映画 窓ぎわのトットちゃんのレビュー・感想・評価
全233件中、161~180件目を表示
「この世界の片隅に」を超える傑作に
正直スルー予定だったけど、信頼筋の絶賛の多さに慌てて映画館へ。見逃さなくて本当に良かった。 「この世界の片隅に」と並列に語り継がれてほしい名作。戦争シーンはほとんどないのに、日常の中から、おしゃれの自由を奪われ、食品が減っていき、兵隊礼賛になっていく様が説教臭くなく、でも子どもたちが見ててもわかる塩梅で入っている。 小学校を退学させられる黒柳徹子(トットちゃん)にあまりにも共感できなかった原作だった(子供の頃に読んだからこそそう感じていたのかも)けど、トットちゃんが見ている世界と世間一般が見ている世界を、要所に『窓』を活用して見せてくる。何なら大人は視野が狭くなっている、理想を押し付けてくるともさえ言ってくるよう。戦争も大人都合でトットちゃんの人生には必要なし。 学校が素晴らしすぎる。職業柄身につまされる。校長先生は「話をしよう」と声をかけるのに、傾聴の姿勢を忘れない。子どものやることを尊重する。それでも危険な場合は代替案を提示する(相撲→腕相撲)。 小児麻痺を背負うキャラクターも戦争と関係なく…というのが憎いというか上手い(黒柳徹子の体験談なので)。 運動会のシーンから基本的にずっと泣いてた。二人三脚のシーンだけじゃなく、鯉のぼりも先生の見つめ直し含めて良かった。 ラスト15分はただただ怖かった。アニメーションでしか描けない終わり方だったと思う。 黒柳徹子のナレーションが最初と最後に。何度も実写化のオファーを受けたらしいが、この座組でアニメーションで映画化したことにリスペクト。
トットちゃんと校長先生
トットちゃんの豊かな感受性と優しさ、素敵ですね。
そしてトモエ学園の校長先生の心の大きさに感動。こんな人になりたいと憧れてしまいます。
後半は、子供 の個性を尊重するそんな素敵なトモエ学園も空襲で燃えてしまう。これは強烈な反戦のメッセージではないでしょうか。
元気をもらう映画
黒柳徹子さんの幼少時代を描いたアニメ。舞台は東京。戦争直前の1941年(昭和16年)ごろってまだ裕福な感じだったんですね。主人公のトットちゃんも洋風の一軒屋に住んで裕福層だったのかもしれないし、小児麻痺を患っていたヤスアキちゃんも田園調布の大きなお家に住んでいて、都会の裕福層だったような印象です。
元気はつらつで健康優良、繊細でかつ大胆な女の子。利発で悪気がない行動は周囲の大人も同級生も巻き込むエネルギーに満ち溢れている。迷惑がられていた感じだったのが、転校してきた学校の校長先生から君はほんとにいい子と言われる場面は感動しました。
一方、ヤスアキちゃんは小児麻痺で歩くのも大変だけど、トットちゃんとの交流で少しずつ外向きな元気になっていく。それだけにヤスアキちゃんの突然の死は悲しかった。
戦争はいよいよ激しさを増してとうとう、昭和20年になればトットちゃんも母親と兄弟姉妹の赤ちゃんと一緒に青森へ疎開することになる。通っていた学校も空襲で焼け、住んでいた一軒家も取り壊されてしまう。青森へ行く汽車でエンディング。トットちゃんに元気をもらえる映画でした。
PS.
