碁盤斬りのレビュー・感想・評価
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人と人との関わり Connections between people
ふと出会った人に、少し踏み込んで関わることで、
心に変化が起こることがある。
この映画の中で、
それが囲碁の対局を
通じて、起こっている。
対局という状況がゆえ、
立場や身分、職業を超えて
それが起こって行く様が面白い。
堅物な主人公が、強欲な商人を変えていき、
主人公の娘が、吉原の大女将を心酔させ、
仇討ちの相手ですら、主人公を変えていき、
強欲な商人ですら、主人公を変えていく。
その変える力は、各々が持つ
言い分や、矜持、覚悟だ。
表裏一体で、その功罪があったことは
理解しているつもりだけれど、
個人の裁量と責任があった時代、
しきたりや、決まり事はあったけれど、
人が裁量を行使し、責任を引き受けることにより、
柔らかく対応できた時代だった。
古典落語が下敷きの物語と聞いて、
合点が行った。
SNSやインターネットがあることで、
瞬時に、起こったことが、
真偽の是非を検討するまもなく
拡散され断罪されるようになって久しい。
グレーな部分はほぼ消滅し、
白と黒のクッキリした物ばかりが目立つようになった。
それにも、功罪がある。
うまい落とし所ってないものかなぁ
とこの映画を観ながら考えてしまった。
Sometimes, encountering a person and getting involved with them a bit deeper can bring about changes in the heart.
In this movie, this happens through the game of Go.
The interesting aspect is that, due to the nature of the game, it transcends positions, social status, and professions, allowing these changes to occur.
The stern protagonist transforms a greedy merchant,
the protagonist's daughter captivates the madam of Yoshiwara,
even the protagonist's nemesis changes him,
and even the greedy merchant changes the protagonist.
The power to change comes from each person's arguments, pride, and resolve.
While I understand that there were merits and demerits, in an era when individuals had discretion and responsibility, there were customs and rules, but people could respond flexibly by exercising their discretion and taking responsibility.
Hearing that this story is based on classic rakugo, it made perfect sense.
With the advent of SNS and the internet, it's been a long time since events spread instantly without a moment to verify their truthfulness, and people are judged immediately.
The gray areas have almost disappeared, and only the stark contrasts of black and white stand out.
This too has its merits and demerits.
While watching this movie, I found myself wondering if there is no good middle ground.
日本が失いかけている、品性と清貧をあらためて考えさせられる良作
「仮面ライダーBLACK SUN」を見てファンになった白石監督作品であること。落語を少し聞き始めたので「元ネタが柳田格之進」ということも合わさって、劇場へ。
若かりし頃の役所広司、または高倉健などだったら・・・とも思うのですが、いやいや草彅剛お見事!お金に困って満足に食べられない物理的な「線の細さ」「間違いなく生活に困った」空気感と、それでも武士としての誇りに加え個人的「真っ直ぐに生きる」哲学をもった空気感を醸し出しているなぁと感じました。
「品の良さ」も感じましたね。 佇まい、それと所作が自然と流れるように。
今、日本が失いかけている「品性と清貧」の哲学がこの作品には込められていると感じました。
「仮面ライダーBLACK SUN」「孤狼の血シリーズ」を見ていたので、過激な映像や展開を少し期待していたのですが、それはほぼ無し。人によって「淡々として退屈」と感じる要素が多いような作品ですが、十分見応えがあって、草彅剛さんの「静と動」の演技は実に素晴しかったです。
個人的にキョンキョンも素晴しい演技でしたね。
先にYoutubeで落語を見て予習をしたので、おおまかなストーリーを知ったうえで、映画を見るという体験はいいですね。判っていても「あぁ!お絹ちゃん!デビューしなくて良かった」とか、ドキドキするのは役者さんの演技、演出が素晴しいのと、江戸の町並みやら長屋のセットなどが出来る限り検証して再現をしてくれているのだろうなと。
清廉潔白!の武士魂が!凄い!
