映画 窓ぎわのトットちゃんのレビュー・感想・評価
全226件中、161~180件目を表示
環境が人を作る
ネットでかなりの高評価で盛り上がっている作品
予告からしてかなりのクオリティなのはわかってたし
(未読とはいえ)原作も有名であるので
年内に見れればいいかなとは思っていたのだけど
これ以上ネタバレを踏んでしまわないうちに急いでみてきた
予想以上だし期待以上
ネットの感想は大戦への時代の空気の変化への言及が多いのだけど
「それ以外」のパートがすでに凄すぎた
まさかここまでいろんなビジュアルで楽しませてくれる作品だとは思わなんだな
これは「学校という教育環境」と恩師、「先生やクラスメイトとの縁」の物語だ
中盤以降物語は大きな喪失の波に飲み込まれ
どんどん見慣れた風景がなくなっていく
そのなかでトットちゃんの中で確かに
トモエ学園での日々が生き、彼女の人間的成長の糧になっている
力強く、さらなる先へ
未来を感じさせる
最後まで心をぐっとつかむ傑作だ
素晴らしかった
戦中の東京の生活ぶりをスケッチしていくような、淡々とした物語でフックが弱いはずなのに一つ一つのエピソードに引きこまれる。ともえ学園と小林先生が素晴らしくてずっと目がうるみっぱなしだ。燃え盛る校舎を前にして希望を捨てない小林先生がかっこいい。「ともえがくえん、いいがっこう」と意地悪な子に生徒たちが言い返す場面でボロ泣きした。
しかしトットちゃんは小児まひの子に良かれと思って木登りさせたり、プールに無理やり入れたり、まあ結果オーライなのだけど、無理強いがひどい。ハラスメントのレベルだ。こんなのは今は完全にNGだけど、それによって広がる世界もあるため、今後世界が狭いままの人が増えていくことだろう。どっちがいいのかはなんとも言えない。お母さんも服が汚れているのを見て泣いていて、そこでも涙がこぼれた。
尻尾があると先生にからかわれた高橋くんはもしかしたら小人症か何かだったような匂わせがある。
しかし、ともえ学園にうちの子が行くとなったらあんまり勉強しなくなりそうでちょっと困るな。
表現がとても豊かで、クオリティがめちゃくちゃ高い。素晴らしいものに触れた。
泣けました
アラ還のおっさんです。
銀座に24系統の市電が走ってたのがちょっと残念でしたが
全体的に楽しめました。
追記
すみません当方の勉強不足で戦後の22系統が戦前24系統として
銀座を走っていました。
確かな時代考証に恐れ入りました。
校長先生に会ってみたい
ほっこり泣ける映画でした。
原作を読んだのは随分前なので、内容を忘れていました。
今でもあんな学校あったらいいですね。
校長先生に会ってみたくなりました。
音楽や途中の芸術的な映像がキレイで、声も合ってました。
アニメ化して良かったと思います。
良心的な作品でした。 40代以上の方にオススメ
前評判も良く、公開後も知り合いからおすすめされたこともあり鑑賞。
とても丁寧に作られていて劇場アニメとしてはA級作品でした。作画、音楽、美術と文句なしです。
前半はトットちゃんの家族と先生、友人たちとの交流。後半は戦時下の様々な時代背景を細かく描写して
大人向けのアニメとして完成度は高いです。原作はまだまだあるようですので続きを期待しています。
40代以上の方にお勧めしたい作品です。水彩調の美術背景は特に見ごたえがありました。
あのトースター欲しい
反戦映画でもあると思うのですが、
可愛らしくほんわかする映画で
黒柳徹子の幼少期を追体験する、そんな映画です。
あの独特な雰囲気を醸し出している徹子さんは
やはり裕福な家庭でお育ちになられたのですねぇ。
大戦突入前とはいえ、きらびやかな洋装、
立派な洋館、パパは音楽家🎻(ヴァイオリニスト)
驚いた事に、冷蔵庫やトースターまで‼️
当たり前のように朝食は喫茶店の洋食モーニング
