「ベーシックを忠実に取り入れた、真摯なホラー映画」ミンナのウタ ちるどさんの映画レビュー(感想・評価)
ベーシックを忠実に取り入れた、真摯なホラー映画
GENERATIONSの小森隼が、ラジオパーソナリティを務める局の倉庫で30年前に届いたカセットテープを見つけたことから、メンバーが次々に怪奇現象に巻き込まれていく和製ホラー。
近年、『怖いホラー映画』といえば台湾、韓国の印象が強く、「日本の近代ホラーは気を衒って滑ってるんだよな…」と思っていた筆者なのですが…
ちゃんとあるじゃん!怖い和製ホラー!と思える良作でした。
シーンに緩急をつけて、視聴者の気が抜けたところを狙って驚かせにくる演出や、実在する都市伝説を引用してリアリティを出す工夫、『ミンナのウタ』というタイトルの見事な伏線回収など、見応えのある仕上がりになっています。
気を衒うのではなく、昔からあるベーシックを忠実に取り入れていくような、真摯に作られた作品。
また、怨霊のバックボーンについては、和製ホラーに有りがちな「こんな可哀想な思いをしたから呪いに転じてしまったんだ…」と同情を誘うものではなく、「こいつ生前からヤバい奴じゃん…」と思わせる内容になっていて潔さを感じます。
ただ、残念な点を挙げるとすれば、終盤に出てくる怨霊のビジュアルが、今までのストーリーに出てきた要素を盛り込み過ぎてて、「なんやねんこれ…」と一気に我に帰ってしまった点でしょうか…笑
最後まであの不気味さを持続してくれていたら、完璧に近いホラー映画だったなと思います。
これからの和製ホラーに期待値が高まる、そんな作品でした。
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