清廉潔白だけでは生きていけぬ
『清原果耶』推しで鑑賞。
「青春18×2君へと続く道」のアミ役でギュッと心をつかまれた。
この映画でのお絹も、可憐で、凛とした佇まい、そして透明感が半端ない。
時代劇でもその演技の上手さが証明された。
ただ、それ以上に草彅剛の抜群の演技で、久し振りに観た本格時代劇を堪能できた。
あらすじは割愛させていただくが、映像がとても綺麗。
陽が入らない薄暗い長屋、ろうそくの灯りしかない夜の空間、街道沿いにある碁会所(碁に詳しくないのでこの言い回しでいいのか?)の埃っぽさ、見事に表現されている。
碁を打つ場面は、指先まで神経がいき届いている(ど素人から見ても)。
かなり訓練されたのであろう。
柳田格之進(草彅剛)の碁は美しい。
國村隼はさすがの演技で、観る者を惹きつけるだけでなく、映画に安心感をもたらした。
子どもたちからも「ケチベエ」と言われ、賭碁で汚く金を巻き上げることに執着していた源兵衛(國村隼)が、柳田格之進と碁を打つことで徐々に心が変化していく様は、表情だけで十分感じられた。
半蔵松葉のお庚(小泉今日子)は凄みがあった。
仏の顔と鬼の顔を使い分ける演技は、アイドル時代のキョンキョンをリアルで知っている世代として複雑な感情だったが、役者としての完成度の高さを知ることができた。
そして敵の柴田兵庫(斎藤工)。
上手く演じたのではないか。
普段は時代劇をあまり観ない方なので斎藤工の侍姿は記憶にないが、憎々しい感じはしなかった。
むしろ、横網の長兵衛を演じていた市村正親の方が敵役に相応しい(笑)。
六尺の大男という設定のためなのかは分からないが、長身で迫力があり見応えのある殺陣であった。
面白かったのは、50両の言われなき嫌疑が晴れた時、源兵衛と弥吉(中川大志)の首をもらうと格之進が刀を振り下ろそうとした刹那、源兵衛と弥吉が言われなき嫌疑をかけた責を譲らなかった場面で、思わずダチョウ倶楽部のコントが頭に浮かんだのは私だけか(笑)。
その後に碁盤を斬るだろうと分かってしまった(笑)。
少し残念だったのは、囲碁が分からない人に対して簡単な解説を挟み込んでほしかった。
また、50両の濡れ衣は、お絹が吉原に身を沈めることでお庚から借金、そして夜逃げする場面は、ちょっと安直かなとは思ってしまった。
時代劇にありがちな設定。
柴田兵庫を討って本懐を遂げ、50両の濡れ衣も晴れて、吉原の半蔵松葉で待つお庚とお絹の元へ急ぐ格之進と左門(奥野瑛太)、一日遅れで、ボロボロの姿で娘の前に立ったところで目頭が熱くなり涙がこぼれた。
兵庫が嘘をついて残していた探幽の掛け軸を、売って金に換えただろう格之進が、お絹と弥吉の婚礼の場から姿を消し、過去に自身が殿へ直訴したことによって職を解かれ不遇の身に追いやった者たちへの贖罪の旅に出たことは想像に難くない。
いずれにしても見応えのである演技ばかりで満足、満足。
原作を買ったので、感動をもう一度味わおう!
不親切にも程がある(笑)
囲碁の基本や定石に全く解説が無いので、素人には難しいかなと思ったのですが、その世界観に圧倒されました。「星に打つ」?なんやそれ?は全く感じなくて美しい映像や音が観客を惹き付けて離すことはありませんでした。超堅物の格之進が取り戻した掛け軸を殿に還さず、金に替える決断をした事に人としての変化・変遷のようなものを感じざるを得ませんでした。どう言って良いのか分かりませんが、日本人の日本人による日本人の為の時代劇という感想です。此れを外国人に理解してもらうのは難しいな、と感じました。清原果耶さんが復讐のために苦界に身を売る判断をごく自然にするなんぞ、理解できてたまるかよ!という思いもあります。しかし果耶さんの和装は尊い!浜辺美波さんと二大和装美女だなあ。
格之進の生き方に涙…。
草薙剛さんのドラマや映画は、自分自身の深いところに問いかけてくる作品が多く、好んで観ています。
今作は、日本人の美点を改めて感じ、久しぶりに日本人であることを誇らしく思いました。
囲碁のルールは知らなくても、この映画は楽しめます。
囲碁は、対局時の言葉によらない交流や、タイトルになっている「碁盤切り」のために不可欠な要素だったのでしょう。
碁盤を切った時、格之進は、おそらく初めて、己の信念に支配されることなく、自分の行動を選択できたのではないでしょうか。
日本人の美点であり、欠点は、場や他者に対する共感能力の高さです。
民族も文化も言語も教育レベルも様々な外国では、イチから全部表現しないと、目の前の相手に自分の想いを伝えることはできません。
日本は、以心伝心が奇跡的に機能しているホントに稀有な国です。
反面、自分を貫くにはかなりな精神力を要しますが。
自分の信念を貫くことと、他者を慮ることのバランス。
