劇場公開日 2024年10月11日

「いや「題名に偽りあり」なのが最大の問題なんだって」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ インステアさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5いや「題名に偽りあり」なのが最大の問題なんだって

2024年10月27日
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そんな難しい話じゃなくてさー 前作からしてDC映画で「ジョーカー」ってタイトルだったじゃんかよ。
前作の後半で「おー いよいよジョーカーになってきたねえ!」みたいな感じになってたくだり、あれ何だったの? 二作続けて観たらちゃんと筋が通ってるとかいうけど、「織田信長」っていう二部構成の映画のラストシーンで、じつは信長だと思ってたこの男は三日天下の明智光秀でしたってオチ、許されると思う?
「前作のラストでバットマンの敵役としてのジョーカーでないことは示されてた」とかいうけどさー。ウェイン家との遺恨も描いて、ジョーカー誕生秘話っぽく締めくくったのちに、「幻想かも」ってオチがエクスキューズとして追加されてただけだったじゃんか。主人公が完全に倫理に反した映画じゃ、公開が難しくなるからっていう製作側の事情だったんだよ、前作の時点でのあのラストの存在意義は。
前作ではアーサーの犯すひとつひとつの殺人に、動機がちゃんと描かれていたにもかかわらず、今作では十把一絡げに「まちがってました」と反省の弁。SNSの言い訳投稿みたいなオチ。前作におけるアパート同居の黒人女性母娘や、最後のカウンセリング相談員の女性を「殺しちゃったかもしれない」という危うさを、上手く間接的に描写していたくだりを、全員裁判に登場で「殺してませんでした」と言い訳する腑抜けぶり。
そんなにジョーカーの肯定が怖いのなら、ただ前作のエンディングクレジット後(今作でもいい)のワンカットにバットマンが登場して、一瞬でジョーカーをやっつければいい。それがDC映画における善悪のバランスなのだから。ジョーカーでない人を主人公にして、「いやアーサーの物語として観るのが正解」だとか、「ジョーカーとは集団社会現象の悪意の総称であってうんぬん」だとか、何言ってんの? DC映画で「ジョーカーの映画」だっていうから観に行ったんだよ。だからつまんなかったっていってんのに、なにがまちがってんだよ。
なお私見であるが、酷評がさんざん入ってきて、どういう種類の映画であるかが喧伝された後で観に行って、「案外悪くなかった」「これはこれで」というのは別にいいのだが、だからといってアメリカで初日から観た観客より頭のいい感想というわけではない。事前に何の説明も受けずに観に行けば、アーサーがいつぶち切れて看守に復讐を始めるか、そのあたりを期待しながら待つのが当然だろう。情報を得たうえで観に行っておきながら、当初の「がっかりした」という人たちを馬鹿にするような意見は、現に慎むべきだと思う。感想は人それぞれなので、良作だという意見も尊重するが、個人的にはDC映画「ジョーカー」だという宣伝を鵜呑みにして観に行ったので、そうじゃなかった時点でただつまらなかった。

インステア