碁盤斬りのレビュー・感想・評価
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公開初日にレイトショーで。 主演の草彅剛さん、 ミッドナイトスワン...
公開初日にレイトショーで。
主演の草彅剛さん、
ミッドナイトスワンとは180度違う役柄ですが、
彼の持ち味を生かした、
見事な「清廉潔白」の武士役を演じてくれました。
J事務所を退所してからというもの、様々な苦労もあったかと思いますが、
彼自らの力によって
新たな世界を築き上げていることを感じました。
「柳田格之進」という落語がベースになっているそう。
でも、映画というエンタメのために
だいぶ手が加えられて
それによって焦点がボヤケてしまった感はあり。
映画のなかでは、
老いも若きも、富めるものも貧しいものも囲碁を楽しむ様子が描かれていますが、
私は全くわかりません。
もし、少しでも囲碁を嗜んでいたら、
この映画がもっと理解できたんだろうなぁ、と思うとちょっと悔しい…
それにしても今の世の中で、
柳田格之進のように
清く正しく生きている人はいるのでしょうか。
正義感は時に
他人を排除したり、傷つけることにもなり得ます。
映画でもそれが描かれていて。
でも、彼の生き方は見習うべきものがある。
特に、
裏金事件で名前が上がっているような国会議員には
是非見てもらいたい、なんて思ったり😁
青春18×2の好演に続き、
清原果耶ちゃんの美しさが
暗くなりがちな時代劇のスクリーンの中で
ひとすじの光になっています。
ストーリーは今ひとつですが、
(私は…です)
それ以上に得るものは多くある作品、ぜひ映画館で。
なぜ、おとなしく泣き寝入りをしているのかが気になる
昼は逆光により、夜は蝋燭や行燈の光により作り出される陰影に富んだ映像は美しく、日本家屋の薄暗い雰囲気がうまく醸し出されている。
武士の誇りを賭けた仇討ちの物語は見応えがあるし、主人公の格之進の謹厳実直なキャラクターには好感が持てるのだが、余りにも融通の利かないところには、少しイライラさせられた。
そもそも、彼は、何故、いわれのない罪で藩を追われたのに、身の潔白を証明しようともせず、おとなしく泣き寝入りをしているのか?
彼が、五十両を盗んだという嫌疑をかけられただけで、切腹をしようとすることにも納得がいかないが、それだけの矜持があるのならば、彦根藩で濡れ衣を着せられた時点で、とっくの昔に切腹していてもおかしくないのではないか?
あるいは、自分に嫌疑をかけた両替商に、「五十両が出てきたら首を差し出せ」と迫るところを見ると、相当、激昂しやすい性格のようにも見受けられるが、それだったら、彦根藩でも、すんなりと罪を認め、罰を受け入れたとは思えないので、それなりに反論するなり、抵抗するなりしたのではないか?
それ以前に、両替商にそんな約束をさせたら、もし、五十両が出てきても、命惜しさに隠蔽されてしまう可能性があるので、「五十両が出てきたら、その金で、吉原の遊郭から娘を引き取ってくれ」と頼むべきではなかったのではないか?
それから、自分の清廉潔白さのせいで、多くの同僚を困窮させてしまったことに罪悪感を抱いているとはいえ、彦根藩に戻ることを固辞する姿も、意固地になっているとしか思えない。藩に戻った上で、改めるべきところは改め、困窮している者を救えば良いのではないか?
などと考えながら、クライマックスの復讐劇を観ていたせいで、せっかくの緊迫した碁の勝負にも、派手な大立ち回りにも、すんなりと入り込むことができなかったのは残念だった。
両替商との決着については、タイトルから事前に結末が分かってしまうのだが、それでも、主人公が、「一度決めたら絶対に譲らない」性格を改め、柔軟さを身に付けたことが分かって良かったと思う。
主人公が、困窮する同僚達を助けるために、仇敵が横領した掛け軸を頂戴するくだりも、善い目的のために悪いことを許容するという、彼の人間的な成長(年齢的には円熟?)を実感することができ、これは、これで、納得のいくエンディングになっていた。
こうなると、やはり、最初の冤罪の時点で、主人公が、どうして、それを甘んじて受け入れたのかが気になってしまい、そこのところの詳しい経緯を知りたくなってしまった。
見事なるタイトル回収
素晴らしい映画でした。
清廉潔白に生きるとはこういうことか!