小学生の子も親子連れでちらほら居て、小学生となればもうじっと静かに2時間近く座って観ていられるんだなと思い、騒がしくなるんではといったのは杞憂に終わりました。ちょうど隣に小学生低学年らしい女の子が座っていたけど、ずっと大人しくしてました。もうこの歳になるとちゃんと2時間映画が観ることができるんですね。
ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
この手では、 私とその周辺だけは反戦でした、 被害者です、 で一気に萎える。 ほんまかいな。 今の世の正論を並べ挙げて 互いに確認し合う作業たる鑑賞。 これをこそ疑え、がテーマでは? 何箇所かでウルっときたが、 胡散臭さに身構えた。 夢想シーンは、 まる子好きな歌に軍配。
沸き上がる感情 コンタクト乾く間もなし
評判が良いので観に行ったが、まさかこんなに泣かされるとは。
最初はどうしても今の徹子さんイメージが目に浮かんで雑念チラホラしていたのだが、アニメの中の少女の姿にも慣れてからは没入。
トットちゃんはじめ、両親、愛犬、トモエ学園の校長先生、お友達、みんな魅力的。当時の東京ではかなり上流の生活?
こんなに子どもたちの自主性を重んじてくれる学園があったのか。教育内容を色々見られて興味深い。お財布を落としたエピソード、校長先生の対応にびっくり。見つけられなくても忘れられない体験になっただろう。
後半、戦争の影が忍び寄ってきてから起こる出来事に心揺れ動かされまくりでほぼ全泣状態。
戦争物苦手な自分には非常にきつかった。ダイレクトな描写はないが、すべてが統制され地味で質素で我慢を強いられる社会に否応なく変貌を遂げていく。いつのまにか愛犬の姿はなく、外来語も芸術も許されず、人々からは笑顔が消え、食うや食わずの毎日に。そんな中、泰明ちゃんとの雨のシーンの美しかったこと。
トットちゃんとの沢山のキラキラした時間を過ごしていただけに、その後に訪れた泰明ちゃんとの別れの辛さはぐっと迫りくるものがあった。
いよいよ戦況が悪くなってトットちゃんが疎開するところで映画は終わったが、これ以上辛い場面を観ていられなかったので正直助かった。
ストーリーもさることながら、音楽も演出も素晴らしかった。特に表現方法として様々なアニメーションの手法?が取り入れられていて、時に塗り絵っぽかったり、水彩画ぽかったり、良質の絵本をめくっているような気分になった。
鑑賞後は人に優しくありたいとなんとなく思わせるような作品なので、先入観なしに是非あらゆる年齢の人に観てほしい。
『あなたは気づけましたか?』
『あなたは気づけましたか?』 そういうメッセージなのかな〜?と ぼんやり思った。 窓ぎわのトットちゃん、読んだはず。 1回こっきり?読んだはず。しかも大人になってから 読んだはず。。。。覚えてないけど。 というか、僕自身の子供時代、幼稚園〜小学生時代、 どういう毎日だったか、どういう出来事あったか、 全く覚えてない。思い出せない。 映画としては、原作に出てくるエピソードを 描いているのだと思うけど、 そこから、原作で徹子さんは何を伝えたかった のかな〜?と、そういうことを考えながら見た。 『あなたは気づけましたか?』 あなたは、あなた以外の、 他の全ての人との『違い』に 気づけましたか? わたし(徹子さん)は、こういう体験をして、 他の人との『違い』に気づいたんですよ。 (===できれば===) 『違い』を、認め、尊重し、思いやることを、 忘れないで!! そういうメッセージなのかな〜。と、 ぼんやり受け取った。 しかし、僕は、今、アラフィフなるまで、 一体、どうやって生きてきたのだろう? 子供時代の記憶が、全く思い出せないのだが、 『違い』に気づけたのだろうか? 認め、尊重し、思いやる。 優しい人間になっているだろうか? 僕自身は子供を作ることは無かったが、 次の世代へ、僕が伝えるべき相手は居ないが、 それでも、残りの人生、 他の全ての人に、思いやりを持って 生きていけるだろうか?