食卓には綺麗な花がいけてありました🌷
(あのトースター欲しくなる🍞)
昨今の時代背景を考慮されたであろう
プールのシーンは違和感しかなく、
好き嫌い分かれるかもしれません。
プールのシーンを入れ込むのであれば
(無くても問題ないと思う)
あのような「妖精」たちを描くのではなく
ちゃんと描くべきだったのでは?と思って観ていました。
個人的には好きではありませんね💦
パパの声 小栗旬
ママの声 杏
小林先生 役所広司
パパ・ママに至っては、それほどセリフが
多いわけではないけれど
「親」の立場であるふたりだからこその深みある声で
小林先生の優しさにも痺れますねえ…。
名優たちは声だけの演技も素晴らしい👏
あえて言うなら、日常モノ
この映画を、「日常モノ」と括った人は凄い。劇的な展開や壮大な物語があるわけではなく、ただトットちゃんの数年を描いた日常モノである。
この作品は、見ながら、そして見終わったあとには色々考えさせられる。
色々考えさせられるが、作品はまるで一つも「ここを考えてね」と言ってこない。こんなに何も押し付けてこない作品も珍しい。これをみて?考えさせられるでしょ?と訴えてこない。考えさせられるどころか、考え方や果てには結論すら押し付けてくる作品が世に溢れる中で、本当にこの作品自体は何も押し付けてこない。
だから日常モノと感じる。
子供から見た日々は、ただそこにある。
開戦の報がラジオから流れた日、トットちゃんは今日いつも聞いてる天気予報のコーナーが無い、と報告した。両親は開戦を理解しているから困惑と重苦しい空気を纏いながらも、それでもトットちゃんにパパママは英語だから今日から使わないでお父様お母様と言うようね、と伝える。もちろんすぐに切り替えられるものでは無い。言い間違えしてしまったら瓶に一銭を入れていこう、と母親は遊戯にして子供へ伝えた。トットちゃんは瓶にお金を自分が入れたい、とはしゃぐ。
これが日常でなく、何なのだろうか。
色んな日常を丁寧に織り込んで作られているため、何に着目し何にハッとさせられるかすら、見る人に委ねられている。
皆に見て欲しいテーマ。皆に受け取って欲しいメッセージ。
そういうものをまるで嗅がせてこないっぷりが、本当にすごい。
それでもなお、見た人が受け取るエネルギーの様なものがある。
プラスとマイナス、生と死、陰陽どちらも混ぜ込んだようなエネルギーに感じた。
絶望に向かう訳ではなく、希望に生きるわけでもない。
日常とはそれだけで前に向かって生きていることであり、死や終わりと共にあることなのだと実感した。
そう、屋台のヒヨコ、似た様な経験あり。
原作は未読。どんな話か全く知らないので、期待高めで着席。
予告編を観て、東急大井町線が関係してると思ってたら、えっ、黒柳家があったのは北千束だっのか!で、メイン舞台の学校は自由が丘。マジご近所さんだわ。そんなにリッチな家族じゃないんだけど、小学1年生が電車で3駅の通学なんて東京では普通だったのかなぁ。いや、転校するには、その選択肢しかなかったのかな。
転校先のトモエ学園。教室は電車の車両。めっちゃ狭いわ。しかし、校長の小林先生のトットちゃんとのやり取りがめっちゃ素晴らしい。当時、子供の考えや行動をガッチリ認めてくれる大人なんて居たんだろうか。臭いよ!でも黒柳徹子の自叙伝なので信じてあげよう。そしてもう1人のメインキャラの男の子、泰明との友情話し。小児麻痺の彼に対してトットちゃんは、遠慮なしの対応。そのせいか二人の仲が深まっていく。飯食う歌を2人で歌って大人から叱られる?楽し。しかし最後はまさかの展開でウルッ。原因知りたかった。
ストーリー的にはそれほどの流れはなかった。戦時中の子供のリアルな日常をアニメ化したって感じ。徹子ちゃん、こんな自由気ままな子供で将来学校の先生になるつもりだったのにどうしてNHKで働きたくなったんだろうね?