と思わせてくれる物語。
元SMAPのの中ではピカ一の演技力を誇る草薙くんさすがです。
物静かだけど内に秘めた思いを表現する姿がただただ見事です。
清廉潔白に生きる柳田親子の姿は周りまでも変えていく。
痺れる展開です。
ただ途中の物語の転回する事件。
柳田親子の覚悟に比べ弥吉の覚悟が弱すぎです。
柳田を巻き込んだんだからもうちょっと覚悟を見せてくれないと
ラストのお絹さんには納得できません。
事件後の旅から殺陣までも柳田格之進を見事に演じます。
敵役の斎藤工も良いですね。
良い役者が揃ってきてると思います。
これはかなり見るべき映画です
⭐︎3.9 / 5.0
5月17日(金) @映画館
碁盤斬り
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いきなりどうした斎藤工?ばりに話が急展開😆重いテーマに反して映像が美しく完成度高し!最後はタイトルそのまんまー🤭
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静の美学と耐え難い緊張感
最後まで観てもしやと思ったら案の定、落語の人情噺をもとにした映画でした。と言っても、落語も囲碁も全く知らない人でも楽しめる映画です。私がそうなのですから、間違いない(笑)
美に全振りしたかのような前半パートに心を鷲掴みにされ、物語に惹き込まれます。美しい心。美しい所作。美しい音楽。美しい情景…。碁を打つ一手一手までもが美しい。全編通して言えることなのですが、音楽が本当に素晴らしい!各場面の雰囲気を丁寧に表現して見事に盛り上げています。
後半は一気に緊張感マックスの展開へ。この極限まで張り詰めた空気を醸し出しているのは、間違いなく草なぎ剛の名演あってのもの。凄い俳優である。殺陣の迫力も素晴らしく、その緊張感に震えます。
本作では、清廉潔白でありたいが為に、辛い人生を歩む主人公が描かれています。正しく生きるとは?とても難しいテーマです。作中の登場人物達は皆、正しく生きようとしているのです。だからこそ見ていて辛く、苦しくなります。
とにかく洗練された美と研ぎ澄まされた緊張感が凄い!時代劇でありながら時代背景を気にすることなく楽しめるヒューマンドラマ。現代人にも刺さるものがあります。
24-056
古典落語を基にしたストーリー。
誇り高い武士の生き様を描いた人情噺。
随所に落語らしさが感じられ、少しのズレが大事になっていく様は見応えありました。
江戸時代に囲碁がこんなに流行してたんですねぇ。勉強になりました。
囲碁打ちは親の死に目に会えない
賭け碁で萬屋に敢えて負ける。柳田!
碁の怨念を思い出し、打ち手を止めてしまう。
碁に興じてしまい1両を捨ててでも指してはいけない賭け碁の業のトラウマ!
