夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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幸せに暮らすために
PMS(月経前症候群)という病気で突発的にイライラして、周りにあたってしまうヒロインを上白石萌音。彼女の同僚となるパニック症候群のイケメンを村松北斗が演じます。
初めは、お互いを理解できない二人ですが、徐々に歩み合い、一緒に会社のイベントを作り上げる。互いの病気のことも、性格も分かり、良き理解者になっていく。
じゃあ、この二人が恋人になるのか?というと、上白石は母親の介護のため、会社を去り、村松は会社に残る選択。特に大きな盛り上がりがあるわけでなく、穏やかな日常に戻っていく。
地味ですが、とても味わいのある作品です。二人が働く理科の教材を作る会社がかなり丁寧に描かれます。二人とも前の会社では、病気や発作のため上手く働けなかったのが、この教材会社では、周りの支えで認められて活躍する。だからこそ、二人の成長や幸せを築いた会社をちゃんと描きたかったのかな。
この二人の関係も、恋人でも家族でもなく、友情以上のおせっかいな関係。単純に言えば「助け合い」なのですが、こういう関わり合い方がかけているのかな、とも。
あと、あえて「病気」という言葉を使いましたが、元気いっぱいでなくても、幸せに暮らせる世の中でありたいですね。
相互理解には全人的な愛が必要
原作を読んで、パニック障害とPMS(月経前症候群)の男女が、お互いの病気を理解し合い助け合う様がとても印象に残った。男女いや人間は、お互い表面的に見せてる部分で良好な関係を維持しようとしがちだ。裏の部分はなるべく見たくない。その裏の部分で相互理解をするには、恋愛とか夫婦愛とかではなく、全人的な愛が必要なんだと痛感する。
映画では、松村北斗と上白石萌音のキャラが、この相互理解のモードに見事にマッチしていた。
脇を固める、ふたりの職場の社長役の光石研、母親役のりょうらも、そのモードを踏襲していた。
会社という組織においては、なかなかふたりの病気は理解されないだろうけれど、原作と同じくそこを暖かく包みこむ会社の存在があり、とても安らかな気分になれた。
人の痛みに寄り添うこと、人を理解すること大切さを感じさせてくれた、三宅監督の心優しき映像も、いつまでも心に残った。
優しくて、あたたかい
他人の人生を近くから見てるようなそんな映画。この映画を見て、劇的に何かが変わるわけでも、大きな何かが得られるわけでもない。でもちょっとだけ人に優しくなれるのだと思う。ここからは個人的に、ですがカムカムコンビの再演がとても良かった。この2人の演技があってこそ、この作品の柔らかさと優しさが出てる。
自分自身を受け入れて生きていく
自分ではコントロールできない心や体の障害を抱える人達が、それを受け入れて生きていくやさしいストーリー。
重たいテーマなのに、なぜか穏やかでどこか自然で
最後にはみんなの顔が生き生きしているのも良かった。
プラネタリウムの美しい星空にも癒されました。
観る度に違った印象を受けそうな作品
視覚効果が印象的な作品だった。日常がフラッシュバックするような、どこかで経験したことのあるような場面がいくつかあって
あれ、なんか知ってる、って感情に度々なる作品だった
映画のことは詳しくないので正解かは分からないけど、
繰り返しのBGMと情景描写が多くて、特に情景に関しては一点から捉えて景色をぼーーっと眺めているような感覚を与えた
そのぼーーーっという時間の中には、それぞれ何を考えるんだろう
観る人によっても違うし、観るときの心によっても変わってくるんだろうなと思った
そう言う意味で、何度見ても違った印象を受けそうな作品だなぁと思った
内容に関しては、私の感想は多分捻くれた間違いなのだと思うけど、率直に、病名ついてるのいいなぁ。って思った
病名がついているから人が心配してくれる、正当化できる、そこには辛さの反面、楽さがあると思うんだよね
私も自分をうまくコントロールできない
けど、それって単なる甘えであるし、やらないだけ、とも捉えられる
自分でもよく分からない。本当にできないのか、本当に辛いのか、
よくわからない
ただそれに正当な理由をつけてもらえることは自己肯定になるし、出来ることとできないことの見分けがついて生きやすくなるんだろうなぁと思った
その点で、いいなぁと感じた、
思えば、もしかするとあのとき苦しくなったこと、電車でうずくまったこと、訳もなく悲しくて泣いたこと、必要以上に人に当たったこと、
たくさん思い当たる節があったし、自分と重なる部分があった
けどその部分が果たして病気の部分であるのか、人間とはそういうものなのか、は分からないじゃない
私は結局いつまでも生きづらいままなんだなと悲しくなった
日常に隠れてるもの
他者には見えない自身が抱え続ける問題との向き合い方を、同僚たちとの社会生活の中で寄り添いながら過ごす何気ない日常を描く。
とても穏やかな作品で、多少なれどだれしも感じたことのある孤独感や疎外感といった日々の中に埋もれる寂しさと誰しもに起こり得る病を通して、日常に隠れてる喜びと大切さを思い返させてくれた。
絶賛な評価に期待してたわりには、、な印象 入りがナレーションとクレ...