声優さん達みんな良かった。あいみょんの歌も良かった。結構楽しかったです。
これは日記。ストーリーはない。でも伝えたいことは伝わる。
原作は、敗戦までの数年間トモエ学園で過ごした黒柳徹子の日記(のようなもの)です。
物語ではないので、ちゃんとしたストーリーはないです。でも作者が伝えたいことは伝わりますね。それは「本の文章」でも今回の「アニメの映像」でも、そして「音楽」でも。
軍歌を演奏して小金を稼ぐことが嫌だった父親が、朝起きてきトットちゃんたちの前で「タイスの瞑想」を弾いているシーンが印象的でした。
さて本が出版されたのは、戦後36年過ぎた1,981年。
戦後復興、高度成長期を経て生活は豊かになりましたが、幸せになったのか?
当時は「不登校」とか「家庭内暴力」(子から親へ)という言葉が広まった時代です。
だからこそ黒柳徹子は「トモエ学園」の話を伝えたかったのでしょう。
それから40年。世の中は幸せのなったのか?
さらに悪くなっています。
「不登校」のみならず、「いじめ~自殺」というニュースにも、憤りはあっても驚きはなくなってしまいました。大人社会への「同調圧力」が強まっているのも感じます。
40年前を知らない世代の人にも見て欲しい。
アニメの最後、トットちゃんの(未来に)希望を持っている映像で終わってるのも良かったです。
原作の良さを絞り出せてない?
「窓ぎわのトットちゃん」が昔大ベストセラーだったことは良く知っているが、結局読むこともなく今に至っている。あれだけ売れた本なのだからきっと何か良いのだろうと観る気になった。
【物語】
自分の感じたこと、思ったことをそのまま素直に行動し、口にするおてんばな女の子・トットちゃんは周りの子に迷惑を掛けているという理由で小学校を退学になる。新たに通うことになったトモエ学園は、電車が教室として使われているユニークな学校だった。周囲から困った子と言われて傷ついていたトットちゃんは、自分の話を全て聞いてくれる校長・小林先生と出会う。
どこまでも子供の気持ちに寄り添い、愛情深い小林先生の下、トットちゃんは自分を押し殺す頃なく、同級生と共にのびやかに成長していく。
【感想】
なるほど、黒柳徹子はこんな女の子だったか。
でも、何となく分かる。今でこそ活舌が甚だ怪しいが、若い頃はマシンガンのように早口でしゃべりまくっていた彼女だけに、子供の頃からおしゃべりだったのは、容易に想像がつく。 そして、大人から観るとちょっと迷惑なくらい、元気で自由なトットちゃんは人並外れて感受性が高かったのだと思う。 そんな女の子が、怖れることなくテレビ、芸能の世界に飛び込んで、自分からどんどん発信する大人になっていくことは、全く違和感が無く後の黒柳徹子につながる。賢い子だったに違いない。
その他、本作で感銘を受けるのはやはり小林先生。子供を全く抑えつけることなく、個性を尊重して伸ばしていく。危険なこと以外は「それやっちゃダメ」とは絶対言わない感じ。何より子供を愛している。理想的教育者。今よりはるかに学校は「しつけ」の場として考えられていたであろうこの時代では、おそらくは親達から最初から受け容れられたと思えないが、きっと小林先生は周囲の批判に屈することなくポリシーを貫いたのであろう。
ということで、良いところもあるのだが、面白かったかと言うと、期待したほどではなかった。あれだけのベストセラーなのだから原作はもっと面白いに違いない。そのエッセンスの抽出がイマイチなのではなかろうか。端々に心惹かれるシーンがある一方で、どこか流れが散漫で、最後まで観ても何か欲求不満な感じ。
エピソードをもっと絞って、1つ1つをもう少し深く描いたらもっと良かったのではないか? そんな気がする。
涙止まりませんでした