碁の打ち手の筋を讃えあう楽しさ故に、
商人生命と言える50両の置き場を、
正に親の死に目さえ失念してまう、
碁の恐ろしさを幾重にも織り込みながら古の話から明日の大晦日の我が娘の話に進む。
そして、ラストに碁盤斬りの本当の意味を諭したあの金属音は見事だった。
結果は分かっていた。
柳田と言うより草彅君の性格から見えていた。
ロケ地も撮影も、役者の緊迫した演技も、
やっぱり時代劇をシネマにする活動屋スタッフが沢山いることを感じる良い出来映えの映画だった。
それにしても、
棋士井山裕太名人が、
何処に出ていたのか分からなかった。
( ^ω^ )
碁盤斬り
「孤狼の血」「凶悪」の白石和彌監督が初めて時代劇のメガホンをとり、
「ミッドナイトスワン」の草なぎ剛を主演に迎えて描いたヒューマンドラマ。
古典落語の演目「柳田格之進」を基に、冤罪事件によって娘と引き裂かれた男が武士の誇りをかけて復讐に臨む姿を描く。
身に覚えのない罪をきせられたうえに妻も失い、故郷の彦根藩を追われた浪人の柳田格之進は、
娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしていた。
実直な格之進は、かねて嗜む囲碁にもその人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心がけている。
そんなある日、旧知の藩士からかつての冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は復讐を決意。
お絹は仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選ぶが……。
草なぎふんする格之進の娘・お絹を清原果耶が演じるほか、
共演には中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼ら豪華俳優陣が集結。
「凪待ち」「クライマーズ・ハイ」の加藤正人が脚本を手がけた。
碁盤斬り
劇場公開日:2024年5月17日 129分
まげが似合う草彅剛!!
囲碁を打つ手が綺麗でとても良かった。囲碁はやった事はないが、戦術が面白かった。殺陣がカッコ良過ぎた。素晴らしい肉体美にも惹かれた。さすがは草彅剛であった。國村隼さんの目の芝居にも唸りました。物語のギアチェンジで声のトーンも変わって素敵でした。情景も綺麗で提灯や灯籠の灯りの使い方が良かった。
文句なく時代劇でありながら現代的
誰もが問題なく楽しめる映画 美しい江戸の風景と静謐な中に碁をうつ音が響く
主人公格之進の佇まいが古き良き時代を彷彿とさせながらも 現代的でほのかに色気も感じる
どの俳優も演技が素晴らしく良さが光る 特に敵役の斎藤工が碁盤の前に座ると不思議な既視感を感じてよかった
國村隼と草彅剛それぞれの声の良さもひかる作品
面白い!!!
起承転結が非常に整っている良作です。
良いところを上げればキリがないくらいですが1つだけ言わせていただけるのであれば圧倒的に碁の対局シーンの音です。碁石を打つ音はもちろん打ち手の出す音、間合いにまで全て意図が感じられて緊迫感が本当に良い。
これは映画館で観るべき良作。上映中にぜひご覧ください。
映画「碁盤斬り」は、予習した古典落語の「柳田格之進」をそのまま演じ...
映画「碁盤斬り」は、予習した古典落語の「柳田格之進」をそのまま演じていた。
その他に、格之進を讒言で陥れた上役の本当の悪事を知って、仇討ちをする話が付け加えられていた。
観てビックリしたのが、「盗みの嫌疑をかけられただけでも不名誉だ!」「もはや、生きてはいられない!」と、切腹しようとした武士の精神構造。
昔の武士は、言動や行動が命懸けで、融通が利かず、堅っ苦しくて、恐ろしい人種だと思った。
また、「仇討ちもせず、嫌疑をかけられたまま、父上は死ぬのですか?」と叱咤激励して、格之進の切腹を止めて、自ら廓に身を沈めて50両のお金を用意した、お絹の精神力の強さにもビックリした。
もとネタと言われる講談の「柳田格之進」の終わり方を踏襲した「碁盤斬り」のラストシーンは、古典落語よりしっくりきて良かった。
美しい、映像も人の心も