絶賛な評価に期待してたわりには、、な印象
入りがナレーションとクレジットで映像に入り込みにくい感覚で、文字表記もあったりと思ったより病気の説明が強め。
主人公の挨拶しないとか歩きながらみかん食べるとか普段の行動が理解しづらかった。
エキストラがやけに目につく写り方してのも気になった。
病気の理解と共感が難しい色んな人がいるってことを知ることがこの映画の趣旨でもあるのかな。
後半は比較的一気に心地よく進んだ。
病状を緩和させるのは医者でも薬でもなんとか療法でもなく、理解し助けようとしてくれる"人"。
最近やたらめったら病名つけられるけど、病名は主張する物にならなければ、自分を安心させられるし相手に知ってもらいやすい良い物だと思う。
ちょっとできずきているかな?
PMSはとてもよくわかるし、自分もイライラして人に当たってしまって自己嫌悪に陥ったりとかあるので、
それとどう向き合って生きていくのか興味があってみに行きました。
パニック障害もわかりみ。一時期、電車に乗るのに緊張して心臓がバクバクしてやばかった時がある。
まあ、3駅だったから耐えたけど、長距離だとしんどいだろうなあ、、
パニック障害を持つ同僚が、本読んでPMSを分かろうとしてくれるのとかはとてもいい。
仕事中、様子見て外に連れ出したりとか、、
いくら自分がそうだからって、そこまでしようとする人いるのかな、、
私の元友達がADHDで、どういうものか知らなくていろんなことを知ろうとして調べたりしたし、分かろうともした。夜中にまでも電話に付き合った。
でも向こうは私の心の病気には寄り添ってくれなくて、そのままブロックされた。
現実はこんなもん、、
こんな周りの人がみんな理解してくれて、その中でうまくやっていくとか、夢の世界。
なので後半はちょっと冷めてみてしまった。
友情とも恋とも違うストーリーはよかった。
萌音ちゃんの演技もとてもリアルでした!
穏やかな気持ちになる
どんな人でも受け入れてくれる。
あんな会社実際あるのかな。
皆優しい。
私は病気ではないけど辛いときあんな風に背中をさすってもらえたら嬉しいと思いながら観た。
知らなかった病気を知り興味を持ったのでもう少し調べてみたくなった。
グループセラピー
主人公はお互いPMSとパニック障害を抱える美沙と孝俊。美沙は少々自意識過剰気味で職場の上司が女性にもかかわらず自分の病の相談もできずに結局は辞職する羽目に。孝俊も周りには自分の病気のことを話してない。
いまの職場では周りはそれとなく気づいてるけど特に過剰に心配などせず普通に接してくれる。それが二人には居心地よかったんだろうけど、美沙はやたらと職場に茶菓子を差し入れたりして気を使いすぎだし、孝俊にもおせっかいが過ぎた感じ。でもそんなおせっかいに孝俊も次第に打ち解け始める。
自分の病気のことをわかった風に言われて気分悪い、なんて思った孝俊も相手の病気のことわかってないなと気づく。そうして自分のことだけでなく相手のことも気遣えるようになる。
彼らの職場の社長や孝俊の前の上司はグループセラピーに通っている。皆、家族のことでつらい体験をしたため同じつらい思いをした者同士がそれをお互い吐き出すことで気持ちが楽になったりする。グループセラピーは互いの悩みを他人に話して共感しあい、相互作用によって傷ついた心を癒す効果があるという。
一人よりも二人、二人よりも三人。一人で悩んでいても何も解決しない。流れる水は腐らない、流れが止まった澱みはたちまち腐ってしまうというように人の心も同じ。一人で心を閉ざすよりも他人を受け入れて自分の心の中に新鮮な空気を入れてあげればいやな気分も押し流されていくはず。
美沙と孝俊はグループセラピーには通わないものの、二人の関係はまさにセラピーそのもの。プラネタリウムの企画を共同する傍らでお互いの病気のことやお互いのつらさを分かち合って、それで二人の心は楽になったんだと思う。
ゆっくりとした時間が流れる作品。周りは少しづつ変化してゆくけれど、けして置いてきぼりになんかなってない。自分は自分の人生の時間の流れの中で生きていけばいい。焦ることなく病気と付き合ってゆけば、いずれは肩の荷が下りるように楽に生きられるようになるはず。
美沙と出会ってから孝俊の表情が徐々に明るくなっていくのがとても印象的。