ほのぼの 映像で魅せる世界観
黒柳徹子の半生が綺麗な映像で描かれていく ほのぼのした雰囲気と 美麗なイメージの世界が独特で嫌いにはなれない作品 戦争の雰囲気がリアルで良かった 個人的にはトットちゃんねるの方が好き
環境が人を作る
ネットでかなりの高評価で盛り上がっている作品 予告からしてかなりのクオリティなのはわかってたし (未読とはいえ)原作も有名であるので 年内に見れればいいかなとは思っていたのだけど これ以上ネタバレを踏んでしまわないうちに急いでみてきた 予想以上だし期待以上 ネットの感想は大戦への時代の空気の変化への言及が多いのだけど 「それ以外」のパートがすでに凄すぎた まさかここまでいろんなビジュアルで楽しませてくれる作品だとは思わなんだな これは「学校という教育環境」と恩師、「先生やクラスメイトとの縁」の物語だ 中盤以降物語は大きな喪失の波に飲み込まれ どんどん見慣れた風景がなくなっていく そのなかでトットちゃんの中で確かに トモエ学園での日々が生き、彼女の人間的成長の糧になっている 力強く、さらなる先へ 未来を感じさせる 最後まで心をぐっとつかむ傑作だ
素晴らしかった
戦中の東京の生活ぶりをスケッチしていくような、淡々とした物語でフックが弱いはずなのに一つ一つのエピソードに引きこまれる。ともえ学園と小林先生が素晴らしくてずっと目がうるみっぱなしだ。燃え盛る校舎を前にして希望を捨てない小林先生がかっこいい。「ともえがくえん、いいがっこう」と意地悪な子に生徒たちが言い返す場面でボロ泣きした。
しかしトットちゃんは小児まひの子に良かれと思って木登りさせたり、プールに無理やり入れたり、まあ結果オーライなのだけど、無理強いがひどい。ハラスメントのレベルだ。こんなのは今は完全にNGだけど、それによって広がる世界もあるため、今後世界が狭いままの人が増えていくことだろう。どっちがいいのかはなんとも言えない。お母さんも服が汚れているのを見て泣いていて、そこでも涙がこぼれた。
尻尾があると先生にからかわれた高橋くんはもしかしたら小人症か何かだったような匂わせがある。
しかし、ともえ学園にうちの子が行くとなったらあんまり勉強しなくなりそうでちょっと困るな。
表現がとても豊かで、クオリティがめちゃくちゃ高い。素晴らしいものに触れた。
泣けました
アラ還のおっさんです。 銀座に24系統の市電が走ってたのがちょっと残念でしたが 全体的に楽しめました。 追記 すみません当方の勉強不足で戦後の22系統が戦前24系統として 銀座を走っていました。 確かな時代考証に恐れ入りました。
校長先生に会ってみたい
ほっこり泣ける映画でした。 原作を読んだのは随分前なので、内容を忘れていました。 今でもあんな学校あったらいいですね。 校長先生に会ってみたくなりました。 音楽や途中の芸術的な映像がキレイで、声も合ってました。 アニメ化して良かったと思います。
良心的な作品でした。 40代以上の方にオススメ
前評判も良く、公開後も知り合いからおすすめされたこともあり鑑賞。 とても丁寧に作られていて劇場アニメとしてはA級作品でした。作画、音楽、美術と文句なしです。 前半はトットちゃんの家族と先生、友人たちとの交流。後半は戦時下の様々な時代背景を細かく描写して 大人向けのアニメとして完成度は高いです。原作はまだまだあるようですので続きを期待しています。 40代以上の方にお勧めしたい作品です。水彩調の美術背景は特に見ごたえがありました。
あのトースター欲しい
反戦映画でもあると思うのですが、
可愛らしくほんわかする映画で
黒柳徹子の幼少期を追体験する、そんな映画です。
あの独特な雰囲気を醸し出している徹子さんは
やはり裕福な家庭でお育ちになられたのですねぇ。
大戦突入前とはいえ、きらびやかな洋装、
