「ホアキンはすごい」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ てけと2さんの映画レビュー(感想・評価)
ホアキンはすごい
見る前はジュークボックス型のミュージカルにする意味が前作から距離感がありすぎる気がしていたのだけれど、見てみると納得度がとても高い。
どんなシーンでもミュージカル化する事でエンタメになる。高揚感でありえない主張や悪がより正当化されて見えてくる演出にしびれます。
そして知っている歌なのにこの映画で歌われる事で意味合いが違って聞こえる事に意味がある。ジュークボックス型でないと出来ない心理効果でオリジナル曲にしない意味も強く感じました。時計仕掛けのオレンジで雨に唄えばを歌っているのを全編でやってる感じ。
ポジティブな肯定感が悪の背中をぐいぐい押してくる。
あのジョーカー化した時の魅力とカリスマ性のオンオフが素晴らしかった。やはりエモく良く見える事は恐い。
裁判所が壊れて法が機能しない街ゴッサムがジョーカーと共に完成したか!と興奮したのでやりたい様にやってイチャイチャしてハッピーに行きてたまにバットマン殴られる日々こそ幸せなハッピーエンドをおくってほしい気持ちはありつつ、アーサーが周囲の期待に応えずにアーサーとしてある事を選択したのは救いがないと同時に一番救いのある終わり方のような気もしました。ジョーカーを選択してアーサーを捨て切る事は内面的にも世間的にもアーサーの存在が無くなる事で、影響が大きくなりすぎたジョーカーになる選択はオーディエンスの期待に応え続ける事でもありもはや自分がないのではとも思えて、そうなるとアーサーというつまらない自分を残すことも世の中への反抗だよなとか思ったり。どちらに落ちても救いがないなぁ
最初のアニメで示唆していたけど、アーサーとジョーカーの二面性が別人格かただのプッツンした状態なのかは最後まで判別がつかなかった。台に立つ人は常に光の中の自分は造りもので普通の人間である自分は表に見せない存在なのだし気持ちなんてのは状況で変わるものだし。
しっかし歌がうまかった。レディガガの我欲の凄キャラもハマってた。タバコのシーンがカッコいい映画も久しぶりでそれも良かった。ホアキンのつくる存在感ほんと素晴らしい。
コメディアンよりシンガーを目指してたらアーサーの未来ももうちょっと違ったのかも。