冤罪事件によって娘と引き裂かれた男が武士の誇りをかけて復讐に臨む姿を描いたヒューマンドラマ。
美しい。映像も人の心も。話が進むにつれてココロにジーンと熱いものが込み上げてくる(琴線に触れる感じ)。
他人を出し抜くことより、良心に従う清廉潔白な主人公 格之進のように生きたい、やはり生きるべきだと伝えているように感じました。”名こそ惜しけれ”のココロですね。
良心は人の心を救うのだと、行動を変えるのだと信じたいです。
あまり映画を人にすすめることはないですが、この映画は皆さんに是非観てほしい映画です。
主演の草彅剛さん、見事に格之進で、正直びっくりしました。素晴らしかったです。お絹役の清原果耶さんも素敵でした。
見応えありました。が物足りなさも…
久しぶりの見応えある作品でした
特に前半の描写が好きでした(むしろこのままでも)
人と人の出会いや昔ながらの暮らしぶり、映像やBGMも心地よくて現代と比べてどちらが幸せなのだろうと考えたりも…(まぁこういうのを観れてる時点で現代のおかげなんだけどね)
中盤から色々と話が進んでいくが、50両の件どうなっていくのだろう?とモヤモヤしながらも仇討ち的な本筋が進むし、結末がとても気になりました
特出するほどの才能を感じさせないところが個人的には好きでした
"碁"に関してはあまり詳しくないから評することは畏れ多いけど、めちゃくちゃ強いって感じもしなかったし、武道の方もむしろがむしゃら感が好感持てた
最後のお絹を迎え(戻し)にいった際のお絹の涙に自分も涙……
◆不満点
お絹と吉原の店の人たちの交流が欲しかった。より最後に涙できたかな
結局、お絹と弥吉結婚するんかいっ‼️あんだけのことがあったのに…
柳田格之進の彦根藩?時代の描写も、もっともっと欲しかった
左門、弱すぎ😭
柴田兵庫、あれだけ暴れまわって最後切腹したいは調子良すぎるなぁ
あと亡くなった妻のシーンも物足りず(初登場シーンは晒し首になってると思って怖かった~)
※最後、弥吉たちの首切って自分(格之進)は切腹なんてバッドエンド的な終わりでも個人的に◯
後味悪いけど…
でもなんか良い映画を見たと感じました
特に前半の風景や音、人々を見せ方などは映画館だからこその良さを感じました
拝啓 国会議員さま
パーティー券、裏金問題の処理で
右往左往されている皆様、
ぜひ映画「碁盤切り」を観ることを
お薦めします。
元になっているのは落語や講談で
お馴染みの「柳田格之進」です。
教養あふれる皆様のことですから、
筋書きはご存じだと思いますので
あえて触れません。
まさかとは存じますが、知らないので
あればどうぞお調べください。
本作はその元の噺をさらに細やかに
そして劇的に描かれていますので
映画としてももちろんお楽しみいただけ
ますが、何より、格之進の誠、武士の
清廉さを胸に刻んで欲しいのです。
自分だけが正しいと、正義の旗を振りかざし
ものをいうのは、私の趣味ではありませんし、
映画にも出てきますが
「水清ければ魚棲まず」もうなづけます。
しかし、昨今はあまりにも水が汚れすぎている
のではないでしょうか。
その辺りを本作をご覧になり、己の胸に
問いかけてください。
この映画はイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭
にて批評家により選出されるブラック・ドラゴン賞を
受賞しました。
おそらくこれからもっと海外で評価されるものに
なるでしょう。
白石監督と俳優陣、スタッフのおかげで
「美しい日本」が世界に広まるのです。
だからどうぞお願いです。
本作の名を汚さないような政治活動をこれから
行ってください。
そして私事で申し訳ありませんが、
ファンである立川談慶師匠が
二人表記でエンドロールに出ていたのも
とても嬉しく、心の中で小さな拍手をしました。
長々とお手紙をしたため、お時間をとらせて
すみませんでした。
最後にご提案ですが、国会で映画「碁盤切り」を
上映されてはいかがでしょうか。
きっと裏金対策の法案も、もっといいものに
しなければと決意されるのでは。
もし、本作を観てなんの思いに至らない
議員さまがいれば、主演の草薙さまに斬って
いただきたいと心より願っています。
敬具
古典落語が原作
なるほどな。