立派な洋館、パパは音楽家🎻(ヴァイオリニスト)
驚いた事に、冷蔵庫やトースターまで‼️
当たり前のように朝食は喫茶店の洋食モーニング
食卓には綺麗な花がいけてありました🌷
(あのトースター欲しくなる🍞)
昨今の時代背景を考慮されたであろう
プールのシーンは違和感しかなく、
好き嫌い分かれるかもしれません。
プールのシーンを入れ込むのであれば
(無くても問題ないと思う)
あのような「妖精」たちを描くのではなく
ちゃんと描くべきだったのでは?と思って観ていました。
個人的には好きではありませんね💦
パパの声 小栗旬
ママの声 杏
小林先生 役所広司
パパ・ママに至っては、それほどセリフが
多いわけではないけれど
「親」の立場であるふたりだからこその深みある声で
小林先生の優しさにも痺れますねえ…。
名優たちは声だけの演技も素晴らしい👏
あえて言うなら、日常モノ
この映画を、「日常モノ」と括った人は凄い。劇的な展開や壮大な物語があるわけではなく、ただトットちゃんの数年を描いた日常モノである。
この作品は、見ながら、そして見終わったあとには色々考えさせられる。
色々考えさせられるが、作品はまるで一つも「ここを考えてね」と言ってこない。こんなに何も押し付けてこない作品も珍しい。これをみて?考えさせられるでしょ?と訴えてこない。考えさせられるどころか、考え方や果てには結論すら押し付けてくる作品が世に溢れる中で、本当にこの作品自体は何も押し付けてこない。
だから日常モノと感じる。
子供から見た日々は、ただそこにある。
開戦の報がラジオから流れた日、トットちゃんは今日いつも聞いてる天気予報のコーナーが無い、と報告した。両親は開戦を理解しているから困惑と重苦しい空気を纏いながらも、それでもトットちゃんにパパママは英語だから今日から使わないでお父様お母様と言うようね、と伝える。もちろんすぐに切り替えられるものでは無い。言い間違えしてしまったら瓶に一銭を入れていこう、と母親は遊戯にして子供へ伝えた。トットちゃんは瓶にお金を自分が入れたい、とはしゃぐ。
これが日常でなく、何なのだろうか。
色んな日常を丁寧に織り込んで作られているため、何に着目し何にハッとさせられるかすら、見る人に委ねられている。
皆に見て欲しいテーマ。皆に受け取って欲しいメッセージ。
そういうものをまるで嗅がせてこないっぷりが、本当にすごい。
それでもなお、見た人が受け取るエネルギーの様なものがある。
プラスとマイナス、生と死、陰陽どちらも混ぜ込んだようなエネルギーに感じた。
絶望に向かう訳ではなく、希望に生きるわけでもない。
日常とはそれだけで前に向かって生きていることであり、死や終わりと共にあることなのだと実感した。
そう、屋台のヒヨコ、似た様な経験あり。
原作は未読。どんな話か全く知らないので、期待高めで着席。 予告編を観て、東急大井町線が関係してると思ってたら、えっ、黒柳家があったのは北千束だっのか!で、メイン舞台の学校は自由が丘。マジご近所さんだわ。そんなにリッチな家族じゃないんだけど、小学1年生が電車で3駅の通学なんて東京では普通だったのかなぁ。いや、転校するには、その選択肢しかなかったのかな。 転校先のトモエ学園。教室は電車の車両。めっちゃ狭いわ。しかし、校長の小林先生のトットちゃんとのやり取りがめっちゃ素晴らしい。当時、子供の考えや行動をガッチリ認めてくれる大人なんて居たんだろうか。臭いよ!でも黒柳徹子の自叙伝なので信じてあげよう。そしてもう1人のメインキャラの男の子、泰明との友情話し。小児麻痺の彼に対してトットちゃんは、遠慮なしの対応。そのせいか二人の仲が深まっていく。飯食う歌を2人で歌って大人から叱られる?楽し。しかし最後はまさかの展開でウルッ。原因知りたかった。 ストーリー的にはそれほどの流れはなかった。戦時中の子供のリアルな日常をアニメ化したって感じ。徹子ちゃん、こんな自由気ままな子供で将来学校の先生になるつもりだったのにどうしてNHKで働きたくなったんだろうね? 声優さん達みんな良かった。あいみょんの歌も良かった。結構楽しかったです。
