劇場公開日 2023年8月11日

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「社会学の論文」バービー 椎名モモコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0社会学の論文

2023年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

公開初日に鑑賞
場内は若い女の子やお子様連れのお母さんが目立ったが
本作は能天気な人形コメディではないので世界中はヒットしても
日本ではヒットしないことを直感しました
日本人はいつから物事を考えるのが嫌いになったのかを考えると
間違いなくビデオゲームとアニメの隆盛に原因があると思う
映画でも子供向けの特撮ヒーローやアニメには熱狂するが
児童文学には見向きもしない
ここでも日本はガラパゴス化してしまったという事だろう

さて本編ですがまさに日本でも誰もが家庭を持ち子育てをし幸せに暮らしていたが
やがてバブル期が訪れ若い女の子は盲目的にお金になびき
家庭に入って子育てをすることが無能で恥といわれるまでになった
しかし現在は余程裕福でない限り専業主婦など夢のまた夢になってしまった
つまり社会の流れというのは搾取の歴史であることを認識しなければいけない

そんな中で社会の風潮に流されることなく
一度立ち止まって冷静に考えましょうと警鐘を鳴らしているのが本作のキモです
声高に叫ばれる女性の社会進出は果たして女性の為でしょうか?
少し考えれば国による所得の搾取に過ぎないことに気が付くはずです
多様性社会や性差別の無い社会は100%正しいわけですが
フラットで公平に行われてこそ正しいわけで
クォーター性や様々な政策で強制的に行われることは
搾取以外の何者でもありません

本作監督作品の「わたしの若草物語」とは似ても似つかぬ
大胆な変身を遂げた本作ですが物語の根底に流れているテーマは同じですね
女優として大成功をおさめ幸せな結婚生活を送る
マーゴット・ロビーを起用したのもそこを意識しての部分もあると思います

冒頭少女たちの洗脳が解けて暴れだし破壊するシーンから始まりますが
バービーがフラットなサンダルを履き婦人科医に相談に訪れて物語が終わります

これだけのことを前もって押さえて鑑賞すれば
男女関係なくよくまとめられためちゃくちゃ面白い素晴らしい作品として
世界中の人たちと同様に本作を楽しめるでしょう

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椎名モモコ