初めてレビューします。したくなるほどの内容でした。
主人公のトットちゃん(黒柳徹子)の表情、動きがコロコロと変わり生き生きとしています。見るもの全てが輝かしく、興味が湧いたら突っ走る、想像力豊か、そんな姿がアニメで伝わってきました。本当に可愛い、愛おしくなります。私がこの作品の中で一番魅力的だと思ったのは校長先生です。本当にこの校長先生は優しさに溢れている。また、映画での描写からいかに徹子さんがこの校長先生の言葉、思いを受け取っていたのかを感じました。
余談で、私は今大学生で保育系の学校に通っているのですが、このアニメの校長先生のような関わり方、見守り方をできるようにしたいと強く思いました。ぜひ、保育志望の方にも見てほしいと思ってます^_^
この作品が素晴らしいと感じたのはとにかくアニメの技術の高さです。(上からになりますが)トットちゃんの感性に合わせたアニメーションや、時代に沿って服装、人々の様子、食事の日常が移り変わっていく。その様子を見ているととても心が痛み、戦争がありとあらゆるところで心を蝕んでいるのだと強く感じました。時代に沿った服装を制作者の方たちがたくさん調べたのだと思いました。
私は、こうして文章を書くことは得意ではないし好きでもないです。しかし、この作品には心打たれて制作者の方にこの思いを伝えたいと思いここに書かせていただきました。(他の手段がわからず)
まだ見ていない方、見たいと思っている方、ぜひ見てほしいです!あっという間に終わってしまい飽きることなく私は終始泣いていました。その涙は悲しさもありながらトットちゃんの明るさに惹かれて愛おしいと思い涙したような気もします。この作品に出会えたことを光栄に思います。製作者の方々、ありがとうございました。
新たな戦前を迎えつつあるこの国で
日本の学校教育は一人の教師が大勢の生徒を受け持つ一斉授業で行われるため、平均的でおとなしい生徒が好まれる。画一的な教育を目指すものなので均等な能力の育成に効果はあっても、個性や才能を伸ばすことには不向きだ。例えばギフテッドの子供や逆に平均より能力の劣る子供はその枠内からはみ出してしまうデメリットがある。
人並外れて好奇心が旺盛で授業中でも気になることが頭から離れないトットちゃん。彼女の描くお日様の絵が画用紙からはみ出るように枠内に収まろうとしない彼女は教師からさじを投げられ、転校することになる。
彼女が通うこととなったトモエ学園は大正デモクラシーの流れで自由教育を標榜する考えのもと生まれた学園であり、少人数制で個々の子供たちへの気配りが行き届いた学園だった。校長の小林先生は初めて訪れたトットちゃんの話に延々と耳を傾ける。子供の気持ちを理解することが第一だというのはまさに児童中心主義の姿勢そのものだ。
原作者の黒柳さんは小林先生に言われた「君は本当はいい子なんだよ」という言葉がなかったら今の自分はないとまでおっしゃっている。
幼いころのこういった教師との出会いがその後の人生にどれだけ大きな影響を及ぼすかこの先生はよく知っている。だからこそ、悪気なく尻尾がついてるかもと発育不良の小柄な生徒をからかった教師に対しては厳しくしかりつけていた。
優しくもあり厳しくもあるそんな小林先生の下で子供たちはのびのびと学園生活を謳歌する。そしてトットちゃんにとってその後の人生に影響を与えたであろう出会いが。それは小児まひの泰明ちゃんとの出会い。トットちゃんは手足が不自由で遠慮がちな彼をプールや木登りに誘い、分け隔てなく彼と接する。そんなトットちゃんに次第に心を開いてゆく泰明ちゃん。服を汚して帰ってきた彼の服を見て涙ぐむお母さんは、洗濯が大変だから泣いたのではないだろう。
