「オペラ作品が直喩なのに、才能があると言えるのかは微妙」ブルックリンでオペラを Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
オペラ作品が直喩なのに、才能があると言えるのかは微妙
2024.4.12 字幕 MOVIX京都
2023年のアメリカ映画(102分、G)
スランプ中の現代オペラ作家が思わぬ出会いに翻弄される様子を描いたヒューマンコメディ映画
監督&脚本はレベッカ・ミラー
原題は『She Came To Me』で、劇中オペラのタイトル「彼女は降りてきた」のこと
物語の舞台は、アメリカ・ニューヨーク
現代オペラ作家として人気を博しているスティーブン・ローデム(ピーター・デインクレイジ)は、潔癖症の精神科医パトリシア(アン・ハサウェイ)と結婚し、彼女の連れ子であるジュリアン(エヴァン・エリソン)と3人で暮らしていた
ジュリアンにはテレザ(ハーロウ・ジェーン)と言う年下の彼女がいて、すでに大人の関係になっていた
テレザの母マグダレナ(ヨアンナ・クーリグ)は法廷速記者のトレイ(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)と恋人関係になっていて、結婚はしていないものの、テレザの養父的な存在になっていた
ある日、パトリシアから「行動パターンを変えなさい」と言われたスティーブンは、愛犬リーバイの行くままに町を散策することになった
リーバイは港町の方に向かい、スティーブンは海沿いのバーで一服することになった
バーテンダー(トミー・ブック)と何気ない話をしていたスティーブンだったが、そこにカトリーナ(マリサ・トメイ)が話に入ってきた
彼女は曳き船の船長で、今は休暇を楽しんでいると言う
カトリーナは「船を見に来ないか?」と言い、スティーブンは赴くままに彼女の船に足を入れる
そして、船室の誘惑に耐えきれず、体の関係を持ってしまうのである
物語は、スティーブンとカトリーナ、パトリシアの三角関係と並行して、テレザとジュリアンの許されざる恋を描いていく
テレザは16歳で、ニューヨークでは未成年と性的関係を持つことは犯罪だった
トレイは立腹し、裁判を起こすとイキリだし、そこでスティーブンは「結婚すれば良いのでは」と助言を与える
だが、ニューヨークは16歳の結婚を認めておらず、そこで彼らは「デラウェアなら親の許可があればOK」と言う情報を見つけ、そこに向かうことになった
だが、トレイは法廷速記官として、方々に顔が効く存在で、そこでスティーブンは陸路を行くことを諦め、カトリーナに助けを求めることになるのである
映画は、スティーブンのスランプが「カトリーナとの一夜」「ジュリアンとテレザの恋愛」に触発されて作品を生み出す過程を描き、それによってパトリシアとの関係が破綻する様子を描いていく
パトリシアとの破綻はカトリーナの存在が大きいものの、不倫が問題というよりは、かねてから聖職に興味を示していたパトリシアが目覚めたという感じになっている
この流れが結構雑多な感じがするので、映画的には群像劇だったのかな、と感じた
いずれにせよ、思ってたのと違う系の映画になっていて、もっとオペラが前面に出ている作品なのかと思っていた
オペラは要所を締めるものの、物語の核は「それぞれのキャラが生きたいように生きる」という感じになっていて、一応はハッピーエンドのように結ばれていた
トラブルから着想を得たオペラ2作品はそのまんまという感じで、メタファーなどではないところは何とも言えない部分がある
スティーブンは人気作曲家ということだが、才能があるのかどうかはわからず、演じた人々の力量に依るという感じがしたので、それで良かったのかも微妙かなあと感じた