「静の美学と耐え難い緊張感」碁盤斬り どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
静の美学と耐え難い緊張感
最後まで観てもしやと思ったら案の定、落語の人情噺をもとにした映画でした。と言っても、落語も囲碁も全く知らない人でも楽しめる映画です。私がそうなのですから、間違いない(笑)
美に全振りしたかのような前半パートに心を鷲掴みにされ、物語に惹き込まれます。美しい心。美しい所作。美しい音楽。美しい情景…。碁を打つ一手一手までもが美しい。全編通して言えることなのですが、音楽が本当に素晴らしい!各場面の雰囲気を丁寧に表現して見事に盛り上げています。
後半は一気に緊張感マックスの展開へ。この極限まで張り詰めた空気を醸し出しているのは、間違いなく草なぎ剛の名演あってのもの。凄い俳優である。殺陣の迫力も素晴らしく、その緊張感に震えます。
本作では、清廉潔白でありたいが為に、辛い人生を歩む主人公が描かれています。正しく生きるとは?とても難しいテーマです。作中の登場人物達は皆、正しく生きようとしているのです。だからこそ見ていて辛く、苦しくなります。
とにかく洗練された美と研ぎ澄まされた緊張感が凄い!時代劇でありながら時代背景を気にすることなく楽しめるヒューマンドラマ。現代人にも刺さるものがあります。
「囲碁の扱い方」というのは、きちんと囲碁という競技にリスペクトを持って場面場面を作っていたという、映画側の姿勢のことです。
草剪さんの佇まい(たたずまい)や碁を打つ時の姿についてもほめておられましたよ。
明後日(5/23)木曜日の午後(お昼頃)再放送もあるそうです。可能ならば録画して見られてみたらいかがですか。
緊張感、ありましたね。
いい映画でした。
実は私は草剪さんが苦手だったんですが、素晴らしい演技だと思いました。
NHKで「囲碁フォーカス」という番組があるのですが、プロの方々も囲碁の扱い方についても、とても誉めておられました。
katowankenobiさんへ
役者の演技に対する感じ方は人それぞれなので、不安なのでしたら観るのをやめるのも仕方ないと思います。私は素晴らしいと感じましたが、鑑賞を強いるようなことはしません。
コメントありがとうございます。
序盤は“クリスマスキャロル”ぽい人情モノ、理不尽さヘの膨れ上がっていく怒りから復仇行、メリハリも抜群でしたね。
個人的には市村の親分さんの男気にほろり。