格之進の生き方を通して、そんなことを考え、自分自身を振り返りました。
お互いに影響しあって生きている世界で、まずは率先してよい方向に変わろうと思いました。
ノベリティが、今までで一番しょぼくて、ちょっと笑いました(*^▽^*)
真面目過ぎるのも…
素晴らしい脚本と演出の時代劇。見て良かった
プロットがよくできていると思ったら、落語が元になっているのですね。でも、落語そのままではなく、主人公柳田格之進、お絹、萬屋らの人情に共感できるように修正されていて、良い脚本だと思います。柳田格之進の武士らしい抑制的なキャラクターが時代劇らしい魅力を感じます。さらに、囲碁と武芸、美術の目利きの能力が高いという設定が話の展開を面白くします。
宿敵の柴田兵庫を斬らねば、と考えて捜しに出る理由も共感するし、捜す手がかりもうまく設定してあるし、期限を切られているところも緊張感が増します。タイトルの「碁盤切り」の場面は、本気で自己犠牲を申し出ていると感じて、涙が出ました。
夜はろうそくの灯だけの薄暗い場面が多く、そういう時代なのだとリアリティを感じます。ヤマ場の殺陣でも刀を突き刺す場面が入っていたり、一太刀だけでは死なないという場面もリアルでした。吉原の格子の中にもいろいろなレベルの女郎を描いていているし、表だけでなく裏の面も描いていて、実際にこんな感じだろうなと思いました。監督の白石さん、素晴らしい。
囲碁がわかるともっと面白いのかもしれませんが、時代劇の面白さを満喫できました。
草なぎさんのあの硬さとやわらかさが混じりあった独特な佇まいと存在感...
あれこれ盛り込んで複雑にしつつも時代劇の型を守ること。
2024年。白石和彌監督。過度な公正さを求めすぎて逆恨みされ、彦根藩を追放されて浪人となった男は娘と二人、江戸で貧しく生活している。碁の腕前は一流。碁打ちとして出会った大金持ちと心の交流を含めた交際を重ねるが、大金横領の嫌疑をかけられ、娘は金をつくるために遊郭に行く決意をする。同じ時、亡き妻の死の真相を知った男は敵討ちの旅に出る、、、という話。
とにかくあれこれ盛り込まれている。物語も映画設定も一筋縄ではいかない複雑さ。複雑さを受け止める人物造形にするために、主人公は複雑怪奇なキャラクターになっている。
キャラ→公正さを求める冷静沈着な男はそれが行き過ぎて我を忘れて逆上する。自分の正義に迷い、敵役の戯言を真剣に受け止める。人間関係→碁を通じて出会うソウルフレンドを殺すほど憎む。しかもまた赦す。かつての部下、遊郭の女主人、賭場の親分など周辺に義理人情に篤い人物群。物語の設定→敵討ち、碁の勝負、金と人情。映画ジャンル→時代劇、タイムリミットと複数展開。
結末に納得できずにモヤモヤ
なかなか面白い切り口の物語でした。
ただ、草彅さんにはまだきつい役柄だった
ような気がします。
おなじく斉藤さんも。侍の持つであろう
葛藤ってのと重みってのが伝わらないんです。
國村さんが素晴らしいので悪目立ちしちゃいました。
それと、本作ってどこに比重を置いているのか
良くわかなくなってしまったんですよね。
一体の作品のテーマは何だったのか?と。
あの命を懸けた決心はなんだったんだ?と。
主人公が己のポリシーを曲げてまでやりたかった
ことって「それなの?」とかなりのポカンとなってしまった
ラストの展開がその原因です。
さらに「相手はその人?」って。
親子そろってどれだけ柔軟になってんだよ!って。
それで一気に冷めちゃったなぁ…。
あの展開はひどいですよ。
それと、草彅さんも斉藤さんも殺陣、
もっと練習してほしいです。時代劇やるなら。
殺陣の説得力って大事だと思うのです。
観るべき作品!
全てのキャストが本当に上手い!
映像も時代を丁寧かつ繊細に表現していて、さすが職人技!と感心します。
囲碁がわからなくても十分見応えあるし、わかればなおさらかも。
素晴らしい作品なのに、上映回数、観客が減っているのが残念。
時代劇、囲碁というのが、地味な印象を抱かせ、観る興味を起こさせないのかな!?
そういう私は、もともと草彅剛ファンなのが観るきっかけに。
きっかけは何であれ、映画館に足を運んで、観てもらえれば、後悔しない、観て良かった!と思ってもらえる作品だと思います。
先日「おいごばん」して、気がついたこと。
市村正親が演じる長兵衛が運営している碁会所に出てくる俳優さん、ミッドナイトスワンで中学校の先生役の方でしたね(^^)
また「おいごばん」して、新たな発見が楽しみ♪
個人的には、剛くんが昔お世話になったキョンキョンと共演できたことに感無量でした!
静の時代劇
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