「ポリコレハリウッドへのカウンターパンチか?」バービー たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ポリコレハリウッドへのカウンターパンチか?
プロローグの秀逸なキューブリックパロディで観客はぐっとつかまれ、この壮大なMATTEL社のプロモーション映画へといざなわれるのだ。(タイトル前のこういう「序章」で始まる映画構成が私は好きである。)アイデアだけなら誰でも出せるが本編を通してその作りこみがハンパなく凄くてハリウッドの力を見せつけられ堪能できる。私は買わないから別にMATTELの宣伝であろうが映画が面白ければそれでいいけれど、これを観て滑り台付きの豪華なドールハウスやピンクのコンバーチブルが欲しいと思う大人がいても不思議ではない。税込み11,000円という価格設定も絶妙で、車を買ったらバービーとケンも乗せたくなるのではないだろうか?(人形は税込み5,500円)マーゴット・ロビーがリアルバービーを見事に演じきっていてそれだけで楽しいけれど、ちょっと年を食ったボーイフレンド役のライアン・ゴズリングが期待以上にすごくいい味を出していて浜辺でギター弾き語るシーンで惚れそうになる(後ろの席で見ていた若い女性は「ケン、ウザイ」と言っていたけれど)。こういうスタジオ製作のグリーンバック多用の企画はコロナ禍の影響も多少あるのだろうと考えると時代が生み出した華麗なあだ花とも思える。監督が「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグで、もちろんフェミニズムやジェンダーがメインテーマでコメディでアカデミー賞を狙いに来ているのだが、ここ数年のハリウッドのいきすぎたポリコレへのアンチテーゼではないか?と捉えたのは私だけだろうか?