劇場公開日 2024年10月11日

「ミュージカル的"法廷劇"を観よ!」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ミュージカル的"法廷劇"を観よ!

2024年10月15日
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鑑賞方法:映画館

1999年に僕が劇場で観た映画37本(卒業アルバム的SNS 僕の2020年2月4日記載)中、前作が1番良かったので、本作はとうぜん観ました。
この作品は、前作を観ていないと、内容が繋がらないので、この映画を観る前に、必ず前作を観ておく必要があります。

薬物を使ってドーピング演技をしていたので、ヒース・レジャー氏が演じるジョーカー「ダークナイト(2008年)」は、僕にとっては、語る価値はナシ
本作のぶっ飛んだ脚本は、映画「タクシードライバー(1976年)」に近くもあり、「時計じかけのオレンジ(1962年)ぽくもあるが
これで、フラッシュ効果を入れたり、色彩感覚が飛んでいたら、完全にジャンキー"サイケ映画"と決めつけねばならないが、
本作はギリギリなところで、ミュージカルの域に踏み込むことで、そちらの世界に足を踏み入まずに済んだ気がします。

本作は、アメリカンヒーロー映画でなく、バットマンシリーズのスピンオフ作品でもなく
完全に、オリジナルな世界感を持った作品なので、アメリカンヒーローの世界観を、本作に期待した鑑賞者からは、
大苦評が来ることは、容易に予想できる。
人の好みは、好きずき
僕は、アメリカンヒーローものが、嫌いに近く、本作の様な世界感が非常に好きです。

本作のジョーカーは"トランプのJ"ではなく、"バットマンの好敵手"でもなく、単に詰まらない"ジョークを発する人間"≒狂言者であるということ

本作は、アーサーと言う いかれたオジサンの人格障害(妄想癖・多重人格)の中での留置場と 裁判を軸にした 前作後の顛末物語である。
おそらくレディ・ガガさん演じるはリーは、初登場のシーン以外は、手拳銃で頭を貫くシーンを含め、その存在行動すべてが、アーサーの妄想の中での出来事である。
そんな妄想の中でさえも、リーは、ジョーカーの相棒ではなく、聖母でもなく、単なるジャンキーのファンでしかなかった。その部分が、妄想劇説を否定するような点ではあるが、彼の人生はいままで こうして裏切られ続けてきたのだから、
女性とも付き合った事がない 童貞の無意識は、妄想の世界でも、落胆するような展開にしか、空想する事ができずに、陳腐な展開に妄想を導いてしまう。
そう言う意味では「ダーク・イン・ザ・ダーク(2000年)」の妄想劇に近いかもしれない。

本作の副題 ≒共鳴する狂い は、ジョーカーとリーの事ではなく、
多重人格の様に 妄想する
アーサー と ジョーカー の絡み合っている事である。

ホアキン・フェニックスさん と レディー・ガガさん 両俳優の歌唱力は、実に素晴らしい。サウンドトラックが欲しいくらいだ。
撮影のライティングも構造も、実に考え込まれており 作品の芸術性が高い事を物語っています。

この映画を観たら、もう1度 本作ではなく、1作目「ジョーカー」を観て、これまでの経緯を おさらいしてみるとよいでしょう。

YAS!
humさんのコメント
2024年10月16日

副題の意味にとても共感しました。
ホアキンのアーサーはいうまでもなくですが、煽りをかけることになるリーの存在感が相乗効果をみせましたね。
熱がこもったまま私も一作目のおさらいをしました。
さらに内なる影をみつめる今作がふたつの作品の色をより深め、ダークヒーローの、またひとつ違う魅せ方を知るステージだったと思います。

hum
talismanさんのコメント
2024年10月15日

素敵なレビュー!同感しました。なぜなら今までの「バットマン」と結びつける必要全くない!と思うのですがそのように考える方が多いんだなあ、と少しびっくりしてたので。だからバットマンのスピンオフでもなければ当然のごとくアメリカンヒーロー映画でない!そもそも何であれアメリカンヒーローものも関心なかったからよかったのかなと思います。バットマンシリーズはいくつか見て全部でなくてもそれぞれ好きです。でもそれらと今作も前作も全く関係ないと(安易に)思って見たから、両方ともよかったし好きです

talisman