「人は見かけによらないこともある」プーチンより愛を込めて かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
人は見かけによらないこともある
プーチンは不気味な人物という印象だったが、映像を見る限り意外と親しみやすく、気軽に会話、反論もできる感じ。これが曲者たる所以なのかも。
小柄で控えめで腰が低く、声のトーンが高めで早口でよく喋る。威圧感がない。
遅刻グセがあり叱られるし、嘘が言えない(言葉を濁す)ところも人に対して強気に出られないタイプに見える。
エリツィンみたいな堂々たる体躯で重厚で口の重いタイプだと人々はその存在を重く感じるが、プーチンみたいな人にはどうだろう、無意識に格下認定して軽く見てしまう傾向がないか。
それがプーチンには逆にアドバンテージになったかも。
彼の異例の出世には、周囲の警戒感を薄める存在感の軽さが役立っていないかと思う。
中身は自身の考えに鉄の確信を持ち、実に用意周到で目的遂行の障害は躊躇なく排除する恐るべき性質なのだ。
次期大統領をプーチンに譲ってからのエリツィンをしつこく追っていたのも興味深かった。
大統領当選の本人からの一報の電話をそわそわ待つがついに連絡なし、の心中、当選から1年後の様子からは、子飼いのはずのプーチンにしてやられた、自分は用済みなのが確定した屈辱感がもろに伝わってきて「歴史上の人物」の人間性を直に観られるとは凄いことだと思った。
だけど、いくら密着取材が命とはいえ、入浴中の娘をしつこく撮るのはいかがなものでしょうか。(怒らせて相手の本性を出させる手法、ってことですかね)
プーチン大統領就任後、次々離れていった側近たちへのインタビューがあったら観たい。
生き伸びた人たち限定ですが。 …おそろしあ。
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