これは日記。ストーリーはない。でも伝えたいことは伝わる。
原作は、敗戦までの数年間トモエ学園で過ごした黒柳徹子の日記(のようなもの)です。 物語ではないので、ちゃんとしたストーリーはないです。でも作者が伝えたいことは伝わりますね。それは「本の文章」でも今回の「アニメの映像」でも、そして「音楽」でも。 軍歌を演奏して小金を稼ぐことが嫌だった父親が、朝起きてきトットちゃんたちの前で「タイスの瞑想」を弾いているシーンが印象的でした。 さて本が出版されたのは、戦後36年過ぎた1,981年。 戦後復興、高度成長期を経て生活は豊かになりましたが、幸せになったのか? 当時は「不登校」とか「家庭内暴力」(子から親へ)という言葉が広まった時代です。 だからこそ黒柳徹子は「トモエ学園」の話を伝えたかったのでしょう。 それから40年。世の中は幸せのなったのか? さらに悪くなっています。 「不登校」のみならず、「いじめ~自殺」というニュースにも、憤りはあっても驚きはなくなってしまいました。大人社会への「同調圧力」が強まっているのも感じます。 40年前を知らない世代の人にも見て欲しい。 アニメの最後、トットちゃんの(未来に)希望を持っている映像で終わってるのも良かったです。
原作の良さを絞り出せてない?
「窓ぎわのトットちゃん」が昔大ベストセラーだったことは良く知っているが、結局読むこともなく今に至っている。あれだけ売れた本なのだからきっと何か良いのだろうと観る気になった。 【物語】 自分の感じたこと、思ったことをそのまま素直に行動し、口にするおてんばな女の子・トットちゃんは周りの子に迷惑を掛けているという理由で小学校を退学になる。新たに通うことになったトモエ学園は、電車が教室として使われているユニークな学校だった。周囲から困った子と言われて傷ついていたトットちゃんは、自分の話を全て聞いてくれる校長・小林先生と出会う。 どこまでも子供の気持ちに寄り添い、愛情深い小林先生の下、トットちゃんは自分を押し殺す頃なく、同級生と共にのびやかに成長していく。 【感想】 なるほど、黒柳徹子はこんな女の子だったか。 でも、何となく分かる。今でこそ活舌が甚だ怪しいが、若い頃はマシンガンのように早口でしゃべりまくっていた彼女だけに、子供の頃からおしゃべりだったのは、容易に想像がつく。 そして、大人から観るとちょっと迷惑なくらい、元気で自由なトットちゃんは人並外れて感受性が高かったのだと思う。 そんな女の子が、怖れることなくテレビ、芸能の世界に飛び込んで、自分からどんどん発信する大人になっていくことは、全く違和感が無く後の黒柳徹子につながる。賢い子だったに違いない。 その他、本作で感銘を受けるのはやはり小林先生。子供を全く抑えつけることなく、個性を尊重して伸ばしていく。危険なこと以外は「それやっちゃダメ」とは絶対言わない感じ。何より子供を愛している。理想的教育者。今よりはるかに学校は「しつけ」の場として考えられていたであろうこの時代では、おそらくは親達から最初から受け容れられたと思えないが、きっと小林先生は周囲の批判に屈することなくポリシーを貫いたのであろう。 ということで、良いところもあるのだが、面白かったかと言うと、期待したほどではなかった。あれだけのベストセラーなのだから原作はもっと面白いに違いない。そのエッセンスの抽出がイマイチなのではなかろうか。端々に心惹かれるシーンがある一方で、どこか流れが散漫で、最後まで観ても何か欲求不満な感じ。 エピソードをもっと絞って、1つ1つをもう少し深く描いたらもっと良かったのではないか? そんな気がする。