苦しい闇が続いても、夜明け前には優しい星が降り注ぎ、夜明けへすべて繋がる。
「夜の暗闇があることで外の世界に気づくことができた」
暗闇の中だからこそ見える星があるように、
苦しく暗い闇の途中だから気づける優しい心がある。
「夜明け前がいちばん暗い」のなら、星の瞬きのような優しさは、最も苦しい時ほどたくさん降り注がれている。そして、それらすべてが夜明けへと繋がる。
自分にとって、だれかにとって、優しい場所であるところを見つけられたらいいな。
優しい世界はまだまだきっと広がっている。
ヒーリング効果のようなもの
心地の良い映画だった。
たぶん、みんな癒されに行くのだと思う。
ヒーリングミュージックのようなものが流れ、
穏やかな景色が映っていた。
渋川清彦、久保田真希、すごく良かった。
ただ、安定した不安定のように思えて、
少し物足りなかった。
眠くなってしまう私のような人間が
こういう人たちを傷つけているのかもしれない。
この映画の好きなところ(2024.3.9)
1.松村さんの演技
何と言えばいいんだろう。とても自然で、なんか、そこに実際にいる人が話しているような雰囲気。全面的によい人というわけではないが、なんとなくにじみ出ている優しさ。淡々とした感じ。
2.流れている曲
通奏低音という言葉がまさにふさわしい、ずっと流れている木琴とビブラフォーンの間のような音。心が休まる。この映画の雰囲気を形作っている。
3.思わずクスッとするシーン
「そこで1人で怒っておいてください」や、会社のよいところをいってる間に、駅までの距離等の不満が出てくるところなどのユーモアのセンス。
4.社長の優しさ
この会社が優しいのは社長の人となりのおかげだろう。主人公が雇ってくれたお礼を言うシーンでも、さらっと流して別の話題に行くようなところ。今回、気づいたがホワイトボードの名前、全員名字だけなのに、社長のみフルネームだった。美術の担当の方が、しっかりこだわっておられるのがわかった。
5.プラネタリウムと死生観
物語の始めの方で、「だれがいなくなっても困らないように」という台詞がある。これは事務的なことを言っているだけのはずなのだが、プラネタリウムの語りの中で、「人は死んだら星になるという人がいるが、実際は死んだら何もなくなってしまいます」というような言葉がある。一見、冷たい言葉のようでいて、何か、すべての物を包み込むような優しさをたたえているように思えた。この原作の小説との一番の違いはこのプラネタリウムに関するもののように思う。今回見て、このプラネタリウムを実施した日が2024年3月9日であることに気づいた。この映画、つい先日までは未来の話だったんだ。
6.ざらざらとした画面の質感
私は、本棚があるとどんな本が並んでいるのか題名を見たくなるような人だが、題名が読めそうで読めない解像度(?)。元々は、この映画を見たきっかけは、ある監督が自分の作品そっちのけで誉めておられたから。同じ照明の方がされているようだが、明るすぎず暗すぎず、なんとなく落ち着くような画面が好き。
7.渋川さんの演技
ずっと「空飛ぶ広報室」のカメラマンのイメージだった渋川さん。昨年、海外作品の「ブラックパンサー2」のネイモア役で出てると思ったら、今回は一番感情を揺さぶるシーンを演じてくれました。
8.二人の関係
ポスターから見て、てっきり恋愛映画と思っていました。あんなに仲良くなっても、恋愛関係にならなかったところは、(私にとっては)とてもよかったです。
〈以下、以前に書いてたレビュー〉
見て「いい映画だったなあ」と思う人のみ読んでください。
〈映画を見て好きになった人への紹介〉
nobodymag.comというサイトに
三宅唱インタビュー(2024年2月6日、六本木 聞き手・構成:梅本健司)
という記事があって、そのインタビューが素晴らしい。
読みながら、監督ってこんなことまで考えているのか!と、思わず唸らされました。
私がこの映画の印象として「優しい気持ちになれる映画だなあ」と感じたのも、そうなることを意識して監督が撮っておられたのだということがわかります。
インタビューアの方もしっかり映画に取り組んで(なんか変な表現ですが)おられて、的確な質問をされています。そのおかげで、インタビューの内容がとても深いものになっています。
