「1作目の答え合わせ」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ Flagmanさんの映画レビュー(感想・評価)
1作目の答え合わせ
アメリカでの評価がイマイチなのは知ってたが、国内のレビューは入れずに鑑賞して来ました。
終わった後軽くレビューを観ましたが、みなさんの言わんとする事はわかる。
結局『ホアキンのジョーカー』に何を求めたのか?
ですね。
DCコミックのみんなの知るあのジョーカーとは切り離した方がいい。
1作目でホアキンジョーカーに度肝ぬかされ
ヒースジョーカーをも薄れさせるほどの出来でした。
そりゃ期待するさ。皆んな。
求めたのは1作目で堕ち、覚醒したジョーカーが次はどんな事をするのか?何と戦うのか?
ハーレイもでるの!?ハービーデントも!?
期待した人達の『こうであったらいいな!』が膨らむのは無理もない。
が、この世界線の答えは違う。
悪のカリスマは群衆の負の化身であり、いわば作られたシンボル。
人々を混乱させる負の煽動者。
卓上では『ただのイかれた犯罪者』でしかない。
ならば法で裁く。
簡単過ぎる前作へのアンサーです。
アメコミヒーロー映画のような派手なバトルも無いしサプライズもない。
ヒース版の様な振り切った人格でも無ければ、狂人でもない。
ただの精神に問題を抱えた貧しい男が主役。
何かを期待した人々は肩透かしを喰らいガッカリする。
さらに今作はミュージカル調と言う事もあり、更にネガティブに輪をかけるのでしょう。
個人的には基本楽しめて見れた。
獄中の身である事。
裁判中である事。
それ故
1作目の堕ちるストーリーとは反対に
愛を知り生きる希望を持ち自由を手に入れ登るストーリーへ。
作中1作目と階段を降りるシーンと違い、階段を登るシーンが多かったのもその象徴でしょう。
ガガがハーレイ役と聞き、少し疑問を抱いたが、ミュージカル調と聞き納得はした。
元々アーサーも1作目から音楽とは繋がってたしそこまでミュージカルと言うものに違和感はない。
問題はミュージカルシーンなのだが、これも結局はアーサーの妄想が大半であり、現実とは切り離されている。
現実で歌うシーンも『イカれた奴が何か歌い出した』で片付けられるが、アーサーやリーの心情を表す演出として見ればそこまで嫌味なく見れた。
ストーリー自体は法廷劇を軸にしたアーサーの行末。
論点は二重人格であるか否か。
ここら辺は『ジョーカー』をリアル思考で精査するのが面白かった。
他の映画じゃ誰かが乗り込んで来て助けて終わりですからね。
アンチヒーロー映画とは言いませんが、現実に落とし込んだジョーカーはこんなものでしょう。
作中のジョーカー崇拝者と同様
我々やコアなジョーカーファンは『アーサー』ではなく『ジョーカー』を求めてたからガッカリし、酷評へと繋がった。
作中の崇拝者と全く同じ心情になる皮肉。
インビンシブルやザ・ボーイズなどアンチヒーロー物も増えて来ましたが、そのどれとも当てはまらない良い作品だと思います。
ただラストは頂けない。
苦悩し追い詰められた人間を完膚なきまでに終わらせるのは違う気がする。
もっとふくみを持たせたラストにして欲しかった。
それでは『ジョーカー』と言う冠をつけた意味もなくなる。
酷いちゃぶ台返し。
面白かったが、残念。