いらぬ気遣いから腕相撲でわざと負け、彼を傷つけることもあったが二人のきずなは強くなっていった。そんなトモエ学園での楽しい日々が過ぎてゆく中、戦争の足音が静かに忍び寄ってくる。
銃後の守り、お国が大変な時期だということで食糧配給は次第に滞り、育ち盛りの子供たちは質素な食事を強いられる。元気でのびのびと子供たちをはぐくむトモエ学園の教育方針とは真逆の方向へ向かおうとする国の姿勢がそこには映し出される。
お腹が空いてせめて歌を歌って紛らわそうとするトットちゃんたちに意地汚い歌を歌うなと怒鳴りつける大人の姿。本来大人は子供にひもじい思いをさせたくないと思うものだが、この時代は国こそが第一であり、そんな子供の気持ちさえないがしろにされた。
子供たちの気持ちを尊重するトモエ学園とは対照的に個人の意思を封じ、ただ国に従う人間を望む国の姿がここでは描かれている。
そしてやがて悲しい別れが唐突にやってくる。縁日で買ったひよこの死が予感させた通りトットちゃんは泰明ちゃんの死を目の当たりにすることになる。身近な人の死を体験するには幼すぎるともいえるこの体験が黒柳さんの現在のユニセフの活動につながったんだろうか。
泰明ちゃんの葬儀から飛び出して街中に出ると出征を見送る大勢の人々が、そして戦争ごっこをする子供たちの姿。国は第二次大戦へと本格的に突入しようとしていた。トットちゃんが生きる時代は大きなうねりに飲み込まれてゆく。
やがてトットちゃんには弟ができて、お姉さんに。トモエ学園を卒業して東京から疎開することになる。
その後トモエ学園は空襲で校舎を焼かれ、小林先生も亡くなり廃校になってしまう。トットちゃんは泰明ちゃんに本を返す約束を果たせず、トモエ学園の先生になる約束も果たせなくなる。
もし、トモエ学園が現存していたなら私たちはあの玉葱頭をテレビで見ることはなかったんだろう。
同日に鑑賞した「ゲゲゲの謎」の水木しげる氏ほど強烈ではないけど、明らかに幼少の頃黒柳さんが体験した戦争に対する思いが本作に込められていたように思う。
ガキ大将たちがトモエ学園をからかいに来た時、生徒たちはけんかではなく歌を歌ってガキ大将たちを追っ払った。それを見て背中を震わせていた小林先生。力ではなく歌で相手を負かしたこのシーンは本作で一番印象的だったし、これが本作で一番訴えたいことなんだろうと思った。
いまの日本は防衛費倍増で世界第三位の軍事力保有を目指そうとしており、新たなる戦前を迎えつつある。戦前に生まれ第二次大戦を体験した人の数は年々減っていて、ご存命でもかなりの高齢だ。そんな人たちが経験した話をこれからも引き継いでいかなければならない。もしこのバトンを渡すことが途切れてしまえばまた過去の同じような悲劇がこの国を襲うことになる。
トットちゃんのように子供たちには争うことよりも歌い、学び、遊び、伸び伸びと育っていってほしい。子供が国の未来の担い手、子供が幸せでない国に繫栄はない。
力ではなく歌で立ち向かったトモエ学園の生徒たちのように国はいかに戦争を起こさないよう知恵を働かせ対話を重ねることが大切かを学ぶべきだろう。戦争を知らない子供たちが引き起こす戦争によってこの国が二度と戦渦に巻き込まれることがあってはならない。
正直、こんなに直球で戦争を描いたものだとは思ってなかったので驚いた。年端もいかない子供に銃後の守りとか言って怒鳴りつける大人の姿には正直、反吐が出た。その後、いかにも自分は立派な国民だといわんばかりにトットちゃんたちを教え諭すような口調になるその姿にも。
子供たちの何気ない日常がやがて戦争に侵食されてゆくさまを見事に描いた。可愛らしい絵柄からは想像もできない戦争の不穏さを。その絵柄とのギャップがより効果的だった。ぜひとも子連れで観に行ってほしい作品。
ハンカチ持って映画館へGO!