原作にはある「ある映画」については「権利が取れなかった」との表現で、そこが使われなかった理由を明かしてあります。
監督の言葉一つ一つが、この映画を見た者にとっては、「へー、そうだったのか」と思ったり、「なるほどなあ」と感心したりのオンパレードです。
私が一番心に残ったのは、三宅監督の
まずはとにかく俳優がちゃんとキャラクターをつかまえることが大事なんだなと改めて学びました。
という言葉でした。
〈上のインタビューと合わせて読んでいただければ〉
かみのたね
特別鼎談 三宅唱×濱口竜介×三浦哲哉
偶然を構築して、偶然を待つ
― 『夜明 けのすべて』の演出をめぐって
という対談も相当面白いです。「かみのたね」というサイトにあります。
〈以下、以前のレビュー〉
二度目の鑑賞。
「いつ誰がいなくなっても大丈夫なように」。映画が始まってまださほど時間の経っていない中でのおばさんの言葉に、思わずドキッとしてしまいました。
何気ない会話の中の言葉だったのですが、人の儚(はかな)さを感じさせる言葉でした。儚いからこそ尊いというか、いつ何があるのかわからないのが人生の常というか。
ある程度生きてきた人ならば(たぶん)みんなが持っているであろう後悔や喜びや悲しみやそんなものをすべて含んだ言葉に聞こえました。
この映画の優しさを作り出しているものは何か考えてみました。
もちろんストーリーはあります。そこここにあるちょっとしたユーモア。落ち着いた画面。作品を通して流れているあたたかな音楽。そして何よりこの作品に命を吹き込んだ役者さんたち。私は特に山添くんを演じた松村さんの演技に心ひかれました。
今年の作品では「ロストフライト」と並んで私のベスト映画である本作品。
一度この映画をご覧になられた方なら、ご存じの通り、改めて「優しい気持ちになれる映画だなあ」と思いました。プラネタリウムを見たくなりました。たい焼きも食べたくなりました。
書きたいことが溢れ出るような気持ちがしていますがうまく表現できません。
みなさんたちはどんな所が心に残りましたか?
〈元々のレビュー〉
「アポロ13」はわかりました。もうひとつの「おじいちゃんたちが宇宙に行く映画」って、どの映画のことですか? よろしければ教えてください。(漫画なら浦沢直樹の「NASA」っぽいですけど)
ある監督が、自分の映画はそっちのけで誉めておられたので、興味をもって見に行きました。誉められただけのことはありました。その監督に感謝です。
優しい気持ちになれる映画でした。いい映画です。みんなに見て欲しいです。
りょうさんが子ども思いのお母さん役になっていて驚きました。(「踊る大捜査線」の犯人役のイメージが強かったので)
追記
ふと思ったのですが、夜明け前が一番暗いというのは、実は間違いではないのか、と。
確かに気温は夜明け前が一番低くなるような気はしたのですが・・・。
しょうもない話ですみません。
〈小説を読んでからの追記〉
小説を読みました。途中から「ボヘミアン・ラプソディー」のサントラを聞きながら読みました。
この小説、映画とはだいぶ違いました。
ただ、映画にも小説にも共通しているのは、「恋人でもなく、友達でもなくても、助け合える関係ってあるんだなあ」と思えたことです。
小説もよい話でした。
が、この小説をほんとに上手い具合にアレンジして、この映画は作られたんだなあ、とも思いました。
脚本、監督、その他映画に関わった方々の力量を改めて感じました。
すごく優しい映画
すごく優しい映画でした。
気持ちが沈んでる時にこそ、心の傷が癒えるような気持ちよさを伴う内容に非常に感動しました。
上白石萌音演じるPMS(月経前症候群)に苦しむ藤沢さんと、松村北斗演じるパニック障害を抱える山添が共に助け合うという、瀬尾まいこ原作のヒューマンドラマ。
演者二人は朝ドラの「カムカム エヴリバディ」のコンビで今回再び共演していますが、やはり息がピッタリ合ってました。
この映画、精神疾患を抱える男女の関係性を描いてるので一見シリアスになりそうでもある内容です。
確かに、疾患が発病してしまう場面は観てて苦しくはあります。
しかし、決して深刻にならない。それが凄いです!
