幾春かけて老いゆかん 歌人 馬場あき子の日々のレビュー・感想・評価
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プライドとエネルギー
教員として勤める傍ら、反安保闘争にも身を投じ、月水金は服飾学院、火木土は料理学校にも通い、更に能に打ち込みつつ短歌を詠み続けて、90歳を過ぎた現在も背筋を伸ばして興味の赴くまま創作を続ける馬場あき子さんのドキュメンタリーです。しなやかな感性で社会と接しながらも、歌詠みとしてのプライドはしっかり持っておられるのが眩しく映ります。
このエネルギーは一体どこから来るんだと圧倒されっ放しでした。
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面白かった
短歌に興味があり、観てみたいと思い鑑賞。自分の好奇心を大切にして、安保闘争時代は教員労働組合の先頭に立ったとのこと。自分の感性(短歌で磨かれた?)を貫く生き方が素晴らしいと思った。映画を観たあとは、会いたかった人に会うことができたような不思議な充実感があった。
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり
歌人にして、能の世界においても重鎮である馬場さんを追ったドキュメンタリ。95歳で言葉も頭脳もはっきり。その地位に胡坐をかくことなく、日々の出来事や笑いにも貪欲で、世の中の先端につねに触れていようとする姿勢。後進への素晴らしい手本だ。もうも言うことありません。こういう90代を迎えたいということくらい。
そして、短歌は好きでも疎いわが身に「見せ消ち」という表現が突き刺さる。"花も紅葉もなかりけり"という言葉をつかうことで、そこにない花や紅葉を意識させて、あたかもあったかのように誘う。その気分は、寂しさではなく、郷愁のような淡く温かい残像。歌の世界は奥深い。
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