この時代のこんな見せ方ってあるのか…。
キャラクターも皆魅力的に描かれており、なにより、子役も含めてちゃんと絵に合わせた声の芝居ができる役者さんを集めているのが素晴らしい。
ストーリーも宮﨑駿の後期作品や新海誠よりはよっぽど面白かったし、似非ジブリっぽいアニメより、こういう作品こそもっと持て囃した方が日本のアニメ業界の将来の為になると思う。
ハイコストな作画や世界観、質感で殴ってくるタイプの作品も嫌いではないのだけど、やはりこういう挑戦的かつバランスのいいアニメーションをちゃんと評価したい。
ほっこり涙活
原作未読。
この世界の片隅に みたいな、ほっこりした絵柄と日常生活の丁寧な描写…
それとは裏腹な戦争の虚しさ、悔しさ。
素敵な作品でした。
どうしても比べてしまうのが…
直近見たアニメーション映画:ウイッシュ
トットちゃんも多様性が題材の1つでもありますが、ウイッシュみたいな押し付けがましい感なくスっと心に入ってきました。
最近見た戦争映画:あの花が咲く丘で君とまた出会えたら
あの花は戦時中なのに危機感ゼロのヒロインが浮きまくり、感動できず消化不良。
トットちゃんで涙活させてもらいました。
ウイッシュやあの花を見ようか迷ってる友人が居たら、それよりトットちゃん見れば十分だよ!!って勧めます(笑)
黒柳徹子さんの大切な思い出
・人の成長は係る人によって全然変わってくるんだと感じさせられます。(黒柳徹子さんが黒柳徹子さんになることが出来た素晴らしい方々。)
・校長先生が素晴らしい人柄。
・イメージはこの世界の片隅にですが、そこまで重たくないので、見やすいです。
まじで観てよかった
ゲゲゲを観ようと思ったが、時間が合わずこちらを鑑賞。
中間色の優しい世界とモノトーンの残酷な世界。
セリフで語らず、職人仕事のアニメーションで語りまくる。
原作の素晴らしさだけでなく、映画としても素晴らしい今この時代にこそ観るべき作品。
まじ観てよかった。
トットちゃんの束の間の日常と変わってゆく世界
黒柳徹子さんの幼少期を描いたアニメーション作品。
戦争が始まる少し前のトモエ学園のトットちゃんと子供たちの日常がユーモアを交えて描かれていて、ほっこりしました。
戦争が少しずつ日常生活に影響を与えていき、人々や社会が段々と変化していくのもリアルでした。
地味さが逆に眩しい
たまたま近い時代設定の映画や、感動巨編を立て続けて見たせいか、スタンダードなアニメーション映画としての今作が、やたら新鮮に感じました。
思えば昔からこういうラインの映画(実写、アニメ)は大ヒットとか目立つことなく、さりとて中々の良作が地味に続いているという認識なんですが、昨今の突拍子のない世界設定やら非現実的なキャラクター達で感動を演出される派手な量産型映画より、実際のこの世界で実際の人たちが紡いだ、素朴だけど実際の出来事を過剰に演出しない物語が今やむしろ輝いて来ていると感じました。
こういう映画、絶やすことなく続けていってほしいと思います。
面白かった。
よつばとのよつばのような主人公がトモエ学園という自由な学校に行く話。
この作品の見所は以下の3つです。
1.主人公の天真爛漫なお転婆ぶり。特に序盤の脈絡のないトットちゃんの言動は面白かった。
2.トモエ学園の小林先生の教育カリキュラムはとても興味深く、現代でも参考になるのではないかと思った。
3.物語後半の平民から見た戦争映画としては、この世界の片隅にを思い出しました。今のロシアも似たような状況なのだろうと思いました。
どれもとても興味深く考えさせられる良い映画だと思いました。
やはりキャラデザが…
もしかしたら、戦前の暗く重苦しい雰囲気を少しでも華やかに、という配慮でのキャラデザかもしれませんが、キツいですね…。
あと、子供たちの動きがなんだかひと昔前のアニメのようで、今の時代に観ると「子供ってこんな動きしないよね」と感じてしまいます。
背景キレイだなーと思っていたら、ジブリ映画で有名な男鹿さんでした。あと良かったのは、楽団員の方々のシャツの汗ジミでしょうか。
原作が好きなので観ない選択肢はなかったのですが、もう一度観ることはないと思います。
シンエイ動画の子供描写の積み重ねが反映された
シンエイ動画は「ドラえもん」の制作会社で、特に劇場版では子供たちの躍動や芝居に定評がある。本作では、その技術が惜しみなく使われている。
