「続編物の成功パターン、SF海洋冒険アクション映画のマスターピース」MEG ザ・モンスターズ2 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
続編物の成功パターン、SF海洋冒険アクション映画のマスターピース
うーん、これは劇場鑑賞すべきだった。この手の映画は一作目の二番煎じになる例が多くてサメの数を増やしただけのものかと劇場鑑賞をスルーしたけど、娯楽作品の続編としてはかなり出来のいい部類。ちょっと過大評価ではあるがいわゆるエイリアン2と同じパターンの続編成功例。
作品自体はメインのメガロドンを少々脇においてそれこそ一時期流行った「アビス」や「ザ・デプス」のようなSF海洋アクションものとして陰謀に巻き込まれていく主人公たちの冒険活劇として見事な物語に仕上げた。
かつての古典ジュール・ヴェルヌによる海洋冒険ものの「海底二万里」などを彷彿とさせながらも今風の洗練されたアクションで観客を楽しませるそのサービス精神、これぞ娯楽映画の極み。正直言って最近のジュラシックワールドの下手な続編よりも面白かった。新作は面白そうだけど。
本作を完全に舐めてた。単なるサメ映画ではなく海洋冒険映画にシフトしたのが功を奏した。
物語もかなり意表を突く展開。前人未到の海底であるにもかかわらずそこには謎の海底ステーションが存在していたなんて見る者の冒険心を否応なく搔き立てる。そして主人公たちを次々と窮地に立たせる場面の連続、観客を楽しませるための仕掛けが周到に準備された見事な脚本。漫然と画面を眺めてるだけでは気づけない作りてのうまさが光る。ただのいつものステイサムによる頭使わないアクションだけの映画とはわけが違う。
その後の展開も脇役に至るまで登場人物たちのそれぞれに活躍の場が設けられていて、今回特におデブキャラの彼が目覚ましい活躍を見せてくれて胸が踊った。
クライマックスのメガロドン、巨大だこ、悪役たち三者が入り乱れての息をもつかせぬ展開もお見事。この手の映画で久々に心が熱くなった。
ラストのサメと人間との間に信頼関係が構築されたかのように見せるあたりも何気に作品に深みを与えている。中国資本のおかげで画面に安っぽさも全く見られない。もはや贅を尽くしたCG作品には中国資本が頼みの綱か。そういえば最近劇場公開された中国アニメーションの「ナタ」の映像はディズニー作品をはるかに凌駕していた。内容も素晴らしかった。
ちなみに前作のピピンちゃんもちゃんと出ていてこういうサービス精神が観客を喜ばせるんだよなあ。欲を言えばパワードスーツの活躍がもう少し見たかった。悪役とステイサムがそれを着て格闘するシーンとか。ステイサムがパワードスーツ着たらどれだけ強くなるんだろ。
子供の頃見ていた「海底軍艦」や「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣」などの東宝特撮海洋冒険活劇を思い起こさせる見事な作品だった。