・・号泣しました。ハンカチ持っていった方がいいです。
大昔、とっとちゃんの本を読んで、ストーリーを知ってたつもりでしたが、ちょっと印象が違いました。
この映画は、
戦争の時代を生きるとっとちゃんが、
愛に溢れる人々に守られ、
でもその隙間に、社会で生きることの厳しさに、時に傷つき、傷つけながら、
生命と愛の尊さ、儚さを知っていく、
ストーリーでした。
・・ああ、なんと凡庸で稚拙な表現か_| ̄|○
私の筆力では書ききれないので、みてみて下さい。
こんな、人生のエッセンスを、普通の子供は多分知らない、知る機会もない、少なくとも私の子供時代はなかったです。
でも感受性豊かなとっとちゃんと、豊かな個性のともえ学園の生徒たちは、その深みに触れながら、生き生きと成長していきます。
人生の豊かさと厳しさ、日々起こりくる神からの恩恵と試練を受け止め、自ら超えていく心の力を育てていきます。
子供の純粋さ、エネルギーを持ったまま、成長していく様は圧巻です。
ともえ学園のプールでは、水着も着ずに、皆が生まれたままの姿で泳ぎます。小児麻痺のやすあき君は、初めてプールに入ります。「体が軽い!」と感激し、地上では味わえない体の自由さを存分に味わいます。
皆が水中で輪になって泳ぐイメージシーンは、まるでマチスの「ダンス」の絵のよう。人間礼賛!
でもある日、彼の命の炎は突然消えてしまいます。やすあき君の葬儀で、哀しさが溢れて、教会から駆け出してしまうとっとちゃん。街中を走り抜ける途中、
様々な生と死の場面に出逢います。
出征する兵士を万歳で見送る群衆、その裏道で、銃を持ち殺し合う兵士の真似をして遊ぶ子供たち、足を切断した帰還兵、骨壷を抱き嘆き悲しむ女性・・・
そしてとっとちゃんは知るのです。
この受け止めきれない深い悲しみが、この殺戮の世の先にあることを。
一つの命の尊さと、
失う痛みが
星のように無数に折り重なり、踏みつけられていくことを。
校長の小林先生は、トットちゃんとの初対面で、衝動的でとりとめなく話を続ける彼女に、「きみは本当はいい子なんだよ」と言ってくれます。
助詞の「は」の意味なんか、とっとちゃんは気にもしません。
でも、数年経って、戦争で閉校を余儀なくされ、悔しさに嘆く小林校長に、とっとちゃんは言うのです。「将来、ともえ学園の先生になってあげる!」と。
とっとちゃんの優しさに触れ、小林先生は心からいいます。
「君は本当にいい子だね」
「本当は」が、「本当に」に変わった成長は、まさにともえ学園での日々のおかげです。奇跡の軌跡です。
黒柳さんは、いつもエネルギーに溢れ、素直で正直、そして愛に溢れている。
その個性はこうして育まれ、愛の結晶となって、世の中を照らしてるんだなと感じました。
その光はきっと彼女がいなくなってもきっと消えることはない、
くらい強烈です(笑)
戦争はこの映画の間中、ずっと低音で鳴り響きます。戦争が、人々の生活も心も支配していこうとします。
食糧難でお弁当も作れない日々、軍事工場で、軍歌を演奏すれば食糧が支給されるという、ヴァイオリニストの父へのオファーに、家族は大喜びします。
翌朝、黒柳家には父の美しいヴァイオリン、タイスの瞑想曲が響き渡ります。心が震える美しい音色です。
弾き終わった時、父は静かに言います。「私のヴァイオリンで軍歌は弾けない」と。
美しい音を奏で、愛でることは、人間の美しさを礼賛する事、それは人殺しに加担する事とは真逆のことだと。
魂の演奏、魂の一言。
さすが、とっとちゃんのお父さん。あのご時世に、お腹を空かせた家族を前にこんな決断、普通できない。でも父の真意を妻と娘はすぐに理解し賛同します。
戦争に飲み込まれていく人々、
愛をもってそれに抗う人々、