碁盤斬り。
古典落語からよく映画化を思いついたと思うけど、こっちの濡れ衣とあっちの濡れ衣が上手く結び付いていないというか、取って付けたような。
予告編すごく面白そうだったのに。
せっかくの豪華キャストなのに。
いっそのこと、囲碁のシーンと、饒舌な音楽と、造花の桜と、端役エキストラさんたちの場面をカットして、草彅くんと果耶ちゃんと自害した奥さん(誰だったの?)と斎藤工と奥野瑛太のこっち側の濡れ衣リベンジだけにした方が面白くなっただろうに。
あ、碁盤斬りじゃなくなるか。
陰陽師に続いて、どうした木下グループ。
若い人たち育成してるんだ、期待してます。
【”蝋燭の炎に灯された陰影ある室内で碁盤に向きあう謹厳実直なる武士の決意。”今作は白石和彌監督の見事なライティングとカメラアングル及び草薙剛の圧倒的演技に依る、見応え充分な復讐時代劇である。】
ー ご存じの通り、今作は、古典落語の人情噺である「柳田格之進」別名「碁盤割」が原案であるが、白石監督の室内のライティングや多様なカメラアングルにより見事な復讐時代劇になっている。
今や、邦画の名監督と言っても良い白石和彌監督の手腕が炸裂しているし、柳田格之進を演じた草薙剛の抑制した演技と、激烈な演技に魅入られる作品である。ー
■柳田格之進と娘のお絹(清原果耶)。格之進は身に覚えがない藩の財宝である狩野探幽の掛け軸の盗難事件の罪で近江藩を脱藩し、江戸の貧乏長屋で暮らしていた。だが、ある日藩の旧知の士、左門(奥野瑛太)が訪れ、真相を伝える。
それは、盗難事件は常々格之進の謹厳実直な生き方を苦々しく思っていた同じ近江藩士の兵庫(斎藤工)が起こした事であり、妻の仇である事も判明する。
そんな中、懇意になっていた商家の萬屋源兵衛(國村隼)の丁稚の弥吉(中川大志)から50両を盗んだ嫌疑を掛けられ、格之進はお絹を知り合いの女郎屋の主、お庚(小泉今日子)に預け、大晦日までに返せない場合は遊女にするという約束で50両を借りて”もし、違っていたら源兵衛と弥吉、お前の首を・・。”と言い残し兵庫を追うのであった。
◆感想
・序盤の、賭け碁で勝負する源兵衛と格之進を映すシーンの室内の陰影や、碁石を打つ手元を撮るアングルにより、作品世界に一気に引き込まれる。
ー 格之進が優勢だったのに、源兵衛の打ち方を見てお庚から頼まれた篆刻を彫る内職で得た一両を碁盤の上に置き去る姿。
その姿を見て源兵衛はそれまでのケチな賭け碁の打ち方や、果ては儲けが第一だった商売の仕方まで変えるのである。ー
・そんな格之進に齎された冤罪の真相。そして彼は同じ近江藩士だった兵庫を、それまでの静な顔から只ならぬ殺気を身に帯びながら追う姿。
ー 前半の比較的穏やかな展開から一転する。そして、草薙剛さんの演技の幅にも改めて驚く。-
・中山道の掛け碁をしている所を当たる格之進の元に、兵庫は江戸に向かったという報が入り、彼は兵庫を追い、江戸の賭け碁屋を仕切る長兵衛(市村正親)に正座して願い、漸く兵庫と会うシーン。
二人は碁盤を挟み、首を掛けた一戦に臨む。藩一の碁の腕を持つと豪語する兵庫に対し、”石の下”という石の取り方で形勢を逆転させた格之進。
窮した兵庫は碁盤の上を切っ先鋭く剣を水平に振るうが、間一髪交わした格之進は庭での一騎打ちで長兵衛の助太刀もあり、兵庫は長兵衛の右手を切り落とす。
ー 迫力ある殺陣であり、且つ兵庫の“武士の情け、解釈を・・。”と言う言葉通り、首を切り落とすのである。所謂、斬首である。武士としては”恥”とされる最期である。-
■その後、格之進は源兵衛の屋敷に乗り込み源兵衛と弥吉の首を落とそうとするが、二人の”切るなら、私を‼”と言う姿を見て、源兵衛秘蔵の一度だけ格之進と囲んだ貴重な碁盤を一刀両断にするのである。
<その後、お庚の粋な計らいで遊女にならずに済んだお絹は、兼ねてから彼女に惚れていた弥吉と祝言を挙げるのである。
その姿を見ながら、再び穏やかな関係になった源兵衛と格之進は穏やかに会話を交わしている。
そして、格之進は一人芒ヶ原の道を足早に歩み去るのである。
今作は白石和彌監督の見事なライティングとカメラアングル及び草薙剛の圧倒的演技に依る、見応え充分な復讐時代劇なのである。>
まったり進行で浸れたが、終盤は微妙に感じた!!
