劇場公開日 2024年10月11日

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「これが人生というのなら、一体どうすればよかったのか」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ ツツジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これが人生というのなら、一体どうすればよかったのか

2024年10月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

映像・演出・演技(20)
ホアキン・フェニックスの怪演とレディ・ガガの歌唱力は間違いなく垂涎ものであろう。ただミュージカルシーンがやっぱり多すぎる気がする。
15点

世界観(20)
ある種、現実以上に救いのない世界観。
15点
脚本(20)
個人的にはこの作品をエンタメとして分類していないので問題はないと思うのだが、ミュージカルを挟みつつローテンションでゆっくりとラストに向かって進むストーリーは退屈に感じる場面があった。
13点
キャラクター造形もしくは心理描写(20)
『ジョーカー』そして『アーサー』としての面を持つ決して認められることのない彼の心情を、前述したミュージカルシーンと名俳優を使いつつ見事に表現したと考える。
15点
メッセージ性(20)
前作と一貫したものを感じる。ここで語る意味は特になさそう。
20点
総評
作中で登場した彼の弁護士の言葉を借りるのなら、この物語はまさしく『悲劇』以外の何でもないだろう。作中の、そして私も含めたこの作品を観た大衆には彼の一側面の一つにすぎない『ジョーカー』を望まれ、『アーサー』としての彼はすり潰される。しかし、弁護士の言う通り『ジョーカー』を殺し、愚かで哀れな『アーサー』として精神病患者としての生を全うするのが彼にとっての幸いなのだろうか?そもそも誰も彼も殺さずに抑圧されたまま涙を流し、ピエロとして生きてゆくべきだったのだろうか?
この問いの数々は決して解決されることのないものとして、言語化されないままラストまで彼の頭いっぱいに渦巻いていたのだろう。エンディングが流れる間際の、彼の独特な表情の真意をぜひ知りたいものである。
ジョーカーが登場する他作品に明るくないのと、救いのない話は個人的に嫌いではないので高評価をつけた。2作を独立した作品として評価すれば間違いなく名作に該当すると考える。どうか映画館に足を運んでみてほしい
 78点

ツツジ