それらが対照的に描かれています。
そしてもう一つの対照、
〜生と死は裏腹で、だから大切に一生懸命生きよう、どの命も〜
ともえ学園の玄関の上に、中国の陰陽太極図みたいなマークがかかってたのが、そんなメッセージにもみえました。
見終わった後、大袈裟に言うと、
生きてることが輝いて見えました・・
映画ってすごい、と思った作品です。
大作です。
心の自由さは、美しさ
原作は子どもの頃に読んだきりでした。
子どもの目線、親の目線、先生の目線のバランスが良く、大人になってから改めて見られて良かった作品。
とりわけ現在のオルタナティブスクールの先駆けであられる小林先生の姿が、とても美しかったです。
誤解を恐れずに言えば、多様性は気を遣うし面倒くさい。「みんな一緒に」がいちばん大変で難しいけれど、トットちゃんみたいに、ただ友達でいられたら素敵だな。
一人ひとりの心が自由でいられて、それが守られる社会でありますように。
あのね
当初はスルーしようかなと思っていた作品でしたが、評判が結構良いのと、今週の新作がかなり少ないというのも加味して鑑賞。特典はあいみょんの主題歌の歌詞付きポストカードでした。
戦前、黒柳徹子さんが体験したとある学校のお話という事で、どうしても戦争というものを文字や映像でしか知らない自分にとってはズレを感じる部分もありましたが、人の優しさや寛容さを映像越しで味わえる作品にもなっていました。
落ち着きがないから学校を辞めさせられるという、今の時代にはあり得ない対応を迫られていたトットちゃんが、トモエ學園に移って友達や先生と過ごす物語で、どうなるんだろうというハラハラがあるわけではありませんが、当時のリアルってこんな感じなんだなと各シーンで思わされました。
トットちゃん自身本当に落ち着きがない子なので、まぁ先生もそりゃ頭を抱えるよなと思いましたが、トモエ學園の先生や生徒たちはそれを受け入れてくれる、それどころかトットちゃんの良いところを見つけてくれる描写は素敵だなと思いました。
ただなぜこのエピソードを切り取ったのかという疑問が募る話もあり、財布を下水道に落としたからうんこを全部掘り返すというのはまぁあまり綺麗なエピソードでは無いですし、トットちゃんもなぜか授業も出ずにひたすら探したりしてるので、シンプルに問題児じゃないかと頭を悩ませるシーンになっていました。
尻尾が生えたというのを1人の子に冗談混じりで先生が言うシーンで校長先生が怒るシーンも、なぜ怒っているのかというのが説明されないまま(一応1人の子に対して言うな的なやつや、小柄な子だったからなのかなとは思いましたが)だったので、そこも引っかかってしまいました。
全体的にエピソードを淡々と繋ぎ合わせただけな感じがあって、クラスメイトのほとんどがどんなキャラなのかの掘り下げもありませんし、何かテーマがあるのかと思ったら次へ次へと進んでいくので、その度に集中力がプツッと切れてしまったのは惜しいなと思いました。
ヤスアキちゃんが小児麻痺だっつってるのに、やたらとトットちゃんが手を引っ張る描写が多いシーンが多いのは事実だとしたらあまり好ましいシーンではなくて、強くあって欲しいというのは切な願いだと思うんですが、無理強いしてまで木登りをさせたりプールに連れていったりするトットちゃんの悪く言えば強情なところは好きになれませんでした。いくらなんでもこれは先生や周りに注意されないとトットちゃん自身が危ない子になっちゃうよなと思ってしまいました。
ヤスアキちゃんの突然の死も、事故だったのか病気だったのか、そこを明かさないのは黒柳さんからヤスアキちゃんへの配慮なのか、それとも本当に知らされていなかったのか、唐突すぎて整理がつきませんでしたが、当時を考えると仕方ないのかなとも思いました。
