「懐かしみ、感心し、泣いた。」映画 窓ぎわのトットちゃん ippさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0懐かしみ、感心し、泣いた。

2023年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

普段はアニメ映画はほとんど観ませんが、タイトルに惹かれて鑑賞しました。

映像が詳細で美しいので、ついつい画面の隅から隅まで見回してしまいました。見覚えありそうな街並みや、家の中のさり気ない小物の数々。昭和世代には何もかもが懐かしいやら嬉しいやら。(真鍮のネジ式の窓の鍵など涙もの)

机や窓枠の木目には細かい傷や凹みまでが描かれているし、トットちゃんの指先の膨らみには、確実に体温が感じられました。キャラクターの自然で繊細な動きも一挙手一投足見逃せず、あれもこれも感心しきり。瞬きを忘れて見入ることもしばしばでした。(最近のアニメはここまでやるんですね)

肝心の脚本はと言えば、原作が単発エピソードの羅列に近いのに、シーンを上手に繋げて上手いこと1本の映画にまとめていた印象で、2時間があっという間に過ぎてしまいました。(原作ファンの期待を裏切る要素は、およそ思い当たりません)

そして、遥か昔に原作を読んだ時とおそらく同じ箇所で、やはり涙が溢れるのを抑え切れませんでした。( むしろ、あの頃よりも派手に泣いたかもしれません)

あいみょんさんの主題歌を聴きながら、泰明ちゃんの顔が夭折した自分の同級生の顔に重なって、エンドクレジットを読むのを阻まれました。

懐かしい本の映画で、普遍的な何かを体験できました。

ipp