涙止まりませんでした
初めてレビューします。したくなるほどの内容でした。 主人公のトットちゃん(黒柳徹子)の表情、動きがコロコロと変わり生き生きとしています。見るもの全てが輝かしく、興味が湧いたら突っ走る、想像力豊か、そんな姿がアニメで伝わってきました。本当に可愛い、愛おしくなります。私がこの作品の中で一番魅力的だと思ったのは校長先生です。本当にこの校長先生は優しさに溢れている。また、映画での描写からいかに徹子さんがこの校長先生の言葉、思いを受け取っていたのかを感じました。 余談で、私は今大学生で保育系の学校に通っているのですが、このアニメの校長先生のような関わり方、見守り方をできるようにしたいと強く思いました。ぜひ、保育志望の方にも見てほしいと思ってます^_^ この作品が素晴らしいと感じたのはとにかくアニメの技術の高さです。(上からになりますが)トットちゃんの感性に合わせたアニメーションや、時代に沿って服装、人々の様子、食事の日常が移り変わっていく。その様子を見ているととても心が痛み、戦争がありとあらゆるところで心を蝕んでいるのだと強く感じました。時代に沿った服装を制作者の方たちがたくさん調べたのだと思いました。 私は、こうして文章を書くことは得意ではないし好きでもないです。しかし、この作品には心打たれて制作者の方にこの思いを伝えたいと思いここに書かせていただきました。(他の手段がわからず) まだ見ていない方、見たいと思っている方、ぜひ見てほしいです!あっという間に終わってしまい飽きることなく私は終始泣いていました。その涙は悲しさもありながらトットちゃんの明るさに惹かれて愛おしいと思い涙したような気もします。この作品に出会えたことを光栄に思います。製作者の方々、ありがとうございました。
新たな戦前を迎えつつあるこの国で
日本の学校教育は一人の教師が大勢の生徒を受け持つ一斉授業で行われるため、平均的でおとなしい生徒が好まれる。画一的な教育を目指すものなので均等な能力の育成に効果はあっても、個性や才能を伸ばすことには不向きだ。例えばギフテッドの子供や逆に平均より能力の劣る子供はその枠内からはみ出してしまうデメリットがある。
人並外れて好奇心が旺盛で授業中でも気になることが頭から離れないトットちゃん。彼女の描くお日様の絵が画用紙からはみ出るように枠内に収まろうとしない彼女は教師からさじを投げられ、転校することになる。
彼女が通うこととなったトモエ学園は大正デモクラシーの流れで自由教育を標榜する考えのもと生まれた学園であり、少人数制で個々の子供たちへの気配りが行き届いた学園だった。校長の小林先生は初めて訪れたトットちゃんの話に延々と耳を傾ける。子供の気持ちを理解することが第一だというのはまさに児童中心主義の姿勢そのものだ。
原作者の黒柳さんは小林先生に言われた「君は本当はいい子なんだよ」という言葉がなかったら今の自分はないとまでおっしゃっている。
幼いころのこういった教師との出会いがその後の人生にどれだけ大きな影響を及ぼすかこの先生はよく知っている。だからこそ、悪気なく尻尾がついてるかもと発育不良の小柄な生徒をからかった教師に対しては厳しくしかりつけていた。
優しくもあり厳しくもあるそんな小林先生の下で子供たちはのびのびと学園生活を謳歌する。そしてトットちゃんにとってその後の人生に影響を与えたであろう出会いが。それは小児まひの泰明ちゃんとの出会い。トットちゃんは手足が不自由で遠慮がちな彼をプールや木登りに誘い、分け隔てなく彼と接する。そんなトットちゃんに次第に心を開いてゆく泰明ちゃん。服を汚して帰ってきた彼の服を見て涙ぐむお母さんは、洗濯が大変だから泣いたのではないだろう。
