「原作とストーリーは異なる でも美しい」夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく ミナミさんの映画レビュー(感想・評価)
原作とストーリーは異なる でも美しい
原作ファンです。
アイドルの方が初主演、主題歌も、ということで正直ビクビクしながら映画館に向かいました。
期待は良い意味で裏切られて、少し舌っ足らずなところは気になりましたが青磁くんがそこに居ました。茜役の方の演技も素晴らしく、茜と青磁が生きている姿をはっきりと見ることができ、とても嬉しかったです。
また、映像化にあたりとても楽しみしていた青磁の絵を沢山見ることができ、とても嬉しかったです。もっと見ていたかったので個展をやっていただきたいぐらい…!
しかし、ストーリーがかなり原作から改変されており、しかもその改変が作品の大切な点を取りこぼしているように感じてしまったのが非常に残念でした。
茜の家庭環境が変わっている点を除いては、文化祭までは大方原作に沿っている印象でした。個人的にはセンシティブな茜の自傷シーンをきちんと描いて下さっていたのは嬉しかったです。
ここから先の展開に関して、かなり原作と異なるなと感じました。
・原作では屋上で夕焼けを見るシーン→廃墟遊園地に場所が変わっています。
・茜がマスクをずっと付けている→中盤から青磁にだけマスクが取れてしまいます。
・朝焼けを見に行こうのシーン→あの河川敷ではなく屋上。しかもまさかの夜を過ごして朝帰り。傘も出てきません。河川敷も全く出てきません。
・病院のシーンもないです。
・告白シーン、クライマックスシーンは全く異なります。原作の中ではキーになるあの絵は全く出てきません。キスもしてません。
・タイトル回収されません。
これなら正直、原作は小説だし映画尺に変えてもそこまで不都合なかったと思うので原作ママでやっていただきたかったな…という思いです。
ですが映像美としてはとても美しく、景色や色を大切にするですので夕焼けを見ながら色を挙げていくシーン等は映画化冥利に尽きるなと感じていました。
これから見られる方がいらっしゃるなら原作未読のまま見られた方が楽しめると思います。その後ぜひ主題歌Gradationを聴きつつ、原作、アナザーストーリーもお読みいただけるととても楽しめるのではないかと思います!