「驚くほどストレート」バービー ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
驚くほどストレート
驚くほどストレートにジェンダーの問題に取り組んでいる。もっとこう比喩的な描き方かと想像してたんだが、いやいやどうして、めちゃくちゃ直接的に「家父長制」や「男性至上主義」「ジェンダーの役割」的な考え方の悪影響を語ってるし、描いてる。
それを深刻でなく笑いに変えているのもよい。
冒頭の『2001年』パロディから、それを宣言しててもうニヤニヤが止まらないね。ウィル・フェレルは、チャド・スミスそっくりネタでドラムスティック持って出てくるし。
ちょっと心配なのは、自身の空っぽさに気付いたケンが、人間世界から「男であるだけで偉い」世界観を持ち帰った挙げ句にひっくり返され、「それはでも貴方たちが悪いわけじゃない」ってなってるところ。
バランスが良すぎて逆に、いわゆる「All lives matter」的な「女性だけが差別されてるわけじゃない」的な誤った解釈をされないかというのが心配。もちろん制作側は慎重にやってるし、ケンたちが悪い、って結論になるのはもっと駄目な訳だけど。
でもまぁこれだけジェンダー論的な内容を、これ程までのエンタメに仕立てるとは、やはりグレタ・ガーウィグは優秀だなと。
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