「「哲学」する子どもたちは素晴らしい!」ぼくたちの哲学教室 しのぶさんの映画レビュー(感想・評価)
「哲学」する子どもたちは素晴らしい!
とにかく「羨ましい」のひと言に尽きる。「哲学」が主要教科になっていて子どもたちは日々「なぜ?」「どうしたらいい?」「どうしたい?」・・・問いかけられ、声かけられ見守られて少しづつ成長していく。他者と対立するのでも従うわけでもなく、対話を繰り返しお互いに認め合える着地点を探って行く姿がとても頼もしく見える。
労働者階級の住宅街に北アイルランドの宗派闘争の傷跡が残るこの地域は混沌とした衰退地区で犯罪や薬物乱用が盛んなこの街の絶望感は映像のあちこちに映し出されている。決してきれいでもなく治安も悪そうな場所で、周りに巻き込まれ流されて行かないように、自分自身で考えて答えを導き出せるようにケビン校長をはじめ教師たちは子供たちに武器として「哲学」を授ける。
大人の覚悟が凄い。繰り返し繰り返し子どもたちに語り掛け、叱ることなく子ども自身で気づけるように導いて行く根気強さに脱帽する。
詰め込み、学力重視で子どもたちを点数でしか見ていない日本の教育にこそ絶対に必要なものだと強く思う。そのためには大人たちも本物の大人になる必要が有る。これは私自身にも言えることでは有るけれど・・・観終わって、心が暖かくなる作品だった。
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