後半になってくると戦争が本格的に始まり、質素な生活になるなどトットちゃんやトットちゃんの変化が描かれるようになります。
戦争の様子を食べ物の価値など含め黒柳さんが実体験したものが鮮明に描かれていたのは良かったなと思いました。
地方へ疎開していくシーンで、生まれたばかりの妹に優しく語りかける様子は、トットちゃんが成長したんだなと少し感心するところがあって良いなと思わされるシーンになっていて良かったです。
声優陣は本職の方が少ないですがしっかりしていたと思います。中々の長編の主役をやり切った大野りりあなさんは本当にすごいと思いますし、杏さんと小栗くんとカレンさんは少し時間が経たないと気づかないくらい溶け込んでいて凄かったです。役所さんは1発で分かりましたが、優しさの滲み出ていた声で素敵でした。
色々と小骨が喉に引っかかる感覚のある作品でしたが、トータルしてみれば良い作品ではあったなと思いました。今年は戦前戦後の作品が多いなと思った次第です。
鑑賞日 12/11
鑑賞時間 12:40〜14:45
座席 O-16
誰が見ても安心仕様の超優しい映画。でも...
あえて悪く言うと他の戦時中を描いた作品と比べるとだいぶいい環境にいるし登場人物が優しすぎてこんなに優しい人ばっかだったの?と逆にリアリティを感じられない箇所もある。
しかし今作の主人公は今も幸せそうに現役で生きているという事実がある。
とにかく良い方々に恵まれて本人もよっぽど良い人なんだろうな〜思えてくるので今作の登場人物たちは割とリアルなのかもしれない。
あくまで「こども」の目線のお話。
そこまでキツい展開は無く安心感があるので辛すぎる展開が苦手な人やお子様でも楽しめる設計になっている。
好奇心旺盛で天真爛漫な主役の女の子の描写がやたらリアルかつ自然な感じ。現実にいそう。いや、居る。
映像のクオリティがスゲー。子供の脳内がそのままスクリーンに出てきているかのよう。なんだかんだ夢中になって観て最終的に胸が熱くなる映画でした
戦時中を描いたアニメ作品の良作が一つ増えました
原作が名作な記憶はあるが…
昔過ぎて内容を忘れてた…。子供達だけの生き生きした世界を静かに受け止める先生達や親達の姿と死を認める戦争の世界が対比されて考えさせられる。生きたくても生きられない子供もいれば戦争に行き急ぐ子供もいるし…。
少女絵すぎるトットちゃんが不安だったけどこんな世界観がマッチする絵面と思わなかった。あとはカレンさん、予想以上に声優うまい。
子どもの視点から見る世界が胸に刺さる
自由な校風で子供に理解のある校長先生と小児麻痺の友達との学園生活の話。
後半は戦争映画の一面も…
トットちゃんの声が素晴らしい。トットちゃんの細やかな心情をしっかりと表現していた。
映像も丁寧に描かれていて、空想シーンでは全く異なる絵本を3冊見せてくるような凝った演出。終盤は戦争で変わっていく世界を、セリフではなくトットちゃんの視点を通して自然に描いていて、それが返って印象的になっていた。
子供のやりたいことを見守る校長先生、優しい両親、個性的なトモエ学園の友達…
愛にあふれた素晴らしい映画でした!
泣けた…親世代に見てもらいたい
原作読んだのに忘れていました。
映画を改めて見ると
「やってはダメ」
「何でこんな事するの」
怒るか手を貸してばかりの大人になっていたんだと情けなく思います
途中で最愛のロッキーが急に居なくなりますが最後まで黒柳家の家族ではなく軍用犬に取られ看取る事も出来なかったんです…
お父様もその後シベリアへ徴兵されました
駅員さん
ひよこ
友達の死
戦争知らない世代ですが
本当に泣けて来ました…
全226件中、161~180件目を表示