「終盤の展開に納得できず」碁盤斬り 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
終盤の展開に納得できず
もう10年以上前に観た映画“任侠ヘルパー” で「へー、草彅っていい演技するんだ」と知った。以来彼の出演作品には注目するようになった。
本作も彼に期待して観賞。
【物語】
柳田格之進(草なぎ剛)は彦根藩士だったが、今は浪人暮らし。亡き妻の忘れ形見である娘のお絹(清原果耶)と貧乏長屋で2人で暮らしているが、家賃の払いも滞らせている有様だった。
それでも格之進は武士の誇りを捨てず、清廉潔白を信条に生きている。
あるとき、唯一の趣味である碁で対局した萬屋源兵衛(國村準)は格之進の人柄にほれ込み、碁の相手として親しくなる。そんなつつましくも穏やかな毎日を格之進は送っていた。ところが、あるとき藩を離れざるを得なくなった事件と妻の死の真相を知らされ、両方に元彦根藩士の柴田(斎藤工)が深く絡んでいたことを知る。格之進は亡き妻のために復讐の旅に出ることを決意するが、時を同じくして萬屋で大金紛失事件が起き、格之進に疑いが向けられてしまう。
憤慨した格之進は切腹して抗議しようとするが、死ぬことなく無念を晴らして欲しい娘お絹が起こした行動に後ろに退くことができなくなった格之進は覚悟を決めて旅に出る。
【感想】
期待した草彅の演技は本作も良かった。貧乏浪人に落ちぶれても武士の矜持を失っていない格之進を落ち着いた演技でしっかり表現している。
ヒロインお絹演じる清原果耶も、金持ち商人演じる國村準も役にピッタリだったと思う。
さらに言えば柴田役の斎藤工もナイスキャスティング。斎藤工は最近、善人よりこういう斜に構えたようなワルの役が多いが、今こういう役をやらせたらピカイチだと思う。
キャスティング、演技・演出の良さで中盤まではかなり満足して観ていた。が、終盤の展開に違和感を覚えて、満足度が大きく下がってしまった。
娘を持つ身として、格之進のとった行動は全く共感できない。
自分のメンツを保つために、娘を危険に晒すことをヨシとしたとしか言えない。なんぼ命懸けで復讐に赴いたと言っても。
父親なら自分が汚名を被っても娘の行動は止めたはず。メンツだけの問題ではなく、ああでもしなければ復讐の旅に出られなかったとしても。仇をとったら妻が帰ってくるわけではないのだから、目の前の娘の方が大事なはず。
萬屋の番頭が疑ったとしても、格之進に心酔していたはずの源兵衛が同調するのもまた納得いかなかった。
中盤まで良かっただけに、ガッカリも大きかった。