いらぬ気遣いから腕相撲でわざと負け、彼を傷つけることもあったが二人のきずなは強くなっていった。そんなトモエ学園での楽しい日々が過ぎてゆく中、戦争の足音が静かに忍び寄ってくる。
銃後の守り、お国が大変な時期だということで食糧配給は次第に滞り、育ち盛りの子供たちは質素な食事を強いられる。元気でのびのびと子供たちをはぐくむトモエ学園の教育方針とは真逆の方向へ向かおうとする国の姿勢がそこには映し出される。
お腹が空いてせめて歌を歌って紛らわそうとするトットちゃんたちに意地汚い歌を歌うなと怒鳴りつける大人の姿。本来大人は子供にひもじい思いをさせたくないと思うものだが、この時代は国こそが第一であり、そんな子供の気持ちさえないがしろにされた。
子供たちの気持ちを尊重するトモエ学園とは対照的に個人の意思を封じ、ただ国に従う人間を望む国の姿がここでは描かれている。
そしてやがて悲しい別れが唐突にやってくる。縁日で買ったひよこの死が予感させた通りトットちゃんは泰明ちゃんの死を目の当たりにすることになる。身近な人の死を体験するには幼すぎるともいえるこの体験が黒柳さんの現在のユニセフの活動につながったんだろうか。
泰明ちゃんの葬儀から飛び出して街中に出ると出征を見送る大勢の人々が、そして戦争ごっこをする子供たちの姿。国は第二次大戦へと本格的に突入しようとしていた。トットちゃんが生きる時代は大きなうねりに飲み込まれてゆく。
やがてトットちゃんには弟ができて、お姉さんに。トモエ学園を卒業して東京から疎開することになる。
その後トモエ学園は空襲で校舎を焼かれ、小林先生も亡くなり廃校になってしまう。トットちゃんは泰明ちゃんに本を返す約束を果たせず、トモエ学園の先生になる約束も果たせなくなる。
もし、トモエ学園が現存していたなら私たちはあの玉葱頭をテレビで見ることはなかったんだろう。
同日に鑑賞した「ゲゲゲの謎」の水木しげる氏ほど強烈ではないけど、明らかに幼少の頃黒柳さんが体験した戦争に対する思いが本作に込められていたように思う。
ガキ大将たちがトモエ学園をからかいに来た時、生徒たちはけんかではなく歌を歌ってガキ大将たちを追っ払った。それを見て背中を震わせていた小林先生。力ではなく歌で相手を負かしたこのシーンは本作で一番印象的だったし、これが本作で一番訴えたいことなんだろうと思った。
いまの日本は防衛費倍増で世界第三位の軍事力保有を目指そうとしており、新たなる戦前を迎えつつある。戦前に生まれ第二次大戦を体験した人の数は年々減っていて、ご存命でもかなりの高齢だ。そんな人たちが経験した話をこれからも引き継いでいかなければならない。もしこのバトンを渡すことが途切れてしまえばまた過去の同じような悲劇がこの国を襲うことになる。
トットちゃんのように子供たちには争うことよりも歌い、学び、遊び、伸び伸びと育っていってほしい。子供が国の未来の担い手、子供が幸せでない国に繫栄はない。
力ではなく歌で立ち向かったトモエ学園の生徒たちのように国はいかに戦争を起こさないよう知恵を働かせ対話を重ねることが大切かを学ぶべきだろう。戦争を知らない子供たちが引き起こす戦争によってこの国が二度と戦渦に巻き込まれることがあってはならない。
正直、こんなに直球で戦争を描いたものだとは思ってなかったので驚いた。年端もいかない子供に銃後の守りとか言って怒鳴りつける大人の姿には正直、反吐が出た。その後、いかにも自分は立派な国民だといわんばかりにトットちゃんたちを教え諭すような口調になるその姿にも。
子供たちの何気ない日常がやがて戦争に侵食されてゆくさまを見事に描いた。可愛らしい絵柄からは想像もできない戦争の不穏さを。その絵柄とのギャップがより効果的だった。ぜひとも子連れで観に行ってほしい作品。
全233件中、161~180件目を表示