MY (K)NIGHT マイ・ナイトのレビュー・感想・評価
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前に進む瞬間を描いた作品
女性陣だけではなくて、デートセラピスト達も抱えているものが有るんですよね。
刻だけは、しっかり前を向いていたけど、それ以外の人達は止まっている部分が有って、それが進み出す瞬間が描かれてた。
中川監督の作品は、『やがて海へと届く』と今作しか観ていないのですが、止まっている人が前に動き出す瞬間を描くのが上手な監督なのかな。
それでね、まず語りたいのが穂志もえかさんについて。
私が穂志さんを知ったのは、JUJUさんの「東京」のMVが最初だったんです。
だからね、この役どころは合うと思ったし、中川監督の作風も穂志さんに合うんじゃないかと期待してたの。
やっぱり、良いんですよね。
今泉監督の撮るふわっとした穂志さんも良いけど、この作品みたいな穂志さんは良いの。
この映画では、最期にちゃんと母親と向き合えて良かった。
来年公開予定の『湖の女たち』に、穂志さんと「東京」のMVで父親役だった菅原大吉さんの名前が有るから、共演シーン有ると良いな。
それから、この映画で好きだったのが、インスタグラマーとイチヤの話。
ダンスシーンが美しいの。
そして、その時の写真が美しい。
あの写真は、彼女が踊る事を好きでなければ美しくならないと思うし、彼が写真を好きでなければ美しく撮れないと思うんです。
諦めてしまった道だとしても、好きでいて良いのだし、それを頑張っていた自分を否定する必要なんてないんですよね。
それと、あの美しい写真には、撮る人の被写体への愛情が必要なんじゃないかな。
あの二人は、本当にカップルになって欲しいな。
そして何より、あんなに美しいシーンを撮れる中川監督は、映画が好きなんでしょうね。
(K)NIGHT LIGHT
LDH系に興味はなく、女性向けかとも思ったが、横浜ロケを推されると弱い。
構成はクロスオーバーですが、パート毎に感想を。
●刻✕沙都子
一番(唯一?)まともにセラピストやってた。
安達祐実が見せる少女性も素敵だし、それを引き出すのが刻の「年下王子様」キャラなのも自然。
自己開放により踏み出す決意をするのは定番だが、最も楽しく観られる。
暴力おじさんも迫力があってよかった。
●イチヤ✕miyupo
なぜ食べ物系の写真ばかり撮ろうとするのか疑問。
写真展の偶然や分かり易い嫌味キャラは許容するが、イチヤが再起する流れとしては弱い。
最後に1枚映るだけで途中の写真は見せてくれないし、深夜に投稿して早朝に3000イイネつくものなの?
映像の雰囲気はよかったけど、演技と話は一番微妙かな。
●刹那✕灯
あの目的でレストランにいた意味が分からない。
教師っぽさで言うとコートが一番違うし、缶コーヒーは普通に飲めるんかい。
などなどツッコミ所はあるものの、話としては一番好き。
“親離れ”に関して刹那の察しが悪すぎてイライラしたけど。笑
全員が同じ時間に拾われるのもおかしいし、最初と最後のワチャワチャはファン向けなのかな。
沙都子に「別れる」とは言わせず、灯と母親の対話は見せないなど、余白の残し方は好み。
90分の尺の中で、男側にもちゃんとドラマがあって、(失礼ながら)意外とよくまとまった作品でした。
癒しのじかん。
買われる男達の話。
ある日の夜、夫に浮気された女、映えの写真を撮り共感数を稼ぎたい女、余命短い母親に婚約者を紹介したい女、に買われた3人の男達、一夜限りの男女三組のストーリー。
「デートセラピスト」と言ったら聞こえいいけど、出張ホスト、女性専用風俗の中間位?
どちらかといえば風俗よりなんですかね?!
セリフにも「ホテル行く?」ってシーンもあったし。
グレーよりな仕事だと思うけど、買う側が楽しめて、癒されて、気持ちいいならいいんだと思います!リアルも。
作品作風としてはしっとり静かな感じで上映時間中は少し眠かった。
どちらかといえばファン向けなんですかね?
鑑賞者はほとんど女子でした。
【一夜限りの若き恋人達3組の一夜の出来事を描いた作品。そして、その出来事の中で夫々が、新たなる生き方を見つけていく姿が印象的な作品でもある。】
ー ご存じの通り、今作は邦画若手監督の中で独特な地位を築いている中川龍太郎監督作品である。「わたしは光をにぎっている」や「静かな雨」や「やがて海へと届く」等の印象的な静的な作品を劇場で鑑賞し、気になっている監督である。-
1.夫の浮気に悩まされているタワマンに住む主婦(安達祐実)
⇒若い男(KNIGHT TOKI:吉野北人)との一夜の交際を求める
2.夫に逃げられた余命僅かな母(坂井真紀)に幼き時から、厳しく接しられた事から常に母の視線が気になる女性高校教師(穂志もえか)
⇒母の死の前に、偽のフィアンセ(KNIGHT SETSUNA:川村壱馬)を紹介しようとする
3.料理の人気インスタグラマーの女性(夏子)
⇒自分の写真を撮らせるために若い男(KNIGHT:イチヤ:RIKU)を雇う
<感想>
・最初は、あれれ・・、と思いながら観ていたのだが、徐々に引き込まれた作品である。
1.のケースは主婦が自身も夫への複雑な想いを抱えつつ、自由なTOKIの行動に徐々に明るさを取り戻していく過程が面白い。大盛ニンニク増しましの拉麺を食べ、ナント!TOKIの立ちしょん姿を後ろから見たり・・。そしてTOKIの家にまで行き、彼の恋人やフィリピンパブで働く母親の子を預かっている姿を見て、美味しそうな料理を振る舞い、最後はフィリピンパブで働く母親を追って来た大男の顔面に正拳を喰らわすのである。
そして、彼女は晴れ晴れとした表情になり、夫にキチンと話すと言って去るのである。
2.のケースは少し切ない。母から”何しに来たの”とツレナイ態度を取られ、涙ぐむ女性高校教師。その姿を見て、ひとり母親の元を再び訪れるSETSUNA。彼は自身が男を次々に変えて来た母とは縁を切ったと告げると、母親は彼を病室から連れ出し隠してあった煙草を吸いながら、娘を想う気持ちを彼に伝え、更にSETSUNAに一度はキチンと母に会いなさい、と告げるのである。そして作品冒頭、母の留守電を聞いていながら連絡を取らなかった彼は女性教師に母親の言葉を珈琲缶を上げ乍ら伝え、自らも朝日が上がる中、母親へ電話し留守電を残すのである。
3.のケースは料理の人気インスタグラマーの女性が料理を食べる姿をイチヤに撮らせつつ、自分は食べない姿に苛つくが、彼女がイチヤの写真の上手さに気付いた彼女がふと立ち寄った写真展でイチヤが且つては写真家を目指しながら挫折した事を知り、且つてのイチヤと共に写真を学んできた新進の写真家が、インスタグラムの事を揶揄するような言葉を行った時に、皆の前で口にした啖呵が気持ち良かったなあ。
<今作は、今までの中川龍太郎監督の新たな面を示した作品であると思います。>
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