「Gradation」夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Gradation
昼からの仕事に備えて何か観ようと思ったら、舞台挨拶中継付きで今作があったので飛び込み鑑賞。原作は未読です。
キラキラ映画かと思っていましたが、色彩豊かで心の傷を癒しながら互いを理解していくという恋愛というよりかは友情が深まった感じの作品でした。
普段の生活の中で溜まるストレスや厄介ごと、それらの鬱憤を晴らすように茜と青磁がカラフルな世界を、自分だけの世界を知って笑顔になっていくシーンが青春映画でもキラキラ映画でもない後味になっていて斬新でした。これは酒井監督が登場人物や原作を尊重しているからこそ成せるものだなと思いました。
青磁が描く空の絵、朝焼け、青空、夕焼け、星空、飾られている絵の全てが美しかったです。心込めて描かれているのが伝わってきますし、実際の空と遜色の無い出来だったのも良かったです。
屋上をペンキで塗りたくるシーンは体験できない青春を体験した気分になれました。衝動のままに描いて、2人ともカラフルに塗れて、それでもたくさん気持ちを吐き出してスッキリしていて、そんな2人の笑顔は最高に眩しかったです。
お父さんと呼んでしっかり家族になり、朝食も一緒に食べるというのも些細な変化ではありますが、大きな一歩を踏み出したなと思いました。
ラストは唐突に5年後に飛んで、茜が家族と仲睦まじく過ごしているのが分かったところで、口笛に呼び寄せられながら行った場所で青磁と再会するといったラストは原作と違うみたいですが、これはこれで爽やかな終わり方で良かったなと思いました。
トータルで見ると結構あっさりしていたので、胸キュンなシーンはそこまで多くないですし、ややぶつ切りだなというシーンも多々存在していました。そこは勿体なかったなと思いました。
役者陣の演技がとても良かったです。初々しい感じ満載で観ていてドキドキもワクワクもさせられました。
白岩くんの見た目チャラ男だけど友達想いなところがとても素敵で、舞台挨拶の中で監督が気遣いをする場面で本当に紳士的な行動(体調のすぐれない茜の口元に手を回して袋で受け止めたり、観覧車に乗るシーンで手招きして乗りやすくする)をアドリブでやっていたみたいなので、根っからの良い人なんだな〜ととても晴れやかな気分になれました。
久間田さんの苛立ちを隠しながら、自分を隠しながら生活している感じがすごく上手く体現されていましたし、それらを一気に爆発させるシーンは本当に爽快でした。あまり出ている作品を観る機会が無かったのですが、とても良い女優さんでした。次回作以降も追いかけていきたいです。
箭内夢菜さんのザ・親友で優しさ全開!な感じも最高でした。舞台挨拶の際にイッテQメンバーの話をされたタイミングで出川ガールという事に気付いたので、数年でここまで急成長するんやなぁとしみじみ思いました。
上杉柊平さんのダラッとした教師役もピッタリはまっていてとても良かったです。
舞台挨拶でも和気藹々としたムードで進められており、主演2人が人見知りだったけれど役を演じる事によって互いを知っていったことや、屋上のシーンで高所恐怖症の監督が端っこに行くことを拒んだエピソードや、クールな上杉さんのお茶目な部分などなど、ほんわかした裏話が沢山出てきて30分の舞台挨拶がとても楽しかったです。
酒井監督の作品は初鑑賞でしたが、とてもカラフルで男女の絶妙な距離を描くのが上手いなと思いました。有名作でもある「美しい彼」もこのタイミングで観てみようかなと思います。
鑑賞日 9/2
鑑賞時間 9:00〜11:30(舞台挨拶中継付き)
座席 P-10