「かなり挑戦的なキャラデザを、動きと表情でしっかり可愛く…というより...」映画 窓ぎわのトットちゃん sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0かなり挑戦的なキャラデザを、動きと表情でしっかり可愛く…というより...

2023年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

かなり挑戦的なキャラデザを、動きと表情でしっかり可愛く…というより
子どもの活発さ愛らしさを表現しているのが良い。前半トットちゃんから横溢する活力だけで楽しくなる。二人で木に登る、というだけのシーンが凡百のアクションシーンも手に汗握る。昭和10年代の市民生活をリアルに描いているだけに、差しはさまれるファンタジックなシーンがアニメとしての楽しさに溢れる。それだけに次第に戦争が生活に浸透し、トットちゃんたちの「成長」が小国民としての「統制」と重なっていくことが、描かれるトモエ学園が当時としてはもっともリベラルな教育環境であるだけに、恐ろしい。シンエイ動画のクライマックスといえば主人公の疾走だが、今作でのそれは、トットちゃんが一筋の光となってが大日本帝国の影を束の間、刺し貫くかのようで、凄まじい。その直後、異常に禍々しくも美しく描かれるB29の冴え冴えとした金属光とのコントラスト!冒頭の提灯と遠い「万歳三唱」の意味が、あとから思い返される。

sugsyu