「本作に絶望した貴方、実は監督の思い通りかも」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
本作に絶望した貴方、実は監督の思い通りかも
本作に絶望した貴方、実は監督の思い通りかも
本国での公開以降の酷評は勿論知っていて、それでも国内で公開されたら意外と評価高いんじゃないか説という甘い期待も裏切られてから一ヶ月、流石に中々手が出ず進撃の巨人が満員で見れなかったので代替候補として観てきました(笑)
いやあ~まさかまさか、良い意味での裏切りも何も無くそのままクソが出てくるとは・・・・・(呆れ)五年前に感動したあのジョーカーは見る影も有りませんでした。
内容は正真正銘の続編。妄想説などの議論を呼んだ前作ラストもあっさり現実だったという事が分かったのも束の間、刑務所に居るアーサーから始まります。序盤は流石ハリウッドの一線級という映像クオリティで「やっぱり面白いんじゃないか?」という期待を抱かせますが、レディー・ガガが出てきた当たりから不穏(不安)な感じになっていき・・・・。
そもそもレディー・ガガに惚れる理由が薄すぎて、これはアーサーが童貞疑惑もあるほどの非モテだったとしても、それ以上に他人に対して疑り深く拒絶心の強いアーサーがいつ惚れたのかも分からないほどあんなあっさり入れ込んでしまうのは強烈な違和感を感じざる得ない。
むしろジョーカーというキャラクター上、アーサーの方が裏切るじゃないけど最後はハーレイの脳天ぶち抜いてカメラの前でイエーイやって三作目に続く。。。とかの方がよっぽどらしかったと思う。
それがアーサーは終始入れ込んで明らかに彼女から求められるジョーカーを演じちゃってる格下な雰囲気で、もうそういうところも含めて前作で感動したあのジョーカーはどこへやら・・・という感じで。
それ以前にまずストーリーがシンプルにつまらない。前作の日常から非日常へ駆け上がっていくカタルシスであるだとか、その興奮なんかは微塵も継承されておらず、刑務所と裁判所を行き来する低予算も感じさせる絵の変化の無さとそれに呼応したつまらなさで眠ってしまいそうになる。
前作を遥かに凌ぐ予算は一体どこに割かれたと言うのか?ほぼレディー・ガガに吸われたんじゃなかろうか(笑)
既に多方面で言われていたミュージカル要素も意外とミュージカル映画ではないのでフルで歌い切るというボリュームが続くわけではなく、そこは前情報もあってか案外苦にならずに見れた。ただその殆どが妄想であるという点や、何よりハーレイにベタ惚れする理由が謎すぎて終始白けた雰囲気で見せられるのが非常に残念。
そもそも上でも語ったようにジョーカーとハーレイという関係性なのだから、もっと狂気的な愛みたいな感じでジョーカーとの主従関係みたいなのであればもっと面白かったと思うのだが、シンプルに今までモテなかったであろう中年男の青春と片や痛々しい女オタクという感じの構図でこれまたキツイのだ(笑)
ラストも風の噂では聞いていたが突然の展開で取ってつけたように、もうジョーカーは作りませんよ!!と言わんばかりのクソエンドで最後の最後までクソを塗りたくったクソだった。案外良かったという事も無い、正真正銘のクソ映画でした。
道中で良かったシーンや印象に残ったシーンも皆無です。まさかここまで酷評しなきゃならない自分も辛いです。。。。。
何より嫌だったのは、「ほら、これが見たかったんだろ?」と言わんばかりの前作オマージュや申し訳程度のアーサーの病気笑い描写。ほらほら、ホアキンのジョーカーだぞ!と言われているかのようにわざとらしく出てくる前作を彷彿とさせる感じが、安売りされているようで悪い同人作品でも観ているかのような気分にも錯覚させられました。
しかしここで面白い考察が、これすらも全て監督の手のひらの上で、そもそもこの作品に絶望することが監督の狙い通りだという説だ(震え声)
ジョーカーという祭り上げられた一人の男。そんな彼をまた神格化していた一人の実は普通の女性だったハーレイ。そして彼に失望して、絶望して振ってしまうハーレイ。そしてまた別の男はアーサーに怒りを覚え、殺◯。
そのラストも何の捻りも逆転も無く、本当ただ淡々と◯されてしまう。そうして空虚なミュージカルを見せられて特にカッコいいとも思えるシーンも無く最後の最後もあっさりと終わってしまう。
『『これこそが実は全て完成されている、メタ的に観客すらもジョーカーに対して失望させる完璧な2作目だった説・・・・・!!!!』』
いやあ~案外あるんじゃないかとw
それに本作、これが一作目ですげえダークでリアル路線のジョーカーって脳内変換すると案外見れたりします(笑)。飽く迄も前作が神すぎた。
前作が面白すぎて、アーサーがカッコよすぎて、ジョーカーという作品を神格化したまさにリアルな観客すらも作中のハーレイ達のように失望させて期待すらも打ち砕いて最後は最悪な気分で劇場を後にさせる。そこにはもうアーサー(ホアキンジョーカー)に対する期待も何も残っていない。
どこか予定調和なシーンが続き、最後の爆発すらも妙に説得力が無く突然舞台が変化するような奇妙な感覚。それら全てが悪いミュージカルでも見せられているような感覚をあえて観客にも体感させていた。アーサーの笑ってしまうような人生を疑似体験させていた。
そんな巧妙な計算が実は仕掛けられていた・・・・・そんな稀代の名作だったとして、数十年後には評価される時がくるかもしれません。
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