「結局のところ、執着と感情が沸騰して、それなりの関係になってしまいそう」セフレの品格(プライド) 初恋 Dr.hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
結局のところ、執着と感情が沸騰して、それなりの関係になってしまいそう
2023.7.26 T・JOY京都
2023年の日本映画(99分、R15+)
原作は湊よりこの同名漫画(2011年、双葉社)
バツ2のアラサー女性が初恋の人と再会して、セフレ関係になる様子を描いたラブロマンス映画
監督&脚本は城定秀夫
物語の舞台は都内某所
コールセンターで働く森村抄子(行平あい佳)は、バツ2で高校生の娘・遙(演者不明)がいた
ある日、同窓会に出かけた抄子は、そこで高校時代の初恋の相手・北田一樹(青柳翔)と再会をする
友人の華江(片山萌美)は素早く抄子の心理を汲み取るものの、抄子は否定していた
だが、酒を飲みすぎたせいで酔いが回り、抄子は一樹に介抱されることになる
そして、「抜け出してホテルに行かないか」と誘われるのであった
映画は、一樹とのセックスを終えた抄子が、彼から「セフレの関係でいたい」と言われるところから動き出す
その言葉は抄子を傷つけるものの、それからも体だけの関係を続けてしまう
さらに、華江も一樹のセフレであることが判明し、一時は感情的な反発があるものの、そのままセフレの関係は続いてしまうのであった
物語は、レディコミっぽい感じで、欲望を制御できない大人たちが描かれていく
性的描写も過激で、R15+なの?と思えるほどに絡みは激しい
レディコミ原作なので女性客が異様に多かったが、それを知らずに入っているエロ目的の人もちらほら見かけた
映画が終わった後の微妙な空気感はR15+特有のもので、気まずさが充満しているように思えた
セフレにもプライドがあったのか!と驚いてしまいものの、こだわりとかルールという意味合いの方が強いように思える
それでも、このルールを守るというのは結構難しいと思うので、結局は感情と欲求によって流れされていくのかなとも思う
セフレという関係を持ったことがないので想像でしかないが、よほどセックスに自信がある人でないと無茶なんだろう
体力的にも、金銭的にもバイタリティが必要で、盛りについた若者では無理だし、それ相応の財力と体力がある年代だと考えると、結婚には向かない人たちの救いの場のように思える
映画は、前後編という流れになっていて、後編はそれぞれに「若い異性」が登場することになっている
若い男女は「一樹と抄子の恋愛の障壁」のようなものだと思われ、双方に「嫉妬」が生まれて、それが喪失感へとつながっていくものだと推測される
それを踏まえた上で、セフレの関係を続けるのか否かというのが主題になっていて、個人的な感覚だと「ほとんど恋人同士になっている」ので、プライドを保つフリをしてダラダラと関係を続けてしまうのかなと思う
それぞれが結婚で失敗しているので、その関係に踏み切るかはわからないが、結婚がゴールではないので、体の関係+@という答えが導き出されるのかなと感じた
いずれにせよ、体当たりの演技がすごくて、人前で鑑賞するのがストレスになりそうなのだが、運命共同体であると考えるならばOKかもしれない
後半の展開はなかなかショッキングで笑えないぐらいヤバいのだが、亀子(佐倉萌)の「多恵さん(こころ)はダメですよ」がフックになっていて、笑ってしまいそうになる
後半でも「ダメですよ展開」はたくさんあると思うのだが、意外とコミカルなので楽しめると思う
連載中で30巻以上出ている大作なのだが、セフレだけでこのボリュームになるのは凄いことだと思う
それだけ、潜在的な願望というものがあって、それを受け取る層がいるのだろうが、実際にセフレの関係になる人は少なそう(執着になると思う)なので、願望の昇華ということでウケているのかな、と感じた