まったり進行ですが、構成が良いのか退屈にはならず、劇場で集中できました。碁のシーンを入れる事で、各人の性格や心理状態を表していたように思います。50両と仇討ちをどう解決するのかを考えながら観るのが小説のようで楽しかったですが、終盤で柴田に会ってからの展開は微妙に感じました。序盤はケチ兵衛と交流を深めてストーリーが動き出すのかとワクワクしましたが、中盤からのケチ兵衛のすっとぼけ具合が頂けず、特に悪役でも無かったので微妙なキャラに感じました。今は政治が悪く勧善懲悪ものは作りにくいと思いますが、敵が巨悪ではないのも物足りず、例えば市村正親さんが殿役で、黒幕が殿(50両も)だと難易度も上がって良かったです。主人公が私刑をしてお咎め無しなのはおかしいし、ラストは金が欲しいから狩野探幽をくれとか言って、他人の金を盗まず受け取らないキャラがぶれていました。篆刻(てんこく)が仕事らしいですが、元々生活感も無かったです。また、お絹を吉原から救い出した訳でもなく黙っていた弥吉が、最後お絹と結婚して意味不明でした。中盤で拷問されている女性の悲鳴が上手かったです。劇場でゆったりとした時間を過ごせて途中まで良かったですが、各人のエピローグも無理にやる必要はないし、終盤は色々とおかしかったです。寝ても覚めても囲碁が好きで目利きの主人公が、貴重な碁盤に八つ当たりをするのはアウトだし、タイトル回収は柴田との勝負の事で良かったと思います。遣り手婆も話が分かるし、柴田への恨みも観客が追体験する程では全くないので、白石監督にしてはあまり悪い奴がいない気がします。音楽とキャストは良かったです。
身代わりの碁盤に見る、武士の誇り
落語の演目からなる物語だと言う事でしたが、映像になった作品を終始見入ってしまいました。
草彅くんの演技力は重々承知ですが、やはり素晴らしかったです。
前半の静かな中にも心に痛みを抱えている様子や、後半の鬼気迫る様まで良く表現出来ていたと思います。娘役の清原果耶ちゃんも、父を想う子の心情を見事に表していましたね。
実直な格之進にとっての武士に二言は無いと言う言葉はやはり曲げられない思い。
亡き妻の恨みを果たすべく本懐を遂げ、自身の疑いが晴れようともそれは変わらないのですね。
一度は本気で首を切ろうとした、源兵衛や弥吉を前にしてはそれは辛かったでしょう。
娘のお絹の幸せを見届けた上での旅立ちは、自身の言葉に嘘をつきたくなかった格之進の武士としての誇りだったのでと思いました。
それにしてもお絹は良く弥吉と一緒になる事を承知しましたね。
また、格之進が良く許したかとも思いますが、それも娘の幸せを願う親の覚悟だったのでしょうか。
柴田兵庫の斎藤工くんも、お庚の小泉キョンキョンも良かったです。源兵衛と弥吉の國村隼さんも中川大志くんも役柄を見事に演じていて素晴らしかった。
映画で時代劇を見る事は少なくなりましたが、心に深く残る、いい映画を見ました
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