芝居も動きも圧倒的な物量で、物語も昭和回顧的な予告に反して、ADHDやLDの普通の学校になじめない子供たちの教育(実在した「トモエ学園」)の話で、今日の興味に即するものだった。
また、色彩設計も柔らかく、作中当時のの「童画」(たとえば、松本かつぢなど)の線や、血色の良い肌などが採用され、美術はキャラクターに合わせて水彩の手書き(+取り込みごデジタル加筆)が使われている。
戦争の描写が後半でやや主張しすぎるようにも思うが、
洋服などの色彩、子供たちの動き、音楽合わせのイメージシーンなど、2023年に傑出したアニメーション映画であり、子供たちにもオススメだ。
黒柳徹子さんの幼少期の事がよく解るアニメ。 本年度ベスト級。
ぶっちゃけ感動も涙も無し。
予告編で観たいと思わなかったけど、本作の舞台となったトモエ学園が自分の地元と言う事で鑑賞。
当時と今の違いを比較したかったけど、今の面影は一切無し(笑)
だけどトットちゃんが住んでる大井町線の千束駅や洗足池公園。
田園調布の街路樹。
田園調布から自由が丘までの線路脇の道。
隣街の九品仏(クホンブツ)浄真寺の天狗の足跡等、自分が行ったことがある景色が登場!
テンションが少し上がる。
黒柳徹子さんと同じ景色を見ていたと思うと何だか感慨深い(笑)
本作は黒柳徹子さんの幼少期の出来事を描いてるけど、ストーリーに繋がりがなくイマイチハマらず。
どうせならエピソード毎のチャプター仕立てにした方が良かったのかも。
そして自由奔放なトットちゃんと思いきや、心の優しい女の子だった。
トモエ学園の小林先生のCVは役所広司さん。
低音で喋るセリフが素敵!
小林先生の教育方針も素晴らしかった。
トットちゃんのお父さんは音楽家なんだけど、予想外に裕福な生活をしているのが不思議(笑)
焼夷弾によりトモエ学園が焼失するんだけど自分が今住んでいる場所にも焼夷弾が落ちたのかと思うと、色々と考えさせられる。
トモエ学園の跡地は今、イオン系の高級スーパーになったけど、値段が高い商品ばかりで買い物に困ってます( ´∀`)
私は何に響いたのか…
原作が発売された当時、母親に勧められて読まされた記憶があるが、内容はほとんど忘れてた。
カラフルで活気に溢れた子供達の生活に、静かに忍び寄る「戦争」と「死」。
自分と異なる他者に対する寛容さ。
「みんな、一緒だよ」
それは「同一」というより「共同体」という意味だ。
校長先生が強く大石先生を叱責したのも、高橋くんに言った言葉が「あなたは私たちと違う」というメッセージになることを懸念したのかも知れない。
最近また「ザ・ベストテン」での黒柳徹子の差別に対する涙の訴え(1980年)が話題になった。
当時、南アフリカの人種隔離政策の中で日本人は「名誉白人」などと呼ばれて優越感を持っていた人々も多かった時期(今思えば、これこそ蔑称だろう)。まだまだ日本人にとって黒人差別が他人事に感じられていた時代に、自らメッセージや具体的な活動を起こした著名人の先駆け。
今や国内の「ユニセフ」は彼女の活動こそが真の姿だと言われるほど。
そんな彼女らしい、可愛らしくてまっすぐで、そして切実な思いが込められた作品。
でも決して説教くさくない。
純粋な子供たちの姿を描いているかと思うと、実は「信念を貫ける大人」と「時代の流れに飲み込まれた大人」の話でもある。
途中で差し込まれるアニメーションもすごく印象的。
原作のいわさきちひろさんの挿絵のイメージにも共通するシーンがあったりと、絵本の様にながめてみたり。
全体通して具体的に「どこで」「何に」と聞かれるとすごく困るのだが、エンドロールが始まって、気付いたらボロボロ涙がこぼれていた。
★は5個でもよかったのだが、個人的には大人のキャラクターの顔(特に「目」)に馴染めなかったのと、もう「役所広司」「小栗旬」。(造形ではなく)そのまま本人がイメージされてしまったので、若干のマイナス。
なぜこれだけ売れた原作の映画化に42年もかかったのか、パンフレットを買ったけど明確には書いてなくて、内容的には物足りない。
でも、間違いなく今年一番涙が出た映画でした。
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