本作を観て改めて気付かされました。
この手のテーマでは何も過剰にシリアスに描く必要は無いし、過剰にドラマチックに描く必要も無い。男女間の恋愛模様も描く必要も無かったんです。
実際これらを抜いて描くのは難しいです。
ただ、それでも登場人物の台詞や興味深いやり取り等で充分に面白くさせられてるのは、瀬尾まいこが書いた原作小説の力でもあり、監督である三宅唱の力でもあると思います。
また、他の登場人物も決してお飾りだけの機能ではありません。
渋川清彦や光石研演じる二人の上司の人物像等も繊細に描いており、松村北斗演じる山添の彼女の描き方も好きでした。
序盤の山添の人見知りな姿は若干過剰に描いてる気はしましたが、それ以外は特にネガティブなポイントは無く、最後まで満足出来ました。
今作を観て、瀬尾まいこの小説も気になったし、三宅唱監督の他作品も気になりました。
今年ベスト級の傑作です!
互いに寄り添うということ
どんな人でも様々なものを抱えていて、お互いに出来ることで寄り添うということ。
そういう人間模様を決して押し付けがましくなく、とても自然に我々観客目線で映し出されている作品。
そしてりょうさんがりょうさんに見えず良い意味でとても驚いた。
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入...
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入社しばらくしてオフィスで症状を発症し、処方された薬の影響で大事な会議の準備作業中に眠り込んでしまった。
結果、退職。
転職した先は、東京の郊外にある児童向け科学キットを作っている町工場。
雰囲気もよく、彼女の症状に理解もあるので、もう何年か仕事を続けることが出来ている。
職場の新人・山添くん(松村北斗)は元々大手のメーカーのオフィス勤務だったようで、いまの職場のまったりとした雰囲気にやりがいを見出せないのか、まるでやる気をみせない。
そういうこともあってか、PMSの症状がひどくなった藤沢さんは、怒りを爆発、矛先は山添くんに向けられたのだが、山添くんもパニック障害を抱えていることがわかってきて・・・
といった物語で、藤沢さんと山添くんを中心にして、周囲のひとびととのやりとりを描いています。
悪いひとは出てこない。
同僚もほとんど良いひとばかり。
いいひとばかりだけれど、会社の社長(光石研)も山添くんの元上司(渋川清彦)もなにかしらの事情・心の疵を抱えている。
そういうひとたちだから、相手のことを思いやれるのかもしれない。
大きな出来事は起こらない。
最後に移動式プラネタリムという珍しい装置が登場するぐらいで、小さな天蓋に映し出される星々とそこに重なる藤沢さんのナレーションが美しい。
藤沢さんの読む解説文は、社長の弟が遺した言葉をもとにした天空・宇宙に対する思いが込められたもので、宇宙の尺度からみれば人間なんてちっぽけ。
だけど、ちっぽけで儚いからこそ尊い。
そんな大きく広大な宇宙を小さな小さなテントの内側に映し出している。
そのことが面白い。
全編やさしさに溢れた映画だけれど、その功績はロケーションの魅力に負うところが大きいでしょう。
東京の郊外・城南地区を舞台にしているが、実際のロケ地はそのまんまではない。
いくつかの場所は、設定に近い場所で撮られているようだが。
が、それら複数のロケーションが違和感なくつながれ、まさしく東京の郊外といった雰囲気を出していました。
これは、簡単そうで簡単じゃあないんだよなぁ、と思った次第。
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